「能天気で無責任な『頼りにしてるわよ』に怒り」誰も知らない SING SINGさんの映画レビュー(感想・評価)
能天気で無責任な『頼りにしてるわよ』に怒り
ずっと見たかった映画ですがなんとなく先延ばしに。元になった事件も大体知っていましたが、見てよかったです。
先日「あんのこと」を見ましたが、どちらも共通点は毒親。しかし毒親というカテゴリーの中では真逆でした。「あんのこと」は子に依存して子を幸福から引きずりおろそうとする親。対して今作では完全なネグレクト。
12歳にして親の役割を押し付けられたのに、働きたくても働けないからお金がない。いっそ、万引きで警察の世話になってしまった方が良かったのではないか。でもアキラはろくに教育を受けていないのに、善悪がはっきりわかっていましたね。万引きを拒否したり援交にはっきりNOと言える強い信念。
「火垂るの墓」と重なるシーンもありますが、あれは戦時中の誰もが過酷だった時代の話。こちらは平和な高度経済成長期。平和だからこそ、子供達の過酷な環境が際立ちました。
ゲームを餌に友達を誘ったり、植物の栽培に楽しみを見出したり、お金が尽きて不安で心が荒むところがリアルでした。ほのぼのしたBGMも、淡々とした日々をうまく表現していて、逆に底知れぬ恐怖を感じました。
また、母親の「頼りにしてるわよ」の手紙に怒りを禁じえません。
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