リクルート : 映画評論・批評
2004年1月15日更新
2004年1月17日より丸の内ピカデリー2ほか全国松竹・東急系にてロードショー
ヤンチャでナイーブなコリン・ファレルがいい
コリン・ファレルがムチャクチャ可愛い。それが第1のポイントだ。彼が演じるジェームズは、コンピューターの天才で、CIAに入ってからも、体力、判断力、瞬発力、どれも結構いい線をいく優秀な男だが、人間関係にクールになれなくて、そのせいで失敗する。ファザコンという弱みもある。頭を使ったり、真っ向勝負の時は勝つのに、人を疑いきれなくて失敗するナンテ、いいじゃない? ヤンチャなのにナイーブなところもあるというのが、コリンにピッタリで、「タイガーランド」以来の魅力的なキャラになったのだ。
そして、映画全体を引っ張っていく第2のポイントは、アル・パチーノの声。彼はジェームズをCIAにリクルートする指導教官。言葉巧みに彼の興味をCIAに向かせ、CIAとは何かを徹底して叩き込む。その非情な掟を語り続けるパチーノのダミ声が、まるで呪文のように画面に響いて、ジェームズと観客を彼の思うままに操っていくのだ。決して役者向きじゃなく、むしろ悪声の部類に入るのに、長い間の鍛練によって強烈な説得力を持つに至ったパチーノの声の力に感服した。CIAの組織としての怖さがもうちょっと出ていれば、もっとサスペンスが盛り上がったのにね。
(森山京子)