「ルールを決めて悪を行わせる奴らがいる」ソウ parsifal3745さんの映画レビュー(感想・評価)
ルールを決めて悪を行わせる奴らがいる
随分と前の映画とは知っていたけれど、今回が初見。普段は、殆どホラーやサスペンスは見ないので。今回、ずっと引っかかっていたので見た。汚いRESTROOMに鎖で繋がれた二人の男。一人はゴードン医師。一人は、カメラマンのアダム。二人にはカセットテープや「Xを探せ」などヒントが与えられ、二人が協力しないと次のステップに進めないような作り。(脱出ゲームを思い出した)しかし、二人が協力したところで、大きな足枷のついた鎖は18時までには外せない。18時を過ぎれば、ゴードン医師の妻と娘の命は奪われる。
せっかく、ゴードンの妻がゼップに抗って、自分と娘の命を救ったのに、タップがヘマをやって取り逃がす(その前にもシングとアジトを急襲して、2対1なのに取り逃がし、シングは殺されている。)引き続き追い続けたタップも殺される。援軍を呼ぶ位の連絡をしろよ。
娘のことを溺愛していたのはわかるが、妻とは隙間風が吹いていたゴードン医師が、自分の足を切断して、アダムを殺そうとするのは、いかがなものかと思った。時間は過ぎていて、ゲームオーバー。犯人のこれまでのやり口からして妻と娘は殺されていると思った方がよい。今更アダムを殺して何になる。(バトルロワイヤルと同じ感じ)そうなると、犯人への復讐がメインになるだろう。死んだふりするなり、アダムに共闘して、現れる犯人に対峙するのが正解では? 色々と想像しながら、警察がしっかり対応していたら、こんなにならんだろうなあと。
ただ、この手の物語にありがちな破綻例として、もしゴードン医師が、毒入りのタバコを何も言わずにアダムに渡していたら、それでゴードン医師と妻、娘の命は助かっていたことになる。その場合のゼップの立場はどうなったのだろうか。または、最初、アダムが浴槽でおぼれかけていた時、鍵を流さずに手に入れていたら?足枷を外して(ゴードンの足枷も?)逃げることができていたのか?鍵の位置や流れからからいって、必ず流れて行ってしまうとは限らない。
テイストとしては、「セブン」と同じテイスト。堕落した人間たちが持っている小さな罪や不道徳を捉えて、それを裁いていくというテイスト。あれ位の不道徳で責められるのならって、思って観る人は多いかもしれない。
しかし、自分がこの映画が面白いって本当に思ったところは、犯罪を犯させる奴らが世の中にはいるというところだ。そいつらは、なかなかしっぽを出さない。映画の中ではルールを決めている奴らとして描かれていた。そいつらが、世の中の人々を争わせるような設定をあえて作って、人間を操って、畜生道に陥ったり、泣いたり喚いたりするのを楽しんでいる奴らがいるという所だ。それらを想定した上で描いているという点では、素晴らしい映画であった。