殺人の追憶のレビュー・感想・評価
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ソン・ガンホが上手すぎる
よくある刑事モノのように事件がスイスイ解決しない、泥臭い緊迫感と生活感。他の国の映画には無い、韓国映画のオリジナリティが発揮された好例。
刑事にはハリウッドっぽい幸運もチャンスも訪れず、次第に追い詰められ無力感に苛まれる・・・終始何ともいえない独特の緊迫感が漂っていてよかったです。
オチの物足りなさを指摘する人が多いようですが、それも含めて、独特の演出は味わう価値があるかと。
ソン・ガンホが輝いている。とても良かった。
秀逸作品
2000年前後に多く作られたサスペンス作品の中で頭一つ抜きでた作品。ポンジュノ監督ならではの発色を抑えた画面とところどころ見せるユーモアが効いている。製作時未解決事件であったが義妹を殺害した李受刑者のDNAが一致し10件中9件に手を下したと自供する。(一件は模倣犯)しかし全ての事件が時効となっている為立憲出来ず。このような事実を含め法律の矛盾をも考えさせる秀逸の作品。
リアルかもしれないが、じとっとした艶めかしさが全体を覆っているし、...
リアルかもしれないが、じとっとした艶めかしさが全体を覆っているし、暴力性が強く、色気のあるシーンが特徴。監督の色なのか韓国映画の色なのかわからないが、あまり見たいと思わない。グロテスク。
かなり前に下書き途中のままだったためこれ以降は内容を忘れたがこれでも十分だと思った。
犯人を捕らえたい・・・刑事の本能
2003年作品。監督は「パラサイト半地下の家族」のポン・ジュノ。
ポン・ジュノ監督も主演のソン・ガンホも只者ではなかった。
現実に起きた婦女暴行殺人事件を追う刑事たちに焦点を当てた
緊迫のサスペンス映画。
事件が映画の中で解決しないので、なんとも言えない徒労感に
グッタリする映画でした。
容疑者は3人は次々と出てきます。
1番目を少し知能の足りない食堂の息子。
2番目は殺人の現場に現れて、ブラジャーやパンティを並べて
自慰行為にふける変態男。
3番目は除隊して華城村に帰って来た男。
この男が村に来てから殺人事件は始まったのです。
しかし男は無実を主張して怯まない。
★目撃者がいない
★証拠がない
浮かんでは消える容疑者に刑事パク(ソン・ガンホ)と、
ソウルから応援に来た
刑事ソ・テユン(キム・サンギョン)は、焦りと疲労とストレスで
精神が追い詰められていく。
犯人扱いされた知的障害ある第一容疑者は本当に、被害者。
壮絶な運命を辿ります。
迷宮事件の捜査を描いた映画は他に
2007年のデヴィッド・フィンチャー監督の
「ゾディアック」がある。
こちらも負けず劣らずの緊迫感のある映画だが、
猟奇殺人事件には刑事もジャーナリストも寝食忘れさせる
強烈は磁場がある。
刑事の業と性(さが)を掘り下げた最後まで面白い映画だった。
追記
2019年。この事件の真犯人が捕まった。
DNA鑑定でも一致している。
まずは未解決事件が解決したのは本当に良かった。
画面が
ずーっと暗くて暗くて、ちょっと観るのに足踏みしてしまいそうですが、見始めると目が離せません。でも、結局未解決のまま、終わり、調べたら韓国で実際にあった事件という事。たくさんの人を殺して国中を恐怖に陥れたのだからこの暗さは必要なのですね。なかなか結着しない事件だから刑事の葛藤とおどろおどろしさを描いたのでしょうか。
追記:犯人は逮捕されたようです。全くノーマークの人だったとか。
韓国映画の最高傑作‼️
ポンジュノ監督としては「パラサイト」を凌いで最高作、しいては韓国映画としても最高傑作じゃないでしょうか。これは韓国で実際に起きた未解決の殺人事件を描いているのですが、事件そのものよりも事件に翻弄される刑事たちの感情に焦点が当てられているのがポイントです。相変わらずソンガンホは上手いのですが、ラスト、降りしきる雨の中、常に冷静に捜査を進めてきたキムサンギョンが遂に逆上するシーンは圧巻。岩代太郎さんの音楽も素晴らしい。
3.2
全体的に古く特徴があまり感じられない映画。
途中で見るのを辞めそうになった。
というのも、人が突然死んでしまい、誰なのかもわからないので
その殺人鬼の恐ろしさがどこか感じられない気がした
監督も配役も今をときめく感じではあるが、個人的にはそのように写った。
ただ後半のワンシーンワンシーンは昔の日本映画にあるような「the映画」という間とスポットライト的な劇的な表現が多かったように思う。
もう少し被害者の人間性がわかれば、うわーーー殺さないでくれ的な感情移入ができ、ハラハラしたかも。でもそうした狙いではなく、一種表現作品の方にふっているので好みが分かれるとは思う。
真犯人は誰だったのか、明らかにしないまま終わってしまった。映画とし...
