誰も知らないのレビュー・感想・評価
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驚くべきナチュラルな子役らとその演出
悲惨な状況なのに大人がほとんど介在してくることのない悲しい物語。子役が画面の大部分を占めているにもかかわらず、非常にナチュラルな印象を受ける。台詞を言っているというものも、演技をしているというものも一切感じない。これぞまさに是枝監督の真骨頂というべき作品。
ただ、物語があまりにも悲しすぎて、見ていてつらい。それでも実際の事件などよりかなりマイルドにして、優しさも漂わせているところも感じる。現実はもっと過酷で残酷なものだろうと思ってしまうだけになおさら、この映画への哀しみが増してしまう。
リーダー的存在の柳楽優弥がカンヌの最優秀主演男優賞を取ったことも納得できる作品だった。
虐待殺人が世を賑わせている昨今。これも充分殺人未遂ぐらいにはなろう...
虐待殺人が世を賑わせている昨今。これも充分殺人未遂ぐらいにはなろうという育児放棄の話。実際にあった事件がモチーフというのが怖い。
母が子らへの愛情がないわけではない、そこがかえって悲劇的なのかもしれない。そして悪になりきれぬ長男。
途中、進まぬ話に不満も覚えたが、その分の衝撃もきちんとかえってきました。そしてことの顚末を敢えては描かぬラストも余韻が残った(あまり良い余韻とは言えないが)
本作が「万引き家族」につながっていくようにも思えました。こちらは気丈にも万引きには走らないところが面白いところではあります(笑)
ラストが是枝監督らしい
ほかの方がおっしゃる感想そのまま。苦しみ、悲しみ、怒り、やるせなさ、そして日常。それらが淡々と描かれている。
『実際に起こった事件を元に…』の注釈を入れているにも関わらず、彼らの存在(や、ゆきの死)が明るみに出る経緯などは一切ない。ラストも「らしさ」全開だと思った。是枝監督の作風に慣れてなかったら、たぶんめちゃくちゃモヤモヤして星なんて0.5か1かみたいになっていたと思う。
「周りの大人たち誰も助けない。店員、飯上げてる場合じゃねーだろ通報しろよ」って感想もよく見るけど、私は声をあげる大人である自信がない。それじゃ監督がこの映画を作った意味もなくなってしまうのかもしれないけど、「助ける」と言い切る自信がやっぱりない。あの状況のどこまで気づいたら、手を差し伸べられるだろう。本当に自信がなくて………。
子供が不憫、、
親が子供を捨てる映画って 意外とある
切ないのに見てしまうわ
「万引き家族」と同じ匂いよね、これだったんだ
しかしこれは撮影するのもつらい作業だったろぅな
荒れていく部屋・生活 子供だけの世界 心配するコンビニ従業員
想像力の働かない母親・・・今もどこかに「誰も知らない」
nobody cares
名作と言われているので我慢してみたが、正直長い。だらだら続くだけ。映画を見た後、映画のもとになった話を読んだがやはり予想通り誰も子供たちに関心なく、子供たちも仲が良かったわけではなかった。実話では長男に三女は殺されている。映画は実際に起きた事件をモチーフに作製されたのであって、実際の事件とは違うことはわかっているが、コンビニの店員が長男を気にかけていたり、アパートの同じ住人が子供たちに声をかけたりなどは見ていてありえない、と思いながら観ていた。もし真に長男が弟や妹たちのことを考えていたのなら保護を求めたであろう。事故死した二女をスーツケースに入れて羽田空港近くに埋めるのも美化しすぎ。子供を純粋な存在と思うのは大人の幻想。
知らぬ間に咲いている道端の花
どこからともなく飛んで来た種から芽が出て、いつの間にか咲くものもあれば摘み取られるものもある、野花のような子供達。
温室で大事に育てられた花とは違うけれど、その生命力は逞しく純粋で美しい。
平穏だけれど静かに喪失感に蝕まれていく「誰も知らない」子供達の世界が淡々と描かれていました。
一見優しく楽しいこの母親、子供の人数を偽る以外に何が問題なのだろうと最初は思うのですが(もちろんトランクは有り得ないけれど)、物語が進むにつれ、長男長女が家事をこなして母親の面倒を見ているような家庭であることが分かります。母親の夕飯を心配する息子。明と母親の会話が完全に逆転していました。自分の子供からのSOSに、まるでひと事のように答えるけい子は、たまにお土産を持って遊びに来るおばさんといった感じでした。そんな「母親」のおままごとに嬉しそうに付き合う子供達。子供の健気な寛大さと愛情深さが、状況の深刻さを良くも悪くも和らげていました。
