「ファシズムと退廃」地獄に堕ちた勇者ども jarinkochieさんの映画レビュー(感想・評価)
ファシズムと退廃
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平穏な時代には一族の中で〈出来損ない〉と見られていたマルティン(バーガー)は
ナチスの台頭に呼応して蠢きだす
ラストでは〈男の中の男〉になったと確信する展開に
そして若く、繊細で、まともな神経を持っていた
ギュンターをアッシェンバッハと二人でナチズムの中に引きずり込んでゆく
ドイツの鉄鋼一族クルップをモデルに
シェイクスピア、ドストエフスキー、トーマス・マン等で脚色しながら
当時の事件も上手く盛り込んでいる
ひと癖もふた癖もある俳優の勢揃いだった
ここでは(役柄もあるが)後年、背徳の香りを漂わせる
ランプリングも 若く、清純派で悲劇的
マルティンと同様に妖しい輝きを放つバーガー
その腹からマルティンとナチスを産み出した
腐ったヨーロッパの資産家を代表するような
男爵夫人を演ずるチューリンが強く印象に残った
ファシストを利用するつもりが
反対に崩壊してゆく鉄鋼一族は
ドイツ軍需産業の終わりも暗示しているのか
一族の騒動を尻目に(たきつけておきながら)
のんびり葡萄を食べてる
アッシェンバッハ(グリーム)は
アダムとイヴを誘惑した蛇のようでもあり
国や産業の発展でも崩壊でも利得する勢力のようにも思える
一族に投入されたフリードリッヒ(ボガード)は手駒のように使われてしまいますね
ビスコンティは色々気がついちゃったんでしょうねぇ
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