蝉しぐれのレビュー・感想・評価
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原作を読もう 読書が苦手な人はNHKのドラマ版を観よう
2005年公開作品
2003年にNHKでドラマ化
その他一般の舞台や宝塚でも
藤沢周平の傑作らしい
原作は『たそがれ清兵衛』『隠し剣 鬼の爪』『武士の一分(いちぶん)』『山桜』『花のあと』『必死剣鳥刺し』『小川の辺』『果し合い』『三屋清左衛門残日録』『殺すな』の藤沢周平
監督と脚本は『オルゴール』『渋滞』『英二』『星めぐりの町』の黒土三男
原作は山形新聞の連載小説として発表された
藤沢周平が山形出身という縁だろう
彼の作品に登場する藩も地元庄内藩がモデルになっているケースが多い
親子二代に渡って藩の世継ぎ騒動に巻き込まれる藩士の話
あと文四郎とふくの結ばれぬ悲恋
この作品が公開される数年前にNHKで放送された内野聖陽主演の連ドラの方が評判が良い
10代の頃の淡い恋模様の描写が薄い
映画ではふくの大奥での暮らしがバッサリとカットされている
文四郎の友人役2人はなぜかお笑い芸人だが特に悪くはなかった
評判が悪いようだが僕はそれほど苦にはならなかった
ただせっかくお笑いの人を抜擢したのだが笑いどころが全くなかった
コントとか漫才的要素は皆無だった
映画でコメディアンがマジな役をやることはさほど珍しいことではない
古くは伊東四朗とか監督も務める北野武とか
海外に至ってはコメディアンからハリウッドスターになった俳優は枚挙に暇がない
佐津川愛美は当時17歳くらいだが今もあまり変わらない
むしろ当時は実年齢より幼く見える
佐津川愛美と木村佳乃は同じ役だがだいぶ雰囲気が違う
だからといって佐津川より一回り上の木村が10代の役までやるなんてできまい
それこそコントになってしまう
配役
牧助左衛門の息子でのちに郡奉行を務める牧文四郎に市川染五郎
文四郎の少年期に石田卓也
牧家の隣家である小柳甚兵衛の娘でのちに藩主の側女になるふくに木村佳乃
ふくの少女時代に佐津川愛美
文四郎の父の牧助左衛門に緒形拳
文四郎の母の牧登世に原田美枝子
文四郎の友人の島崎与之助に今田耕司
与之助の少年時代に岩渕幸弘
文四郎の友人の小和田逸平にふかわりょう
逸平の少年時代に久野雅弘
ふくの父の小柳甚兵衛に小倉久寛
ふくの母の小柳ますに根本りつ子
道場の席次5位高弟の矢田作之丞に山下徹大
作之丞の妻の矢田淑江に原沙知絵
文四郎たちが通った剣術道場の主の石栗弥左衛門に利重剛
奉行助役の相羽惣六に矢島健一
砧屋の酌婦におきみに中村優子
ふくに仕える小間使いのおみちに森脇英理子
村役人の藤次郎に田村亮
金井村の船頭の権六に三谷昇
助左衛門らの切腹を取り仕切った藩士の坂本に深水三章
ふくを警護する欅御殿の藩士の北村に田中要次
道場師範代の佐竹金十郎に佐藤二朗
助左衛門同様に切腹させられた関口晋作の父の関口晋助に大滝秀治
文四郎の先輩の青木孫蔵に大地康雄
江戸帰りの剣士の犬飼兵馬に緒形幹太
次席家老の里村左内に加藤武
小柳家の出世を文四郎に知らせる村人の伊代に藤貴子
砧屋の酌婦のおとらに渡辺えり子
大目付の尾形久万喜に麿赤兒
ふくを警護する藩士の磯谷主計に柄本明
不破万作と蛭子能収と芦名星も出演しているようだが確認できなかった
美しい藤沢世界、美しい日本
「文四郎さまのお子様は?」「未だ・・・」「いまだ・・・とおっしゃいますと?」「今田耕司」
『たそがれ清兵衛』『隠し剣、鬼の爪』と続いた藤沢周平作品の映画化。今回は、山田洋次監督ではなく、黒土三男監督がメガホンをとった。どうしても山田作品と比べてしまうこの映画。短編、長編の違いはあるものの、原作者は同じなので、舞台となる海坂藩、下級武士、剣術に秀でている、父が藩内部の抗争で罪に問われる、嫁さんがいない、等々の設定は似ている。今回の決定的な違いは、庄内言葉を使わず、標準語(江戸ことば?)で通したことであろう。
また、日本の四季を強調した自然の美しさは山田作品よりもこだわりがあるように思えるし、カメラアングルと人物の配置には独特なものを感じました。村人のために真摯な行動で尊敬されるが、家老の陰謀により藩との確執が浮き彫りにされ、切腹を命ぜられる父親。お家断絶は免れるが、辛苦の日々を味わう青年、文四郎。じっと耐え忍んで忠義を尽くす武士の魂と、幼馴染のふくとの想い出、それに幼き頃からの逸平と与之助との友情が交錯して物語は進んでゆく。いずれのシーンにも四季を感じる演出と、日本人が忘れかけている慎ましさと篤き友情が感じられる。
市川染五郎も木村佳乃もいい味を出しているし、意外とよかった今田耕司とふかわりょう。脇を固めるベテラン俳優たちがまた迫真の演技なのです。子役たちの演技さえ良ければ最高の出来となったかもしれない。まるでおしんの幼少時代を思わせるふく役佐津川愛美だが、大人になって木村佳乃になるとは信じられないことも残念だった。
好きなところは「腹が減ったな」が口癖の逸平。あの場面でも聞けたことで、一人で笑ってしまいました。すみません。周りにいたご年配の方々。
最後に、一青窈 (ひとと よう)のイメージソングも聞かせてください!
