「タイトルなし(ネタバレ)」バッドランズ りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
鑑賞するのは今回が2度目。初鑑賞は2014年にDVDで。
25歳のキット(マーティン・シーン)はサウスダコタ州でゴミ収集の仕事に就いている。
彼はどこから来たか不明の流れ者。
ある日、町で看板描きをする男(ウォーレン・オーツ)の15歳の娘ホリー(シシー・スペイセク)と知り合い、恋に落ちる。
ホリーの父親から交際を禁じられたキットは、父親を激昂の末に射殺して、ホリーとふたりで逃亡するのであった・・・
といった物語で、1958年に米国で起こった事件をもとにしていますが、ハナシとしては、それだけです。
それ以外に何もない、何もないがゆえに、遣る瀬無い、と初鑑賞のときに感じました。
今回もそれはそうだったのですが、途中から「キット、アホすぎるんちゃう?」と思ってしまう。
それはホリーも思っていたわけで、そういう意味も含めて、ホリーのモノローグで進む意味は大きいでしょう。
キットにとっては、ふたりだけの生活という夢へまっしぐら。
ホリーににっとも、同じであったが、途中から現実へと回帰してゆく。
あぁ、「絆」って、こういうことよねぇ、なんてことを思ってしまう。
父殺し(権威殺し)と、夢の崩壊というアメリカンニューシネマの王道。
だたし、アメリカンニューシネマで多く描かれたような主人公(キット)の死は派手に描かれなく、惨めったらしく死刑になったことだけが語られるのみ。
また、ホリー視線で描かれることから、後の女性映画の萌芽とも言えるかもしれません。
ビックリするような映像美(つまり傑出したシーン)もあり、その意味では「傑作」と呼ぶにふさわしいかもしれないのですが、個人的には評価が難しい類の作品でした。
なお、DVDで観たときにはもっと評価は低かったです。