「日本人には語れない」ミリオンダラー・ベイビー にゃろめさんの映画レビュー(感想・評価)
日本人には語れない
ボクサー映画でもなければ、尊厳死の映画でもない。
血のつながりと愛の映画でもない。
映画を見た後、少しだけ歴史の勉強してみた。
新大陸を求め、アメリカに渡った最初の民族はイギリス(イングランド人)だ。
その後、フランス。そしてオランダ、ドイツなど。
イギリス人やフランス人は先住民であるインディアンを排除しアメリカを建国した。
その後、アイルランド人移民が入ってくる。
先に入った英仏はその後に来たアイルランド人やイタリア人を差別し
迫害する。
※アジア人(中華系)や黒人(アフリカ系)が入ってくるのは、さらにその後。
故郷アイルランドではイングランドやスコットランドからの植民地化が進み、
新天地アメリカでは迫害を受ける。そんな因縁を持つ民族。
それがこの映画のバックボーン。
憎きイギリス(青のイメージ)青い熊ビリーは汚くズルく、
そして強い「完全な悪」として描かれる。
一方、主人公マギー=アイルランド(緑のイメージ)は、
我慢強く努力を惜しまない「モ・クシュラ」として描かれる。
その二人がアメリカという地で激突する。
しかし、突然悲劇が訪れる。
2人が選んだ結末を否定する意見も多いが、
アイルランド人のほとんどがカトリック信者で
あることが深く関係している。
敬虔なカトリック信者ではない日本人には
理解しがたい。理解しようとしてはいけない。
と、思う。
そうした背景があってこそ、
アカデミー主要4部門受賞に意味がある。
アメリカのアメリカたる権威「アカデミー賞」受賞に
意味がある。のだ。
とかいう、私の浅い知識を差し置いても
キャラクター設定、物語のテンポ、人間関係の描写など
さすがイーストウッド監督と言わざるを得ない傑作で
あることは間違いがない。のだ。
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