【2005年10月映画館にて】
印象的だった佐津川愛美
ハラスメントの時代
まーほんとにせつないお話。悪徳家老のせいで親も家も恋も奪われ、ひたすら耐えて生きる男。現代の人間は反逆や駆け落ちを考えてしまうが、そうできない時代があったということなんだよなぁ。この「忍ぶ」という感覚が、少しでも日本人のDNAに残り続けないと、時代劇も作られないし、見る人もいなくなってしまう。世の中は変わっていくのが常だけど、エッセンスくらいは受け継がれて欲しい。
今田耕司、ふかわりょう、佐津川愛美、若い! 染五郎(当時)はやはり絵になる。木村佳乃は品の良さ、芯の強さがよく出ていた。だけど、夜中逃げるときに白い着物は目立つでしょ。
からくり人形が笑えると同時に、不気味さも醸していた。
BS日テレにて。
NHKのドラマ版を遥かに下回る駄作。
構成のバランスが良くない
これはおそらく小説の方を読むべき。 まずはキャスティング。今田耕司...
名作
何も調べず、見てほしい。
「お世継ぎ問題に、2代に渡って振り回された人々の話」。
以上。
というのも、どんな話で誰が出ているか。知らずに見たらめっちゃツボりました。俳優陣もあんな人こんな人・・・。豪華すぎる!。
びっくり驚きの連続。なのであれこれ書きたくない。
話の前半は、文四郎の青年期の話。やけに引っ張るなあと思ったら。
全部後半に繋がっている、序章だったんです。
後半になって、大人になった文四郎の話。
またもやお世継ぎ問題に巻き込まれ。
側室とそのお子を守るため立ち上がる。
前半で出てきた友人二人も、文四郎の一大事とあらばと同行する。
そんな友情物語もちょっと胸アツ。
殺陣の場面、文四郎は剣の練習はしているけど「人を切ったことがない」。えー!大丈夫なのか。とハラハラドキドキ。
友人も文四郎も、腰抜かしちゃんです。
だけど「大切な人を守るため」。昔からの宿敵を相手の、刀さばき。泣けた・・・。凄いよ、文四郎。
文四郎の「大切な人」。それが誰なのか。ネタバレしたくないので書きません。
そう、私の感想なんて見てないで、作品を見てほしい。
録画した私、グッジョブ!
長い話を省略しすぎて描ききれていないのでは
総合60点 ( ストーリー:60点|キャスト:65点|演出:65点|ビジュアル:80点|音楽:70点 )
静かに美しくそして物悲しく時が流れ、封建社会の厳しい身分制度の中で儚い愛が綴られる、情景豊かな作品である。そのような雰囲気には魅了される部分もある。日本の昔の風景美も良い。
しかし残念ながら物語があまりに飛び飛びになっており、場面がいきなり切り替わる。そのときには時間もかなり経過しているし、このようなことがあったと劇中で科白で説明するだけで済まされたりする。結果として場面場面のことも説明不足で、人物のことも描ききれていないから、二人の愛の深さに対して観ているこちらの感情移入も控えめとなる。お家騒動の物語に対しても、何が起きていてどのような人物が関わっているのか理解が浅くなる。
原作は未読だが、おそらくは原作の長い話を無理やり映画の時間枠の中に詰め込もうとして失敗しているのでは。せめて前後編にわけて二本制作するくらいの余裕がなければ、この物語を描くことは出来なかったのではないだろうか。
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