「どこまでも拭えない劣等感」スカーフェイス るいこすたさんの映画レビュー(感想・評価)
どこまでも拭えない劣等感
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Netflixで久々に観賞。
3時間近い大作で、展開も型通りではあるものの、やはり名作だと改めて実感した。
アルパチーノの名演が光ることは言うまでもないが、演じ方、描かれ方は、ゴッドファーザーとは明らかに違う。
言うなれば、どこまでも劣等感を拭えない“小物”。コカインで成り上がり、金と女と組織を手に入れても、家族や仲間を信頼できず、本当の一流とは程遠い。
欲望に従順で、度胸があり、人間臭い魅力に溢れているが、それでも男が惚れる任侠さはなく、そのことにどこか気づいているトニーの悲しさが、ラストの壮絶な死に様に表れている。
そういう小物が主人公であるにも関わらず、長時間の本作を見切ってしまうのは、やはりアルパチーノならではなのだろう。
小物なのに、どこか魅力がある、そういう表現をアルパチーノが可能にしている。
展開の早さやインパクトが重視される昨今、表現の可能性を改めて考えたくなる一作だった。
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