冷静に妹弟の面倒を見る明の「保護者ぶり」は大人顔負けです。彼らが寂しがらないようにとお年玉を偽る優しく賢い兄も弱冠12歳。学校に行けず同世代の健全な友人にも恵まれず、家計のやりくりに疲労困憊し、食料と水の調達に明け暮れて、自暴自棄になっていく彼を責める気には全くなれません。
大家、コンビニ店員、野球監督。
一体どの大人が然るべき対応を取るのだろう?!とモヤモヤしました。既に15年前の作品となりましたが、今でもこんなに我関せずかな…と悲しくなります。少しお節介な大人は居た方が社会のためかも知れません。
紗希が親に福島家について相談しないのだろうかと不思議でしたが、毎朝通学のふりをして外出し、援交も躊躇わない彼女は、家庭でも幸せではないのでしょう。
子供達の捨てられた世界は、異臭が伝わってくるほど悲劇的であるにも関わらず、最後までなんだかファンタジーのような非現実感がありました。子供ならではの楽しむ才能に彩られ、また紗希のように進学しても(恐らく)家にも学校にも居場所がないような子供にとっては安らぎの場であるようでした。
久しぶりに家の外へ出れて、太陽を浴び、はしゃぎ回る茂。お買い物ですら新鮮で楽しい。兄弟4人で公園で遊ぶ。外で元気に遊べることが子供にとってどれだけ自然で幸せなことか…。
花から種を摘むシーンで、誰か捨ててったんじゃない?と言う京子に、あ〜かわいそうだね、とさらりと答えるゆき。自分も憐れんだ花と同じだと気付いてしまったでしょうか。
トランクで家に来て、トランクで去った妹。
明は飛行機を見る度に、幼く死んだ妹の真っ直ぐな視線を思い出すのかも知れませんね…。
悲しい
淡々と静かにゆっくりと進む感じが、
物語の重さを感じさせる。
実話が元になっていると思うと、
自分自身の生活がいかに幸せで
当たり前じゃないことを突きつけられる。
学校に通えて勉強できる。
運動ができて友達もできる。
家族がいてご飯が食べられる。
何より水を探すことなんてないんだから。
食料を調達してどうにか生きていこうだなんて、
兄弟を守って4人で暮らしていくことに
絶対的な責任を抱えて、
様々なことを犠牲にして、
それでも優しさと秩序を守って
生きて生きて生き抜こうとする長男と、
何があっても約束を守って、
ひっそりとあの空間だけに留まって
我慢を貫いていく子供達。
少しの光をも逃さないで
ただ純粋に未来を見つめて。
そんなことできないんだから。
氷のように枯れた瞳で
僕は大きくなっていく
なんて悲しいんだろう...
誰も知らない
ピッチとフィルムの導入は魅力的です。だから私は傑作の前にいると思う。大きな問題は、最初の四半期後に子供たちが自分のデバイスに放置されていることです。私も自分自身であることを認識しています。放棄された子供たちの怠惰を翻訳するためには、信念なくそれらを撮影する必要がありますか?これは、映画を咲かせた賞賛の雪崩での私の誤解を説明しています。どのような視点もないと、これは最終的には未形成であり、消化不可能である。
よかった
『万引き家族』を見た流れで前から気になっていたので見た。事前に悲惨であると聞いていたので覚悟して見たせいか、想定したよりは悲惨でなかったが、それでも悲惨で胸がいたんだ。児相にお世話になって欲しかったが、十年前は今より手厚くなかったかもしれない。
YOUが魅力的な分タチが悪い。子どもが4人もいてシングルならそれは大変だと思うのだがあまりにやり方が杜撰だ。それに貧乏人はなぜ袋麺を買わずにカップ麺を食べるのだ。
長男がお勉強していて健気だった。子どもがとてもいい子で、あんなもんか?と思うほどだった。それにすぐ肌がかさかさになったりぶつぶつができたり、虫刺されで痒くてかいて血を出して傷だらけになってしまうものだが、そういった描写はなかった。風邪も引かず、熱も出さないし、怪我もしない。重症にならない範囲で具合が悪くなっていた方がお医者さんに行かざるを得なくなり助かっていただろう。
豊かな国の貧困は親の喪失
