ストレンジャー・ザン・パラダイスのレビュー・感想・評価
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1986年ベストムービー!⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️✨
『JIM JARMUSCH Retrospective 2021』にて鑑賞。
この映画を初めて観た時の印象は、一にも二にもScreamin' Jay Hawkinsの"I Put a Spell on You"に尽きる。それぐらいこの曲のインパクトは強かった。
そして、ブルースやR&Bの奥深さを知るのであった…笑
さあ、みんなでScreamin' Jay Hawkins聞こうぜっ。
これが実に心地良い
まず、こうしてスクリーンで観れた事を嬉しく思う。一体何年ぶりなの鑑賞なのだろう?
長篇第一作でジャームッシュの代表作、当時とても革新的な作品だったと記憶している。
どのカットも美しく実に絵になる、それが全編なのだからすごい。
ホーキンスの「I Put a Spell on You」を始め、音楽達も実に良いんですよね。
三人の漂うような時間を切り取った作品で、緩急のあるストーリーラインでは無いのですがこれが実に心地良い。
長回しや暗転カットも作品にとてもマッチしている。
小津安二郎へのオマージュも日本人的にはクスリとしてしまいますね。
ラストも何て子気味良いんだろう。
本当スクリーンで観れて良かった、とても素敵な作品です。
JIM JARMUSCH Retrospective 2021 こ...
【旅②/Strange(r)を巡るストーリー/集うことの面白さ】
ジム・ジャームッシュのデビューから6番めまでの作品は、全て旅がモチーフだと思う。
出会い/集い、良し悪しではなく、その成り行きを見つめているのだ。
そして、出会い/集い、旅するのは、僕達のことではないのか。
(※ これら6作品のレビューは書き出しが同じです。すみません。)
この「ストレンジャー・ザン・パラダイス」で、僕が一番好きな場面は、エディが空港の駐車場で、車の横にたたずみ、飛び立つ飛行機を見て、「あー、思った通りだよ!」って、嘆きながら車に乗り込むシーンだ。
僕も、案の定と笑ってしまう。
飛び立つ飛行機をエディが見上げるアングルと、飛行機の離陸したアングルが絶妙なバランスでかっこいいのだ。
そして、エヴァはモーテルの部屋に戻り....。
ハンガリーからNYにやってきたストレンジャー(よそ者)のエヴァ。
NYでストレンジャーであることを知られないようにやっているウィリー。
ストレンジャーではないエディ。
クリーブランドにいる祖母はアメリカでストレンジャーであることを隠そうともしない。誇りにすら思っている。
それぞれ異なるストレンジャーに対する立場。
この映画のタイトルは、この「よそ者」という意味の「stranger」と、これにthanを続けることによって、パラダイスより、もっと面白い(stranger)という意味で2つをかけ合わせたのではないのだろうかと、僕は思っている。
アメリカでは、悪意のある「変」という意味で、weirdが使われるが、strange の場合、どちらかというとニュートラルな感じの「変」で、不思議な感じの意味もあるから、興味深く斜めの視線で見つめられている感じだと思うのだ。そう意味では、funny とは違うのだ。
この3人プラス1(祖母)の関係は確かに見ていて不思議だし、なんか面白い。
ただ、嫌な感じでは決してない。
そして、比べられるものが、なぜパラダイスなのか。
最期のチャプターで、3人の向かう先が、憧れの温暖な地・フロリダで、そんな「パラダイス」的な印象からだと思うが、実は、そんなことは思い込みで、季節によっては、陽光なんてないし、ギャンブルで金はすられるは、麻薬の売買が横行してるわで、それこそ、weirdなところなのだ。
それより、こっちの3人の方が、なんかチグハグで不思議で、変な気がする。
ただ、この映画については、もしかしたら、この3人プラス1を受け入れるアメリカ自体が、面白いところだと、さりげなく示唆している気もする。
思いがけず、大金まで転がり込んじゃうこともあるし。
ホーキンスの「I Put a Spell on You」も無茶苦茶良いが、ウィリー役のローリーは音楽担当を兼務していて、ジム・ジャームッシュもNYのカーマイン・ストリート・ギターの常連というほど音楽好きなので、音楽にも注目してもらいたい。
いろんな感想があるだろうけど、ジム・ジャームッシュが、こうした光景を、ありのままで受け止めようとしてるようで、僕は、なんか好きな作品だ。
映画芸術の最高傑作
アメリカ映画とは思えない、ジャームッシュ監督のシンプルで斬新な演出力
【ジム・ジャームッシュ監督の独特の雰囲気満載のロードムービーの秀作】
