「一途な愛を貫く純情可憐な女性の物語に残る出来すぎた創作」初恋のきた道 Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)
一途な愛を貫く純情可憐な女性の物語に残る出来すぎた創作
女性の一途な恋愛感情に焦点を当てた一方的な純愛物語で、結局男性が望むべきストーリーになっている。アメリカ映画の「タイタニック」が女性のためのラブ・ロマンスとすると、これは男性にとって理想の女性像であり、妻の鑑のような女性を主人公にしている。チャン・ツィイー演じる純情可憐な主人公チャオディが、文盲ゆえのコンプレックスと憧憬から青年教師チャンユーへの愛を貫く原動力になるのは、この時代の中国の田舎ならではの創作ストーリーであるのか。日本の教育体制からは考えられない時代背景である。なだらかな丘が続く自然豊かな丘陵地帯を駆け足で追い掛けチャンユーを見詰めるチャオディの健気さ。四季折々の美しい風景に佇む、このチャオディの姿が全ての映画。それ故にチャンユー側の心情の描写は少なく、ラストのお葬式シーンにおいて多くの教え子が参列する訳も説明不足に終わる。「タイタニック」では、デカプリオ演じたジャックのような男性は世の中に滅多にいないと思ったが、この映画のチャオディのような女性も中々いない。独身の時ならもっと感動したかも知れないが、中年過ぎのオジサンの経験から言わせてもらえば、話を奇麗に作り過ぎではないか、と正直な感想である。
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