「こどもと大人の二重構造映画」千と千尋の神隠し なるたんさんの映画レビュー(感想・評価)
こどもと大人の二重構造映画
なぜ長年、これだけ多くの人に愛されてきたか謎でしたが、こども向けには千尋の成長物語として、大人には自尊心へのメッセージだったんですね。
現代社会への警鐘を偶像化して宮崎駿が作りだしたポイントを解説します。
舞台…湯女の世界。湯婆婆が支配する搾取へ送り込まれる千尋。千尋ではなく千と名付けられる
湯婆婆…搾取と資本の権化。千尋の名前を奪う。日本社会の使い捨て社会
姿婆…湯婆婆の双子姉妹。自立と選択の象徴。千尋に信頼の証を渡す
ハク…自然破壊された川の象徴。記憶によって具現化。
坊…湯婆婆の支配から脱却し、千尋を元の世界に戻す
カオナシ…欲望の権化。金を人間に与えて、人間の心を支配する
金の石…千尋の前では石と化す。千尋は資本に支配されていないから
千尋…名前がない。名前を取り戻すことで自己同一性と自立を取り戻す物語
電車…内省の旅。自らの決断で進む千尋の目が心強さを増す
こどもには寓話ですが、会社で居場所をなくしていくサラリーマンの働き方を抽象化していると感じました。
会社から与えられる給料に支配されて、名前も奪われる。何十年も会社に属していると、外部評価が低下する。名前を奪われて会社に縋り付く。気づいたときは、どうすることもできない。
痛烈な風刺をあえて素敵な物語にすることで残酷に伝えているので、何十年もあとになって、物語の意図が回収されたり、見る時代によって、意味合いが変わります。
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