1.画はモノクロ
2.主要登場人物は3人のみ
・ウィリー(ジョン・ルーリー) 常に不愛想。
・エディ(リチャード・エドソン) ウィリーの相棒 人が好い。
・エヴァ(エスター・バリント) ウィリーのブダペストから来た従妹。不愛想。ウイリーからプレゼントされたドレスを受け取りながら、とっとと捨ててしまったり、可愛らしいのだが、”相当変な”女性。
常に、”スクリーミング・J・ホーキンス”の”アイ・プット・スペル・オン・ユー”をカセットデッキで大音量で聞いている・・。
-今では、”ストレンジャー・ザン・パラダイス”と言えば、あの濁声が響いてくる程、強烈な印象を与えられた。-
3.物語構成
1)ニューヨーク ”The New World"
ウィリーとエヴァが初めて会う。二人の噛み合わない会話が妙に面白い。”TVディナー:当時、そんなものがあるの?と思ったなあ・・”
2)クリーブランド ”One Year Later"
ウィリーとエディがエヴァに会いに行く。ニューヨークでは噛み合わなかった3人だが、エヴァは嬉しそうである。
映画館に行ったり、相変わらずダラダラ感は続く・・が、妙に面白い。
このシーンで、エヴァの叔母さん登場・・(良く喋る・・)
3)フロリダ ”Paradise"
雪深いクリーブランドに飽きたウィリーとエディはエヴァを連れてフロリダに車で出かける。
が、観ていてもリゾート感が全くないし、3人は安モーテルに泊まる。しかも、エヴァがいないことにして、2人分の料金で・・。
・誰がベッドで寝るかちょっと揉めたり
・ウィリーとエディはドッグレースに出掛け(エヴァを置いていってしまう・・)、大負けして、ウィリーとエヴァは口喧嘩。むしゃくしゃしたエヴァは海岸をブラブラしていると、”麻薬の売人に間違われ、”大金を受け取る。
ウィリーとエディが部屋に戻るとエヴァの空港に行くという書置きと大金が置いてある。慌てて空港に向かい、飛行機に乗り込むウィリー。そして飛行機は離陸していく。けれど、エヴァは何故か又モーテルに戻って来る・・
<今作の、”何が面白いのか”と問われると、なかなか難しいのであるが、全編に漂うダラダラ感と妙な会話の数々の面白さであろうか?
鑑賞当時は、ジム・ジャームッシュを観るのは”お洒落”みたいな感があったが、時折NHKで再放送される時は常に見てしまう・・。
きっと、学生時代のダラダラ感と、今作のダラダラ感と可笑しみが妙にマッチングしたんだろうと思う。>
"TVディナー"
≪JIMJARMUSCHRetrospective2021≫
スクリーミン・ジェイ・ホーキンス「IPUTASPELLONYOU」が、所々に流れエンディングでのフル。
ドレスの件は笑えるし、全てを知っているエディーのニヤつきが堪らない。
豪快で口が悪いロッテおばさんの存在感、最後の捨てゼリフも笑える。
根本的には嫌な奴だけれど、時折見せる優しさが憎めないウィリーに、負けず劣らずな態度のエヴァの冷めながらも優しい、合わなさそうな二人の掛け合いも楽しい。
ジョン・ルーリーのトッポいスタイルに渋みが漂う格好良さは、音楽も含めてジャームッシュと相思相愛。
センス溢れる全体的な雰囲気と世界観、シュールな会話などジャームッシュが素晴らしい手腕を発揮し、オシャレ感覚で真似た映画を撮るなんてケガするだけだから、ヤメときなっっ!?
完全にハマった…
ジム・ジャームッシュ監督作は「コーヒー&シガレッツ」、「パーマネント・バケーション」に続き3作目。
ストーリーはハンガリー出身でNY住みのウィリーのところへブタペストから従妹のエヴァが来る。二人は仲が悪く… というもの。
上記の2作品はそこまで自分の好みの作品ではなかった。だが、本作は完璧に自分のツボだった。ジム・ジャームッシュ監督特有のシュールな笑いが抜群に最高で且つ、モノクロで長いワンショットのカメラワークが絵画を見ているかのように錯覚させる。
たわいもない会話なのに見ていて眠くならないのは何故なのだろうか… この日常のような非日常を見ている感じが心地よいのだと思う。 各キャラが言葉に出さないだけで内に秘めているものがある感じもミステリアスでなかなか興味深い。
ハンガリー出身であることを恥じているウィリーは意図してブタペストに帰ったのか、エヴァはなぜ結局モーテルに戻ってきてしまったのか、意外と考えれば考える程深い作品。
他のジム・ジャームッシュ監督の作品が好きな人にはたまらない作品なのでは。私は鑑賞後、新たな映画の世界を垣間見れた気がして高揚感に浸っていた。
楽園以上に奇妙(ストレンジ)な存在とは?
サブカルチャーを30年以上前に牽引した傑作
今観ても本当にサブカルチャー映画だ
手作りで荒削り、しかし何かが違う空気感が充満している
何故に白黒なのか、何故にぶつ切りの暗転カットつなぎなのか、長回しを多用する狙いは何なのか
東京物語 小津安二郎の影響?
