「ニュースの捏造過程を描くというよりは...」ニュースの天才 Satoruさんの映画レビュー(感想・評価)
ニュースの捏造過程を描くというよりは...
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記事の巧みな捏造の過程を描くというよりは、記事には表れにくいけれどもちろん書き手やその周囲が有している人間性が描かれた作品でした。
作品の始まりと終わりに同じフレーズで語られる主人公のニュースを伝える事に対する思い、あれはこの作品を観る時の一つの受け止め方を示してくれました。
展開を重視するのであれば、主人公がどのようにして記事の捏造を始めるに至ったのかなどを描くべきでしょうが、作品中ではそれは触れられていません。
ただここで描かれているのは人間が好きであり、そして寂しさを抱えている主人公ステファン• グラスの姿。
記者としての回想シーンと並行して行われる教室で講義を行っている場面では、その寂しさそして多くの人に好かれていたいという彼の欲望を表したものではないかと感じました。
ここでは彼が記事の捏造に対してどのような思いを抱いていたのかは描かれておらず、それは苦しみや罪悪感ではないかもしれません。
それを感じるためにもできれば彼の自伝『The Fabulist』にも手をのばしてみたいと思います。
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