パフューム ある人殺しの物語のレビュー・感想・評価
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今まで感じたことのない不思議な気持ち
好みは別れるかと思いますが、私は大好きな作品です。
好き、というより強ーい引力に吸い寄せられるように異様に惹かれるという表現の方がしっくりくるかも。
まさしく香りみたいに強烈に記憶に残るというか1回観ただけで忘れられなくなる印象深いお話です。
また観たいとは思わないのにお気に入りの映画の1本になるというのもこの作品だけかも。
とにかく色々初体験でした。
色んな映画を観てきたという人には特に観てほしいです。
まず映像で「香り」に焦点を当てる発想とそれを形にしたこと、
そして発想負けになってない高い完成度には映画の新しい可能性を見た気がします。
“臭い”から“匂い”までまるで画面から伝わってくるようでした。
ありとあらゆる記憶を呼び覚ます香りの凄さを初めてまじまじと考えました。
終わった後には目を閉じて空気の匂いに神経を研ぎ澄ましてみたり、自分の体を主人公みたいにこれでもかというくらい嗅いでしまいましたw
普段の無意識を意識するのって面白いです。
なんといっても終始芸術的。
エロもグロも下品なラインは絶対に超えずその映像美には最後まで圧巻されっぱなしでした。
この作品の最大の魅力はまるでずっと美術館にいるかのように美しいこと。
空をみて綺麗とか花をみて綺麗とかの類じゃなくて、もっと生々しい美しさ。
暗くて怖くて不気味で(本筋に関係なく主人公の関係者が当たり前のように亡くなるのなんて特に悪趣味)、でも美しい。
連続殺人犯のお話なのに、途中からは主人公がどうか無事に13人あやめられるようにと祈るような気持ちになるっていう
普通ならありえない思考にすら陥って自分でもその初めての感じにびっくりしてしまいました。
それほど映画が進むにつれ主人公同様あの香りへの興味が抑えられないようになるのです。
そして冒頭シーンへ繋がると思っていた予想をいい意味で裏切られ、問題の700人乱交シーン。
撮影現場の様子が気になりますw
そこでも全くエッチなエロじゃなくてただただ官能的な美しさ。
そこで愛も善悪も教えられることなく大人になった主人公は初めて自分の中の気持ちに気付いて涙。
本能、本質、教育、愛情、いろんなことを考えさせられる涙でした。
そしてグロくも主人公にとっては償いであり最大の幸せなのかもしれないこれまた問題のラスト。
私はあの終わり方とってもいいと思います。
主人公を食した人たちやあの1摘が落ちたパリの街のその後(現実でもあの腐敗した町が今ではファッションの都)が気になる余韻も相まって深ーい呼吸をしてしまいました。
あの伝説の香水、すごく怖いけどすっごく嗅いでみたい。。
ベン・ウィショーの演技が素晴らしかったです。
堕天使のきまぐれ? 彼は人間ではない・・・
ジャン=バティスト・グルヌイユは、堕天使のきまぐれで
人間界に送りこまれたモンスターだったのでは・・
彼には体臭がない、それは彼がこの世のモノではない事を
暗にほのめかしているのではないだろうか。
彼が存在した痕跡を消すかのように、彼にかかわった人々は
次々に非業の死を遂げていく。
そして彼は、刷り込まれた使命を果たすように、
究極の香水の材料として少女達を殺し、体臭を集めていく。
私は神様についてはあまり知らないので、ひとりよがりの妄想に過ぎないが
彼の作り出した香水は、アダムとイヴが食べた「善悪の知識の実」の
解毒剤でもあったのではないだろうか?
広場いっぱいに繰り広げられる交歓絵図は、エロチックと言うよりは
神の楽園に住んでいた頃のアダムとイブのように、無邪気に
ただお互いを求め愛し合う姿のようにも思えた。
そして、解毒剤のききめは短い・・・
彼の香水にひれふし互いに睦み合う人々を見ている内
堕天使の意図しなかった、
赤毛の果物売りの少女を人間として愛したかったという感情が、
彼の中に芽生えてしまったのかもしれない。
彼は自らを消滅させる為、生まれた場所へ戻っていく。
堕天使の指示は、世界を手中に収める事だったのかもしれないが・・・
音楽と映像そして主役のベン・ウィショーが素晴らしい。
好き嫌いはあるかもしれません
香水がキーワードということで、映像と音楽で香りを見事に想像させます。
○○の甘い香りにドキドキしたり、魚市場のシーンは非常に臭そうだったり。香水の調合が進むごとにオーケストラのパートが増えていく手法が非常に素晴らしいです。この劇中音楽は、ベルリンフィルが演奏しているそう。
主人公がある目的から連続殺人をするのですが、神出鬼没過ぎて恐ろしいです。女性側の視点のシーンはまるでジェイソンかなんか見ている気分に。
でもこの主人公、極悪殺人犯だというのにどうにも憎みきれない。動機があまりにも純粋だからでしょうか?まるで子供みたいで。主役のベン・ウィショーは怪演。ひょろりと伸びた首に小さい頭が載っていて、目を見開いてペタペタ歩く。その幼さも感じさせる一種異様な姿は、役柄そのものでした。
終盤の予測できない展開にハラハラさせられました。中盤あたりの想定範囲内のストーリーも、狙われた女性の父親(アラン・リックマン)に感情移入させることで、ハラハラ感を高めてきます。
ハンカチで弧を描き香水を群集に嗅がせるシーンがもっとも印象に残りました。群集がバタバタ倒れていく様子は笑っちゃうけれどしびれます。
そして最後に主人公の強烈な孤独を見ました。
突っ込もうと思えばいくらでもって感じではあるんですが、たまに笑いを堪えながらも引き込まれました。
好き嫌いはあるかもしれません。
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