劇場公開日 2003年3月1日

ROUND1 : 映画評論・批評

2003年2月15日更新

2003年3月1日より銀座シネパトスほかにてロードショー

重厚な映像で綴られる、ユルい詐欺師の物語

元・ボクシング世界チャンプの畑山隆則にアテ書きして書かれたという主人公は、役者を目指し単身韓国へ渡ったはずなのに、なぜかヤクザになっていたという在日韓国人のトッポ。浅知恵で組仲間をダマして日本に舞い戻ったはいいが、まともな職に就けるはずもなくチンケな詐欺師に……というなんとも情けない役柄。しかしこれが、本人にははなはだ失礼なのだが、絶妙なハマり具合。例えば、セコい手口の詐欺を次々こなし、知り合った女詐欺師に講釈をたれるくだり。「どう、オレってすごくない?」と粋がったところが実は自分がダマされていた、なんてお約束な展開にも思わず目を細めてしまうほど、うだつのあがらない男がぴったりなんである。

そんな畑山にうまく合いの手を入れているのが、韓国ヤクザ、パク組の若頭を演じるカン・ソンピル。ごつい顔で義理人情に厚く、口より先に手が出るタイプなんだけど、惚れた女の前では口もきけないほどシャイなやつ。そこに、「友へ/チング」のスタッフが全員集合したという重厚な映像が重なって、昭和の古き良きヤクザ映画の匂いがそこはかとなく漂ってくる。「ユルい」という形容詞が褒め言葉になる、そんな映画もあるんです。

(編集部)

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