シン・レッド・ラインのレビュー・感想・評価
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いろんな側面を描きたかったのか
視聴:2回目
推薦:映画マニアのみ
感想:大昔に観たが今回観て全く覚えてなかったことが分かった。3時間近くあるこの映画を集中途切れず見ることはできなかった。どうしてもながら見をしてしまいます。要所要所見入るシーンはありますがどうしてもダラダラしてる感がありスマホをいじってました。ただ端折ってしまうとこの映画の特色はなくなってしまう。いろんな面を見せたかったのかな。
他のレビューでは書かれてませんが中間管理職は大変だなと思ってしまった(自分に重ねてしまった)。あと、長尺の後半に別れ話を切り出されたのはどっと胸に来ました。
似た時期にプライベートライアンがありましたが、そのせいでこの映画の方が印象に残ってなかったのかも。今見たら俳優陣もすごく豪華で、みんな若かったです。
最後に、この映画のジャケットイメージは数ある中で印象に残るもので、こんなに豪華俳優陣ですがジャケットでこの映画を端的に表してるのだなぁと改めて思いました。
戦争版ツリーオブライフ
楽園に敷かれた生死の境界線と戦場での魂の救済。
生と死 自然と人工 人間と動物
愛と憎悪 善と悪 正気と狂気
楽園と奈落 水と火 光と影
平和と戦争
下から上を見上げる撮り方が多い美しい映像からは、様々な対比が浮き彫りになります。
これら全ては神が創造したのか、同じ人間とその心が作り出したのか。
"Look through my eyes. Look out the things you made... all things shining."
語り手が自分の魂に向かって語る一節ですが、「創造主」への挑戦とも皮肉とも取れました。
日本兵の描き方は、まぁこんなものかと…。と言うより、日米の兵士共に、激戦地でこんなに理性が残っていたのか??と疑問です。
名優達の名演、怪演が良かったです。え、この人も出てたの?!え、あの人も?!って感じで、誰が出てるかにばかり注目してしまいました。
国破れて山河あり
この映画、人間の視点・時間軸では描かれていない。
じゃあ何の視点・時間軸かと問われても正解はない。
敢えて言えば神の視点・時間軸だろうか。(あまりにもベタ過ぎるので書いていて恥ずかしいのだが、分かりやすい例として挙げておく)
生けとし生きるモノ全てを並列に描いている。
苛烈なガナルカナル島の戦闘も、美しき島の自然も、ラストシーンで海に漂うヤシの実も。
国破れて山河あり。
人間同士が壮絶に闘い殺しあっても、想像を絶する苦難を伴って死んでいったとしても、厳然と存在し続ける山河。太古の昔から、そしてこれからも。
ラストシーンのヤシの実は新しき命の誕生の象徴なのか。人間の苦難にかかわりなくこの世界は続いていくということなのか。
これを希望とみるか虚無とみるかは観客の側に委ねられている。
マリックの真髄ここに極まる!
テレンス・マリック20年振りの監督復帰作となった1998年の作品。
同時期に公開された「プライベート・ライアン」に観客も話題も持っていかれ、オスカーでも完敗。
しかししかし、非常に奥深い作品である。
背景となっているのは、第二次大戦下のガダルカナル島でのアメリカ軍と日本軍の激戦。
リアルで派手な戦場シーンとか兵士たちの友情とか愛国心とか、そんなありきたりな戦争映画ではない。
大自然の中で繰り広げられる争いを通じて、戦争の愚かさ、醜さ、人間の弱さ、狂気を浮き彫りにする。
それらと対比する大自然の何と美しい事!
余りにも残酷な神の仕打ちとしか言いようがない。
詩的な映像、美しい音楽、人間の存在と神への問いかけ…。
「ツリー・オブ・ライフ」にも通じるマリックの真髄。
「2001年宇宙の旅」がSF映画孤高の作品なら、「シン・レッド・ライン」は戦争映画孤高の作品。
久し振りに見ても新鮮さに溢れている。
戦争映画ではなく、戦場を舞台にした思索の探求
総合:65点
ストーリー: 55
キャスト: 70
演出: 70
ビジュアル: 80
音楽: 70
最初はちょっと退屈な映画だった。戦争映画なのに、戦争をしている緊迫感が薄い。銃撃の音や爆発音でうるさいはずの戦場なのに、何故か静謐な感じを受ける。目の前で生命体であった物の体が吹き飛ばされ肉が分離し命が消えつつあるのに、それが実際に起きている事とも思えない。現実を離れ幽体離脱でもして第三者の目から俯瞰しているかのような、しっとりと落ち着いた神々しさすら覚える視線で物事が流れ進んでいく。背景を美しく撮影し、自分の参加している殺し合いを、まるで他人事のように離れて見守っている。だが本当の戦争ってこんなもんじゃないだろうと思った。
だが何となくこの長い作品を延々と見ているうちに不思議な感じがしてくる。自分が社会に生き組織に属する人間であることを忘れ、自分自身は何者か、人類とは、生物とはという問いを、戦場の中に探索しているかのような気分になってくるのである。調べてみるとテレンス・マリック監督はハーバード・オックスフォード大学で哲学を学んでいたそうで、映画の題材の中にそのような主題が含まれているのかもしれない。これは戦争映画なのではなく、戦場を舞台にした哲学・詩・文学・芸術作品なのだろうか。そういう見方をすれば、最初に感じた退屈とは違った感情が芽生えてくるのである。
もしそれが正しいとして、そういう見方をする映画があってもいいかとは思う。なかには極限の戦場という体験を通して、そのような思いに時間を使う者もいるだろう。それはそれでいいのだが、やはり戦場という現実は今日の自分の命を繋ぐ事すら困難な場所。思索など吹き飛ばすくらい半端なく厳しいんじゃないのか、とも思ったので、美しい映画と認めつつも、少し頭でっかちで現実逃避的な青臭さも感じた。特に映画の舞台となっている戦場はあの悪名高き「餓島」ですから。
全てを壊す戦争が生み出すものは何か。
言葉に言い表せないほど圧倒的な映像世界にテレンス・マリックの本領を見た。
その凄すぎるカメラワークによって一気に"ガダルカナル島の戦い"の追体験へ引きずり込まれる。
多くの戦争映画の中でも戦地での"人間"を描き出した特に優れた作品だ。
戦争という極限を体験する人間を嘲笑うかのようにガダルカナル島の大自然はその太古からの営みを変わることなく続ける。
このまま生にしがみつくために戦い続けるか、それともこの世の全てから解き放たれ安息の地へ向かうのか。
一方、安息の地など存在するのか、死の先には何が在るのか、信じて来た神の仕打ちが戦争なのか。
人間と自然。
生と死。
神の存在。
戦争という愚行は多くのものを破壊し、多くの問いかけを与える。
人々は死という極限の体験にその答えを見つけ、忘れ、また繰り返す。
映し出される太古からの自然の営みと同じように、人間の太古からの営みは争うことなのかも知れない。
睡魔との激戦
退屈。冗長。
ここまでで苦痛な映画はなかなかないかも。
戦争映画でありながら、象徴的な映像と詩的な独白が延々と続く。
そういった抽象的な演出によって、生と死を考えさせる映画なのだろうが、実質的にはストーリーはないに等しく、余程感受性な人でないとそんなレベルに至らない。
加えて、取り立ててフォーカスされるキャラクターもいないせいか、誰が誰だかわからなくなってくる。
唯一、残してきた奥さんについて散々妄想していた彼がその奥さんに裏切られるところのみ、ドラマを感じた。
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