真犯人は誰だったのか、明らかにしないまま終わってしまった。映画として良かっただけに、オチがあっても良かった気がする。でも実話ベースだから仕方ないのか。
ソン・ガンホ、やっぱりうまい。
実話が元だから‥
何とも中途半端な気持ちで終わる映画だった。未解決事件だから仕方ないけど。
昔の韓国の警察はこんなだったのかと思いつつ、日本も自白を強要した事件があったから似たり寄ったりね。
重要な鑑定結果を雨の中で確認し、その場で処分。こういうリアリティの無さは嫌いなところ。評価:3.3
お見事👏
パラサイトが面白かったので、ポン・ジュノ監督の初期作を鑑賞。凄い!韓国警察の闇にズバズバ切り込みます。自白強要に証拠捏造、キレッキレなドロップキックまで何でもござれ。ストーリーが二転三転し、登場人物が次のシーンでは違う立場になる脚本は見事ですよ。
間違いなく傑作
この監督って、やっぱり天才なんだなと鑑賞中に感じた。
ソン•ガンホはコメディもいいし、シリアスな役も完璧に演じれるさすが名俳優。日本でこの役を誰ができるだろうか。フワッとした感じから、急にぐっと獣のような目つきに切り替わる。圧巻の演技。
やはり撮り方違う。
美しい秋の田園風景、雨の森、雨の畦道、暗いトンネル、そしてまた美しい秋の田園風景。
美しい田園で主人公が感じる絶望。
このギャップにやられた。
内容だけ見れば結末にもやもやするかもしれない。
しかし、一連の流れ、登場人物それぞれの葛藤、映し出される美しい風景。
そして迎えるラスト。
完璧。
胸を張ってお薦めできる。
韓国社会を知らないと伝わりづらいかも
実際の未解決事件を題材としているということで、ミステリーとしてはすっきりしないまま終わるので不完全燃焼ではあるが、それよりも人間ドラマとして描いた映画。
韓国警察の闇に切り込んだ作品。韓国社会の事情を知っていればもっと楽しめただろう。
最後の少女の言葉と第4の壁をぶち壊すラストカットは秀逸。
簡素化しない徹底した描写
ポン・ジュノ監督、ソン・ガンホ主演の2003年公開作品。
実際の事件を基に作られている。
80年代当時の韓国の日常や風景、また人物の何気ない行動や仕草などへのこだわりが徹底している。
(例えば、普通の食事シーンや主人公の刑事の自宅及びオフの時の行動など)
ポン・ジュノ作品に限らず、ナ・ホンジン等の作品にも感じるが、主に警察などの体制側の人間は割とコミカルなダメ人間として描かれる傾向にあるように思える。
また途中まで、それこそコメディタッチで話が進んでたはずなのに、いつの間にかシリアスな方向へ急展開し、ラストは何か不穏な気持ちを抱かずにはいられない感覚を残す作風が多い気がする。
そして、2019年、第92回アカデミー賞にて作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞などを受賞した「パラサイト 半地下の家族」までの作品において、ポン・ジュノ監督の、作品に対する作家性に少しもぶれがないところが一流の映画人たる所以でもあり、人気の秘訣でもあるんだと思う。
【釘づけにされる実話をもとにしたサスペンス映画】
・2003年公開の韓国のサスペンス映画。
・1986年~1991年に韓国で実際に起きた「華城(ファソン)連続殺人事件」をモチーフとした映画のようです。
・1986年、韓国の農村地帯華城の用水路から束縛された女性の遺体が見つかる。それを契機に、赤い服を身に着けた綺麗な女性が、同じように女性自身の下着で束縛された状態で殺されてしまう事件が次々と発生していく。解決するために地元の刑事パクとチョ、ク課長と共にソウル市警の若手刑事ソの4人が懸命に捜査を進めていくが、それをあざ笑うかのように殺人が止まらない… という大枠ストーリー。
[お薦めのポイント]
・「なぜ?」「だれが?」が最後まで止まらないサスペンスの面白さ
・ところどころにシュールな小ネタ笑いがちりばめられていて飽きない
・1986年という時代が手に取るようにリアルに感じられる
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
[物語]
・「犯人はいったい誰なのか」「なぜこんなことをするのか」というモヤモヤで最後までしっかり引っ張ってくれます。しかも、途中からは操作する刑事をあざ笑うかのように犯罪が発生していくので、ラストの頂点に向けてどんどんとモヤモヤが膨らんでいき、ますます画面から目が離せなくなります。
・実際の事件をモチーフにしているため、物語の落とし方はほぼ決まってしまっているのでしょうが、ここが好き嫌いの分かれ目になるかもですね💦 私自身はラストの目線で、観客が客観から主観に変わるような気がして好きでした。ここは解釈の仕方で面白さが変わるところかもしれませんね。そういう余韻を持たせてくれる所も好きです。
[演出]
・1986年の韓国なんて全く知りません。が、それでも当時の雰囲気をリアルに手に取るように感じてしまう。そんなロケ地や街並み、台詞や行動が妙に共感できて面白く感じました。
