TAXi(3) : 映画評論・批評
2003年5月1日更新
2003年5月17日より丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にてロードショー
ひたすら見せ物に徹した姿勢は100%正しい
3作目にしてフランスの「釣りバカ日誌」 か「トラック野郎」ともいうべき様相を呈してきたこのシリーズ、ベッソン映画ならではの他愛なさを過激にエスカレートさせ、小利口なシネフィルを完全に無視して予算もドカンとつぎ込み、ただひたすら見世物に徹したその姿勢は100%正しい。
ハリウッド・スターのカメオ出演やら007をパロったオープニング・クレジットなど、開巻から異様なまでのサービス精神とテンポの良さは、ジャン=ポール・ベルモンドの全盛期のフレンチ・コメディ活劇をも彷彿とさせる楽しさ。もちろんベッソンの脚本はいつものように驚くほど幼稚だが、その猿にもわかるほどのプロットとナンセンス・ギャグはこの映画には不思議とマッチしている。
最大の見せ場はクライマックスの雪山チェイス。雪の斜面で本物のタクシーを走らせるという無謀かつ大胆なアクションを見事に映像化。「グラン・ブルー」の海にも匹敵するこの素晴らしくも撮影困難な雪山シーンだけでも十分にスクリーンで見る価値がある。
映画に娯楽を求めるならば絶対に見て損のない作品。こういう映画を頭ごなしにけなす人は結局のところ本当は映画なんか好きではないのだろう。
(江戸木純)