確かに競馬の出場馬の名前がトーキョーストーリーだ
そんなことよりもこの空気感、雰囲気に浸る事自体が本作の楽しみ方なのだろう
若い三人の男女、二人はハンガリー出身だ
ハンガリーは中欧にあり歴史は古いが元々から田舎の国だ
しかも当時は冷戦真っ盛りの東側共産圏ブロックの国で鉄のカーテンの向こう側の国だったのだ
今日のように簡単に飛行機で行き来きできる政治環境ではなかった
だからロッテおばさん初め登場するハンガリー人は何か特殊な事情と強力な政治的つてが無い限り、出国して、ましてや西側の中心米国本土に居住なぞできるわけがない
またもし帰国したら米国に戻れるかも極めて怪しいのだ
下手をすると投獄されるかも知れないのだ
そういう現代とは全く違う時代だったことを踏まえなければならない
もっというならば、ハンガリーは鉄のカーテンが最初に破れた国でもある
本作の5年後の89年5月隣国オーストリアとの鉄条網が開かれ鉄のカーテンの崩壊、ベルリンの壁崩壊、共産圏ブロック崩壊に至る出発点になった国なのだ
そのハンガリーの冷えきった国がこれから春に向かう微かな兆しを本作は裏側で表現しているのかも知れない
もう一人はアメリカ人
しかし彼もNYではウィリーしか友達はいない
ウィリーが米国人になりきっていた外国人と知り、彼は自分自身の都会での孤独さを知るのだ
彼も恐らく米国内の田舎の出なのだろう
つまり全員が異邦人(ストレンジャー)で、アメリカの何処に行っても孤独なのだ
ウィリーは10年もNYで暮らしハンガリー人であることを捨て忘れようとし、米国人に成りきろうと努力すればするほど孤独なのだ
その孤独感は白黒の粗い粒子の映像とクリーブランドの寒々しい氷雪でこれでもかと表現されている
終盤の温暖なパラダイスであるはずのフロリダでもそれは変わらない
寒々しいのだ
結局エヴァと言う言い訳を得て彼はハンガリーの首都ブダペストへの直行便に乗り逃げ帰るのだ
エヴァもまた結局米国にいても孤独であること、しかし独りでは寂し過ぎることを自ら悟る
それでもあんな国に帰国するよりはマシかとモーテルに戻る
エディは米国人であるはずなのに独りぼっちを嘆く
とどのつまりみんな孤独のまま、映画が始まり、終る
その三人の心証風景への共感を強くつたえる力が本作には確かにある
初めて上京して独り暮らしを始めた頃の記憶と重なる人は多いのではなかろうか?
タイトルのストレンジャー・ザン・パラダイスの意味とは何のことだろう?
楽園以上に奇妙(ストレンジ)な存在とは?
楽園とは単にフロリダではなく、自由のない故国ハンガリーから見れば自由の楽園アメリカのことだろう
ではアメリカ以上に奇妙な存在とは一体何か?
それは彼ら三人だ
それは、そんな楽園で何で孤独なのだ?
なんで自由の無いハンガリーに戻ってしまうのだ?
逃げ帰ってしまうほど懐かしの故国が恋しい楽園であるなら、そもそもなんでアメリカに移住して来たのだ?
そして自由の国アメリカに生まれたエディはなんで異邦人とつるむしかない程孤独なのだ?
それはまた奇妙な不思議な話だ
タイトルの意味はつまりその問いかけなのだ
劇中のエヴァが聴くスクリーミン・ジェイ・ホーキンスはクリーブランド出身の黒人R&B歌手というよりはブールズ歌手
掛かる曲は I Put a Spell on You 1956年のヒット
公開当時からでも30年近い大昔の誰も知らない忘れ去られた曲
監督が好きな歌手という
渋い好みだ
しかし1984年のあの当時に、共産圏の中欧から来たばかりの若い女性があの曲を知り得て好きになるかというと相当に無理な話だが、野暮は止めよう
従妹が来る。今度は友達連れて従妹に会いに行く。3人でバカンス。はぐ...
日常の中の静かな非日常
映像はシャレているといえばそうなのだが
ロッテおばさん
男男女のモノクロオフビートロードムービー
ハンガリーから渡米してきたいとこのエヴァと共にニューヨーク→クリーブランド→フロリダと車で旅をする。
掃除機をかける=ワニを窒息させる。
なが回しワンカットで暗転が細かく入って場面転換する。
セリフの中に「晩春」「出来ごころ」「東京物語」が出てきた。
ボーッと眺めるように気づいたら終わってたみたいな映画だった。
ラストは人違いで大金をゲットしたエヴァが飛行機に乗るっつっといて乗らずに宿に戻ってきて幕。
ジャームッシュ節
小津安二郎
全43件中、21~40件目を表示












