「黒沢明のささやかなるエチュード」素晴らしき日曜日 地獄日和さんの映画レビュー(感想・評価)
黒沢明のささやかなるエチュード
この作品は、監督四年目の黒沢明の映画手法を磨くためのエチュードと位置付けるのが適当ではないでしょうか。
長回しの多用。しかし、演技者の問題もあるでしょうが、あまり説得力のあるものにはなっていない。
実験的だが浮いている演出。例えば、主人公が戦友のキャバレーで待たされている時、酔っ払ったオネーサンが窓ガラスを割るシーン。ドキッとするほど妖しく美しい演出である。しかしストーリー展開上、全く意味をなしていない。
その他にも、何かギクシャクしたしっくりこない演出が多々ある。
しかし、この作品で毎日映画コンクール監督賞を受賞している。当時としては、この実験性が評価されたのだろうか。
黒沢明が巨匠となる、試行錯誤の一過程としてみると面白いかもしれない。
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