有料契約をしなくても本格的な作品を放映しているのがすごいと思うし、若干気が引けるが、GYAO!でキネマ旬報ベストテンに入った作品群を放映しているという事と、柳楽優弥が14歳でカンヌ国際映画祭の男優賞最年少という受賞をしたのは薄っすらと新聞かテレビでやっていたかなと思い出したので観てみる。柳楽は『おんな城主 直虎』で私は認識したが、その後『ピンクとグレー』も観た。今の風貌のほうがかなり個性が出ていて、しかし14歳の頃も少し変わったルックスではあるかも知れない。是枝裕和監督については、何も最初から最後まで観た映画はないが、『海街diary』が異母姉妹のドラマらしく、どうしてそうした複雑なことを描くのか、スケベ親父のせいだし、女も女だと思って、そういうのを美化して描くのは偽善的だと思い、印象の良くない監督なのだが、少し調べたらこの映画も、シングルマザーになったのもわかるようなルーズな母親が失踪してしまい、残された子供4人の苦労の話らしい。現代の家族崩壊の病理を追った作品だろう。映像は、薄暗い色合いで高級感はない。ドラマの筋からいってわざとなのだろうか。海街にしても、この映画にしても、異母とか異父とかあるようでも4人という兄弟姉妹の人数は現在ではかなり多いほうになってしまっているだろう。淡々と独自の生活が続き、面白いなとは思えない映像が続く。映画というよりもリアルに描いているのだろう。見過ごしたが、出てくるコンビニは、14年後の現在のような、ファミマやローソンに吸収されていく以前のどこかのコンビニなのか。それはすでに歴史が動いている気がした。背景に音楽を流さない作りのようだ。主人公が父親に会いに行ったと思われるシーンがあるが、タクシー運転手をしていた。と思ったら、パチンコ店員の別の男も次に会いにきて、異父兄弟の別の父なのか。複雑な社会になると、よくわからない映画になる。理解不可能になるだろう。結局、母親の失踪で金が無くなったので、仮にまわっているのだろう。パチンコ店員はおじかなんかか。わからずじまいだ。元愛人か。しかし、こうした設定を苦労に強いとか、偽善的に映像化するのは良くはないだろう。というか、そう思ってみてはいけないだろう。不憫だとみれば、映像化の意味もあるのかも知れない。健気だとはいっても、悪いのはルーズな母親であり父親が元凶なのである。そこを見過ごしてはいけない。失踪したと思ったら、いったん戻ってきたが、長男は複雑な表情をしている。弟や妹はやや幼くて感情がわからない。しかし、母親はルーズながらも、長男の髪を切ってあげたりしている。貧乏だと1000円カットにもいけない。映像は薄汚くリアルに徹し続けている。1ヵ月も家をあけていたらしく、長女も不信がる。長女のさみしさを表すような演技も自然にみせている。また一重瞼の眠たい気味なそんな顔の子役である。数々の男と関係し、金もそれでなんとかしようとする母親だったとしたら、子供は辛いわけである。学校にも行かせてもらっていない。「だいたいお母さん勝手なんだよ」。「あんたのお父さんだっていなくなって勝手でしょうよ。学校なんかいかなくたって偉くなった人だっているのよ。田中角栄とか。アントニオ猪木とか。知らないか。」そしてまたどこかへ行ってしまった。四人の子供たちだけの生活が続く。どん兵衛のつゆにごはんを混ぜて食べるシーンや、長男が末っ子の5歳の女の子と手をつないで歩くシーン。女の子がアポロチョコがあと一粒だといとおしそうに口に入れるシーン。コンビニの名前は「新鮮組」だった。現在はローソンのフランチャイズをしているらしい。2004年。小学生の活動の場にコンビニが影響しているシーンが幾つかでる。生活苦でもないのに万引きを催促する悪い仲間。だがその時は主人公は万引きを断る。少し調べてしまったが、やがてその防波堤が、貧困ゆえに崩されていってしまうのか。やがて彼らは中学生になり、学校に行っていない主人公を嫌いはしないが相手にしなくなる。一方で、いじめを受けている女子中学生をみかける。アパートには隣への挨拶は母親が主人公を連れてしていたが、若干の遭遇があっても、部屋の中の状況までは近隣も気づかない。主人公はコンビニのアルバイトの募集年齢に1年満たない。タイトルが「誰も知らない」の意味が少しわかってきたような気がしてくる。コンビニの親切な女性の店員にも母親が帰ってきたと嘘をついてしまったりする。四人兄弟姉妹で暮らしたいからと、児童相談所にもいかない。