劇場公開日 1999年4月10日

「マリックの真髄ここに極まる!」シン・レッド・ライン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0マリックの真髄ここに極まる!

2013年6月14日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館、DVD/BD

知的

難しい

テレンス・マリック20年振りの監督復帰作となった1998年の作品。
同時期に公開された「プライベート・ライアン」に観客も話題も持っていかれ、オスカーでも完敗。
しかししかし、非常に奥深い作品である。

背景となっているのは、第二次大戦下のガダルカナル島でのアメリカ軍と日本軍の激戦。
リアルで派手な戦場シーンとか兵士たちの友情とか愛国心とか、そんなありきたりな戦争映画ではない。
大自然の中で繰り広げられる争いを通じて、戦争の愚かさ、醜さ、人間の弱さ、狂気を浮き彫りにする。
それらと対比する大自然の何と美しい事!
余りにも残酷な神の仕打ちとしか言いようがない。

詩的な映像、美しい音楽、人間の存在と神への問いかけ…。
「ツリー・オブ・ライフ」にも通じるマリックの真髄。

「2001年宇宙の旅」がSF映画孤高の作品なら、「シン・レッド・ライン」は戦争映画孤高の作品。

久し振りに見ても新鮮さに溢れている。

近大