「【”世界は君のモノ・・。”今作は、キューバから来た仁義ある犯罪者が、アメリカ闇社会で肝っ魂の大きさで地位を築くが、自ら麻薬に溺れ破滅する様を描く哀しきヒューマンバイオレンス映画である。】」スカーフェイス NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”世界は君のモノ・・。”今作は、キューバから来た仁義ある犯罪者が、アメリカ闇社会で肝っ魂の大きさで地位を築くが、自ら麻薬に溺れ破滅する様を描く哀しきヒューマンバイオレンス映画である。】
ー 1970~80年代の所謂大御所と呼ばれる映画監督、(勿論、今作のブライアン・デ・パルマを含む。)作品の面白さは、如何に長尺であろうとも、優れたる脚本の元、演じるスーパースター(今作であれば、アル・パチーノ)に華が有り、演出も優れ、衣装や意匠も豪奢な事が、支えていると思う。-
■政治犯と共にキューバからアメリカへ追放された前科者のトニー・モンタナ(アル・パチーノ)は、まともな仕事は一日で辞め、殺しの仕事を受けたのを機にギャングを率いる麻薬王フランク(ロバート・ロジア)の手下になる。
裏社会で頭角を現す彼はフランクを殺し、南米の麻薬王ソーサ(ポール・シェナー)に、その豪胆さを気に入られ、麻薬ルートを開拓する。
そして、愛する美しきエルヴィラ(ミシェル・ファイファー)と結婚し、富と力を手にする。
が、自身も麻薬に溺れ、破滅していく。
◆感想
・アルパチーノは、資料では身長が167センチと言う小男であるが、作品での彼は身長以上に大きく見える。
演じる役柄もあるとは思うが、漂わせるオーラが凄いのである。
・今作でも、アルパチーノ演じるトニー・モンタナは、如何なるシーンでも豪胆である。台頭する自分を殺そうとしたフランクの邸宅に行った際にも、弟分マニーと冷静に復讐する。
・だが、彼はソーサに命じられた自身を探るジャーナリスト暗殺に当たり、爆弾を仕掛けた車にその男の妻子が乗るのを見てしまい、暗殺しようとした仲間である男を殺してしまうのである。彼の仁義が感じられるシーンである。”女、子供は殺さない。”
・だが、彼は自分が扱う麻薬の過剰摂取により、理性を失って行く。愛する妹ジーナ(メアリー・エリザベス・マストラントニオ)が、弟分マニーと結婚していた事を知った彼は、二人の邸宅を訪れ、マニーを衝動的に射殺してしまうのである。
<ラストの、トニー・モンタナの大邸宅での、ソーサの手下との銃撃戦は凄まじい。狂ったジーナが自らに銃を乱射する中、ジーナはソーサの手下によりハチの巣になり、トニー・モンタナ自身も、多勢に無勢で最後は背後からショットガンで撃ち殺され、”世界は君のモノ”と書かれた像の元、噴水の池に落ちて行くのである。
今作は、キューバから来た仁義ある犯罪者が、アメリカ闇社会で肝っ魂の大きさで地位を築くが、自ら麻薬に溺れ破滅する様を描く哀しきヒューマンバイオレンス映画なのである。>