リアリズム映像で続けるが、こんな子供たちが本当にいるのかというのが、リアルなのかどうかというのが交錯している。豊かな国の貧困は、家庭崩壊が原因の一つだ。親と子は壊れている。しかし兄弟姉妹はこの映画では壊さないのだ。しかも異父である。『海街』にしてもなぜ是枝監督はこうしたモチーフを繰り返したのか。とうとう電気、水道などが止められる。知り合いになっていく女子中学生は、いじめで制服を着ながら学校に行っていないようである。ここら辺も豊かな国の病理だろう。さらに女子中学生が貧困の兄弟姉妹のために援助交際でお金を作ってしまうところは、怒りと悲しみが混在してしまう。そして主人公はそれを察してお金をうけとらずに走って別れてしまうのだ。この場面は思春期の衝撃とも受け取っても良い。感情もなく淡々と描いているが。豊かな国の病理。14年後に既に末っ子役や次男の役者は引退しているようである。それもリアリズムになんとなく感慨を与えるようだ。ここで気づくと背景に音楽が流れている。なぜか状況はますます苦しいのだが、映像が若干明るくなっているような気がする。技術的な差異に過ぎないだけか。どん兵衛の天ぷらを生でかじる次男。そばが食べたいというとどん兵衛。カップ麺がごちそうで、おもちゃのピアノで遊ぶ次女。弟や妹に献身的に尽くしてきた長男に、いら立ちが積もってしまう。服を売りに行くんだといって長女と長男は喧嘩になる。実際にあった事件がモデルになっている面があるそうだが、誰もまさか学校に通っていない14歳くらいの人がいるとは思えない。なぜ野球を知っていたかなどは突っ込みどころにもなるが、偶然に長男は少年野球のチームに助っ人で出してもらえて喜んで家に帰ると、末っ子が家の中で事故を起こして死んでしまっている。長男は母親の愛人宅に公衆電話するが、お金が切れてしまう。そして長男はそれまでしなかった万引きをして店を飛び出す。手を見つめる長男。女子中学生と再会する。以前の援助交際えの金を欲しいという。それでアポロチョコをいっぱいコンビニで買う。次女の弔いをするのだ。時すでに遅しなのか、母親から仕送りのような数万円が届く。長男に、「頼りにしてるわよ」と書いてあった。トランクに詰められた次女の遺体と、女子中学生と一緒に長男は電車に乗って空港に行く。飛行機の飛ぶ横の草むらを二人で掘って、次女を埋葬する。脈絡はわからないがなんとなく、古い洋画の『スタンド・バイ・ミー』が思い浮かんだ。私は複雑な周辺が生んでしまう複雑な物語は好まない。複雑を見せてくれても好みはしない。このどうしようもないタイミングでようやく映像は美しく映される。飛行機という巨大資本と、コンビニの廃棄おにぎりをいくつも礼を言ってもらう残された3人の兄弟姉妹と女子中学生の4人。その後はわからない。豊かな国にしておきながら2004年当時いまだに貧困映画が作られていた。
これぞ邦画!柳楽くんの演技が光る。
丁寧な心理描写と、時間の使い方。やっぱりこういう邦画を見ると、邦画っていいなって思いますね。感情移入してしまう。彼らは各々、我慢していることはあるけれども、でも、4人で一緒に住みたい。という思いが共通していた。だから、助けを呼ばなかった。いや、呼べなかったのか。親を責めても仕方ない。みんなが、絵に描いたような母性を持つとは限らないわけで、そういう人でも困った時に、相談できるような体制を作ることが大切。あの母親を批判したところで、問題は解決しないどころか、もっと悪化するだろう。
それにしても、皆書いていることだが、子役が素晴らしい。
観ててツラくなる
これが実際に起きた事件だというのだから、余計胸に来る。
育児放棄をする様な親の気持ちが本当に全く理解できない。
育児放棄にも程度があると思うが、これは酷すぎる。
長男が必死になって下3人を守ろうとしている姿は観ててツラかった。
育児放棄自体を無くす事は不可能だろうけど、1人でも多くの子どもがこういうツラい経験をしない様に、せめて周りの大人が隣近所の状況把握くらいしておかなければいけないと痛感した。今回の件だけでなく、何事にも事件事故を未然に防ぐという意味で。
この映画が育児放棄の抑止力に少しでもなってくれるといいんだけど、、。
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