天空の草原のナンサのレビュー・感想・評価
全4件を表示
犬と子供と大草原
モンゴルの遊牧民の生活はテレビのドキュメンタリーでも観ていたので見知っていました。むしろ最近の遊牧民はソーラーパネルとパラボラ・アンテナでゲルの中でテレビを観ているというから格段に近代化の影響が及んでいるようです。
そんな変わりゆくモンゴルの近況に伝統文化への危機感を抱いたのでしょう、モンゴル出身でドイツで映画製作を学んだ脚本・監督のビャンバスレン・ダバーさんは自身のアイデンティでもあるモンゴルの遊牧民の自然との共存の暮らしぶりを映画に留めたいとの思いからドイツ人スタッフと共にモンゴルでの撮影に臨みました。出演者は実際の遊牧民バットチュルーン一家です、ただ生活を撮ったのではドキュメンタリーですからモンゴルの犬の寓話(原題の黄色の犬の洞窟)をアレンジしてプロットにしています。最初、飼うことに反対していた父が健気なワンちゃんの活躍を観て翻意、めでたしめでたしというシンプルなストーリですから、見どころは子供たちの自然な振る舞い、豊かな表情に尽きるでしょう。犬と子供と大草原とくればそれだけで名画の誕生ですね。
映画というよりドキュメンタリー
総合:65点
ストーリー: 30
キャスト: 65
演出: 70
ビジュアル: 80
音楽: 65
普通の映画とはかけ離れていてちっとも映画らしくない。これは本当に映画で、出演しているのはプロの俳優なのか、そう思っていたら本物のモンゴルの遊牧民の家族を撮影したらしい。だから実在の家族の、モンゴルの草原地帯のそのままの生活なのだ。それは時々出てくるバイクやプラスチック製品などがなければ現代とは思えないほどの昔ながらの生活。美しい自然だがどことなく寂しさや自然の厳しさも感じてしまう。それでも子供たちがのどかに遊んでいるのは可愛らしい。
そんな半分ドキュメンタリーな映画なので、物語は無きに等しい。ひたすら淡々と日々の生活を撮影しているだけで下手すると退屈なだけなのだが、カメラを意識していない彼らの生の姿を覗いてみるのも新鮮でいい。日本とあまりに違うその姿を見せることで、退屈の一歩手前で踏みとどまっている。それだけでは映画にならないから、無理やり犬を登場させて物語を作って、ちょっと強引だがきっちり結末をまとめましたという感じ。でもそれでなんとかまとまっているので悪くはない。
じわじわと文明や社会が遊牧民に影響を与え始めていることが描写されていて、このような生活も岐路に立たされていることがわかる。今後どうなるのか、どちらがいいのかはわからないが、まるで時間旅行で過去に行ったかのような生活を疑似体験出来たことが新鮮な気分になれた。
子供たちと犬に癒される
フィクションだけど登場する遊牧民一家は本物。ストーリーとともに彼らの生活ぶりをつぶさに映し出す様はドキュメンタリー的。
ともかくナンサをはじめとした登場する子どもたちと犬(ツォーホル)のかわいらしさと愛らしさが全てで、ストーリーは正直二の次でもいいような。子どもたちと犬を眺めているだけでOKと言えてしまう映画です(もちろん、いい意味で)。どのシーンをとっても画になるモンゴルの風景や構図も素晴らしかった。ちょっと眠いのは確かですけどね(笑
全4件を表示