PARTY7 : 映画評論・批評
2000年12月1日更新
2000年12月16日よりシネセゾン渋谷ほかにてロードショー
石井的マンガチック世界は何も考えずに観よ!
石井克人監督の前作「鮫肌男と桃尻女」でもっともぐっときたのは、話題になったキャスティング、ではなく、「マンガの原作をもっとマンガチックに映像化してしまう」というコロンブスの卵的発想だった。なるほどその手があったか、と妙に納得して監督に話を聞いてみると、もともと監督自身が漫画家志望、アニメの大ファンで (とくに「エースをねらえ」の出崎統)、宮崎駿のコンテ集でカット割りを学び、自身も詳細なコンテを切り、しかもそれをコマ撮り&アニメ状態のビデオを作ってから撮影に臨んだというのだ。
その話がやたら腑に落ちたのを覚えている。映画、音楽、漫画、お笑いなどから受けた影響、そしてCMディレクターとしての経験などももちろん大きいだろうが、たとえばディティールのこだわり方やキャラ設定などにアニメ的な発想を持ち込んだところに「鮫肌男」を、「どうでもいい話なのに飽きない」力を持たせたんだと思う。失礼な言い方ですが。
と、前置きをわざと長くしたのは、新作「PARTY7」は前情報なしの軽いノリで観て、深いこと考えずに「あー面白かった」と言えればそれでいい映画だからなのだが、ひとつだけ。
オープニングタイトルはいきなり本物のアニメです。
(松久淳)