劇場公開日 2025年3月7日

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「保安官が言う「ジェームズ・ディーンに似てる」というのは顔だけじゃないんだな・・・」バッドランズ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0保安官が言う「ジェームズ・ディーンに似てる」というのは顔だけじゃないんだな・・・

2025年2月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 ストーリーテラーはホリー(スペイセク)。バッドランド=モンタナへの旅へと導く自分たちのモノローグ。最初はゴミ集配人の仕事をしていたキット(シーン)。無気力だが、ある程度真面目に仕事をこなす若者。なぜかクビになってしまったキットは職安に向うが、生きる目的も薄いので、人のいやがる牛舎の仕事にも不満じゃなかった・・・。知り合ったばかりのホリーにも、カウボーイになれると自嘲気味。ホリーはジェームズ・ディーンに似てるキットに徐々に惹かれていった。娘が不良と付き合ってると知って父親(オーツ)は怒り、娘の飼っていた犬を撃ち殺してしまう。おかげでキットが父親を殺しても、父に対する感情は静かだった・・・

 死体をそのままにして家に火を点け、最初にたどり着いた場所では、人里離れた川のほとりで、木の上に小屋を作り暮らし始めた。そして、彼らの前に現れる賞金稼ぎや目撃者を次々と殺し、モンタナへとあてのない逃避行を続ける2人。最後はあっさりと捕まってしまった。

 モンタナの荒涼とした土地がキットの心象風景とダブり、かなり心に残る作品。面白いとか感動するとか、そんな映画では一切ない。多分、朝鮮戦争へと出兵した経験があることを窺わせるが、そこで人を殺すことを何とも思わない感情が植え付けられたのだと想像できる。凶暴でもないし、犯罪者の顔でもない。ごくごく普通の青年の顔を持ち、自分が死ぬことを怖いとも感じない精神の持ち主。保安官や軍隊を相手にしても友達感覚でしゃべる姿も印象に残る。

【2012年ケーブルテレビにて】邦題:『地獄の逃避行』

kossy