劇場公開日 2003年6月21日

「出現した妻とクリスの心の動きは良いのだが」ソラリス Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5出現した妻とクリスの心の動きは良いのだが

2013年3月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

総合:70点
ストーリー: 65
キャスト: 75
演出: 75
ビジュアル: 70
音楽: 65

 「惑星ソラリス」というちょっとマニアックに人気のソビエトのSF映画があって、そのリメイクらしい。しかし前者は見ていませんし、それとはそれなりに違うより原作に近い映画ということらしい。

 妻を悲劇的に亡くしたクリスと、クリスが見た夢から情報を得て突然出現した妻。その妻はソラリスの力と見られる要因によって合成されたものと考えられる。クリスはその合成の妻を通じて悲しみを埋めていく。このような現象が起き続けて人を惑わしていたわけだが、それが直接人を攻撃をしてきたり惑星や出現したものが統一した行動をとるわけではない。
 出現したものは心の動きや悲しみや過去へのこだわりについての描写であり、宇宙がどうとかSFとかという話ではない。その心理描写が繊細で、ゆっくりと時間を取り戻していく。自責の念と哀しみに満ちた心が少しずつ現実と夢との間に溶け込み、最早地球での生活すらどうでもよくなるという気持ちと、現実に戻り乗員を救出し自らも帰還しなければという気持ちが葛藤するような部分はかなり面白い。

 しかしどうも最後はどうなったのかよくわからない。主人公は帰還したのかソラリスに囚われたのか。ソラリスについてもよくわからない。あるいはそれがいったいなんの目的でそのようなことをしたのかもわからない。邪悪な意思があったのか、純粋に人の心に反応するだけのものなのか。いろいろなことが謎に包まれたまま映画は終わってしまう。
 映画は謎を明らかにする必要はないが、わかりづらいものになっているのも確かである。そして当初のクリスと妻との心理の変化の場面に対して、この映画は何が主題だったのだろうかと思ってしまう。

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Cape God