「すごくリアルで、ドラマ性もあり、テーマも深くて、とてもいい映画だと思います。しかし、うやむやになっていますが、弁護士が正義の味方という描き方は、おかしいと思います。」それでもボクはやってない Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)
すごくリアルで、ドラマ性もあり、テーマも深くて、とてもいい映画だと思います。しかし、うやむやになっていますが、弁護士が正義の味方という描き方は、おかしいと思います。
すごく現実的で、駅員も、警察も、検事も、裁判官も、その他の人も、被疑者、容疑者のことなど考えておらず、自分の仕事ではない、自分の評価が落ちなければいい、自分のせいにならなければいい、めんどうくさいことにならなければいいと、自分のことしか考えていないのが、よく表現されていました。
ストーリーの構成上、なんとなくこの映画では、弁護士が正義の味方のようになっていますが、違うと思います。
フリーターの金子徹平は、就職の面接に行く途中の車内で、痴漢に間違われる。駅の事務室に連れて行かるが、やっていないと言ってもわかってもらえない。近くにいた女性が、その人はやっていないと言いにきてくれるが、駅員がドアを閉め、追い返してしまう。警察に引き渡され、理不尽な取り調べを受けた金子は、当番弁護士をy呼んでもらうが、その弁護士は、裁判はたいへんだし、勝つ確率はほとんどないので、罪を認め、示談することを勧める。絶対にやっていないと主張する金子は、友人の斎藤達雄に電話をする。達雄は、金子の母親と共に弁護士を探すことになった。先輩の会社の顧問弁護士の紹介で、荒川弁護士に依頼することになった達雄と母親。その後、裁判が始まるのだが・・・?
弁護士が正義の味方のように描かれていますが、実際は、ほとんど最初に出てくる当番弁護士のような人ばかりだと思います。
弁護士は金をもらって依頼されているということと、いやなら受けなくてもよいということ、それから調査的なことは基本しないということが、ぼやかされています。
実際に相談してみればわかりますが、ホームページでは、なんでも安く受けるようなことを書いてありますが、実際には効率よく金になるもの以外、受け付けないという弁護士がほとんどです。
相談したところで、初回無料という人でも、初回だけで解決する事案などほとんどなく、何度も行くことになり、かなりお金がかかります。
最初は土日OKでも、2回目以降は受け付けてくれなくなります。
役に立つアドバイスがもらえればいいのですが、ほとんど話を聞くだけで、役に立たず、あなたがこうしたから悪いと責められ、この資料を持ってきてくれ、この人に協力してもらってくれ、この証拠を持ってきてくれ、ああしてくれ、こうしてくれと、要求するだけで、それができないのなら無理です、と言われます。
それができないから依頼しようとしているのに、まったく無視。
しまいには、どうしてもというのなら受けますが、結果は保障できないし、費用は高いですよ、となります。
結局、自分からなにか積極的にすることはなく、与えられたものだけで判断する、裁判に出てくるだけの裁判官のような人達です。
この映画のようなことをやらせるなら、実際にはとんでもなく金がかかるはずです。
その辺をスルーしているのが、映画の構成上しかたないのかもしれないけど、納得できないです。
この映画の役所広司さんや、瀬戸朝香さんのような人がいるのなら、会ってみたいです。
実際にこんなことになったら、親は助けてくれるかもしれないけど、毎日ブラブラしていて、助けてくれる友人・知人は、普通いないと思う。
自分自身の裁判をかかえながら、他の人も助けてくれる人もいないと思うし、別れた彼女が痴漢裁判を助けてくれるのかな?
現実的には、ほとんど一人で、世の中の全部の人と争うような、とんでもなく厳しくて悲惨なことになりそうです。
もし自分だったら、たぶん最後まで耐えられず、やっていなくても途中で自白してしまうと思うし、冤罪というのはこういうふうに作られるのだろうと思った。