「胸が痛くなる名作」モンスター(2003) めるさんの映画レビュー(感想・評価)
胸が痛くなる名作
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再視聴。前回観た時は高校生。その時は、アイリーンと同罪と言ってもよいだろうとセルビーに憤ったが、今回10年ぶりくらいに観てその時とは考えも変わった。
アイリーンはあの事件まで一生懸命不器用ながら生きていた。学もなければなにか秀でた才能もない。そんな自分は体を売ることでしか生きていけないのだと。そんなある日、セルビーに出会いはじめて自分の生き方をしたいと思ったんやろう。セルビーは確かに依存していた。殺人を犯していたことは気がついていたやろう。それでも離れなかったのはお互い共依存になっていたのか?全て彼女たちの意思で決めたことなのだ。
殺人を犯していることを内心気が付きつつ見ないふりをしたセルビーにしても、セルビーのためといいながらセルビーと離れたくないがために自分のために殺人に手を染めたアイリーンにしても。この映画を観終わった後事件のことについて思わず調べてしまったが、アイリーンは売春するには高齢になっておりなかなか客がつかなかったそうだ。そんな状況もあいまってだんだんと人としての心を失ったのか。アイリーンのセルビーに対しての態度を見ているととても人間的なのに、そのためにやっていることは常軌を逸している。
殺人は肯定できない。しかし、それだけで終わらせてはいけない。彼女たちの心情を考えるのは難しいが、彼女たちがおかれた背景については考えなくてはならない。
シャーリーズセロンの熱演が光る名作。
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