劇場公開日 2002年6月1日

少林サッカー : 特集

2002年5月28日更新

「少林サッカー」
&珠玉のサッカー映画たち

W杯。この、いまだかつて我が国が経験したことのない一大イベントに、実は映画業界は戦々恐々としている。W杯期間中、映画館に観客は訪れるのか? 事実「スター・ウォーズ エピソード2」はこの時期を避け、満を持して7月の公開を選んだ。「スパイダーマン」もやはりこの時期を避け、リスクを承知でGW明けの日米同時公開を選んだ。そしてこの時期、銀座の某映画館は改装工事で休館する。ならばこの時期、我々はサッカーも映画も両方楽しむことを強く提言したい。というわけでサッカー映画である。珠玉のサッカー映画を厳選してご紹介だ。

1st Round
アジアの辺境でも、W杯観戦者の雄叫びが     編集部

FIFAランキング202位/不参加

FIFAランキング202位/不参加 「ザ・カップ/夢のアンテナ」 監督:ケンツェ・ノルブ 主演:ウゲン・トップゲン 発売:オンリー・ハーツ、キングレコード、パンドラ/4700円
FIFAランキング202位/不参加 「ザ・カップ/夢のアンテナ」 監督:ケンツェ・ノルブ 主演:ウゲン・トップゲン 発売:オンリー・ハーツ、キングレコード、パンドラ/4700円

発売:オンリー・ハーツ、キングレコード、パンドラ/4700円W杯の期間は5月31日から6月30日まで。31日間に渡って、各地域の予選を勝ち上がった国々(および前回優勝国とホスト国)の代表32チームが日本と韓国を舞台に熱戦を繰り広げることになる。もちろん、出場する32カ国の国民が熱狂するのは分かっている。では、出場できない国はどうなのか? まずはFIFAランキング202位という、サッカー最後進国ブータンの映画から紹介したい。

「ザ・カップ/夢のアンテナ」は、ブータンの山奥に修行生活を営むチベット密教の少年僧侶たちが、98年のフランス大会を観戦するために、夜な夜な寺院を抜け出してはテレビのある家を訪れ、ロナウドらスーパースターの活躍に一喜一憂する話。タイトルの“ザ・カップ”というのは、もちろんワールドカップのことだ。やがて少年僧たちの行いは寺の住職に見つかり、外出禁止の憂き目に遭う。だが、それでも彼らは決勝戦を観戦するために、カメルーン代表のような(?)不屈の闘争心を発揮する。ヨーロッパでもヒットしたこの映画は、W杯を世界中にあまねく布教するためのプロパガンダ映画という気がしないでもないが、サッカーがアジアの辺境でも人気の娯楽であることがビビッドに描かれていて非常に興味深い。放映権の凄まじい高騰が話題になっている今大会にあって、ブータン国民がきちんとテレビ観戦できることを祈らずにはいられない。

俊輔よ、少林拳をマスターせよ!
そして、2006年のマスターになれ!

FIFAランキング143位/地区予選敗退

FIFAランキング143位/地区予選敗退 「少林サッカー」 監督・脚本・主演:チャウ・シンチー 6月1日より公開
FIFAランキング143位/地区予選敗退 「少林サッカー」 監督・脚本・主演:チャウ・シンチー 6月1日より公開

もう1本、内容的にはW杯と関係ないが、日韓W杯イヤーを計算して製作され、母国香港で歴代最高の興行収入を記録した「少林サッカー」を紹介しないわけにはいかないだろう。日本では間もなく、W杯期間中の封切りとなる。ちなみに香港は、FIFAランキング143位とこちらも自他共に認めるサッカー後進国。ところが、映画の内容は凄まじい。とにかく最先端のVFXと、少林寺拳法の融合というコロンブスの卵的な着想には感服せざるを得ない。

本質はバカ映画なのに、「キャプテン翼」と「マトリックス」を融合させたような驚愕の見せ場の連続には、ついつい拍手喝采を送りたくなってしまうのだ。それは、ワールドクラスのプレイヤーがぶつかり合う、白熱の試合を観戦した後の高揚にも近い。もちろん、サッカーファンでなくても全く問題なく楽しめる。ひょっとしたら、W杯の予選リーグあたりの試合よりは、よっぽど興奮できるかも知れない。今回トルシエに辛酸をなめさせられた俊輔も、是非この映画を観て、リベンジの参考にして欲しいものである。

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