・地元の刑事パクは2年生大学出、チョは大学出ておらず、ソウル市警の刑事ソは4年制大学出。この生い立ちを基に、コンプレックスを抱く地元刑事2人とソのちょっとおバカな絡みが小ネタが効いていて好きでした。最初は距離感あるのに、どんどんと仲間意識が芽生えていく流れが、登場人物たちに愛着を持たせてくれる仕掛けになっていてよいですね。エリートのように見えるソが、段々と地元刑事の2人と変わらないように焦燥感を覚えていく姿も見どころではないでしょうか。
[映像]
・ひと昔前、が良く表現された映像になっていると思います。当時の実際なんて知りませんが、それでも「リアル」さを感じさせてくれるところが映画ならではの良さで、それを余すことなく実現してくれています。
[音楽]
・序盤の寂しい感じのBGMは田舎の風景とマッチしていて、妙に共感できる哀愁感があります。これから起こるおどろおどろしい出来事が、こんな哀愁漂う田舎で起こるんですよ~、とどこかアンマッチさを感じさせてくれるところが好きでした。どことなく映画「ハゲタカ」の中国のシーンを想起させてくれました。
・基本的にはBGMは多用されておらず、雨や風景音のみで物語を進めてくれます。これがまた1986年という時代のリアルを感じる仕掛けなのかもしれません。
[演技・配役]
・主役のソン・ガンホさんは映画「パラサイト」の記憶がしっかりありました。至って普通の容姿なのに、味があってとても好きです。ソンさんがやる天然ぽさと言いますかギャグっぽさといいますか、そういうのは不思議とすっと入ってきて面白く感じてしまうんですよね。ソ刑事演じるキム・サンギョンさんは初めて見た気がします。エリートと一般市民の葛藤・狭間、を非常にお上手に演じられていたと思います。どことなく、中村俊介さんに似た雰囲気を感じました。
[全体]
・映画全体の雰囲気とか物語の流れ、人間ドラマは釘付けにされてしまうような素敵なモノでした。ただ、個人的には実話ありきの話ですが、できれば着地のさせ方をオリジナルにしてほしかったなぁ、と思います。この余韻こそが映画の醍醐味!とも思いますが、どうしてもモヤっとしてしまいました。とはいえ、最初から最後まで「どうなるの⁈」と終始ドキドキさせてくれた映画。とても面白い一作だと思います。ありがとうございました。
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#全体3.6 #物語3.7 #演出3.6 #演技3.6 #配役3.5 #映像3.5 #音楽3.5
72点
パラサイトで名前を知った監督の名作。
古い映画見るたびに思うけど、最近は絵が綺麗すぎる。
絵もそうだけど舞台や背景も汚くてそれがいい。
3年近く前に鑑賞した作品なので正直あまり覚えていませんが、終わりのシーンはとても覚えています。
近々またちゃんと見返して再評価しようと思います。
事件のその後
監督:ポン・ジュノ、主演:ソン・ガンホ、そしてタランティーノの好きな映画という事でいつかは観なくてはと思っていた。
ただ、残酷と思っていたので、恐る恐る観た。
結果、さほど残酷ではない。ストーリーはハラハラはするが、思ったほどでは無かった。ただ、2019年にこの映画のモチーフになった事件にある事が起きたのはビックリ。
公開当時に見ていれば
最近ようやく韓国映画を見るようになって、特徴的だと思っていたのは悪役の描き方。
もう人間性のない、とにかく悪魔みたいな描き方をしていることが多いと思うんだけど
もしかしたらこの作品が影響してるんじゃないかと思うほど見せ方に成功していたと思う。
舞台設定の1980年代の韓国の闇もしっかり押さえながら
それでも溢れ出る人間性とか絆とか。
○○ハラが言語化されていなかったかつての”当たり前”を、
さりげなく、でもしっかり問題にしているあたりも非常に現代的だった。
ただ全体として面白いことは確かなんだけど、いかんせん見るのが遅かった。
公開当時に見ていたらめちゃくちゃハマっていたかもしれない。
実際の事件に引き摺られ過ぎ、映画としての普遍的価値が…
昨年鑑賞済みだったが、
BS放映を機に再鑑賞。
全体的には良く練られたイメージの作品。
ただ、ポン・ジュノ監督作品としては
「グエムル-漢江の怪物-」と「母なる証明」
は好きだが、
「パラサイト 半地下の家族」の
アカデミー作品賞受賞は納得出来なく、
この作品も同じ印象を受けた。
犯人を作り上げることに
奔走する地元刑事を
コミカルに描く前半シーンは、
つかこうへいの「熱海殺人事件」をも彷彿
させる韓国警察の自虐的な風刺が効いて
逆に妙にリアリティを醸し出す一方、
自慰行為を目撃者された容疑者を
追いかける場面からの
アクション的で過激なシーンが続く後半は、
現実味が薄れ緩慢にも見え、
キネマ旬報第2位作品との評価は
これも納得外だ。
この映画、ラストシーンの
「よくある顔…普通の顔」
と子供に言わせたのは、解説にあるような、
立件出来なかった曲をリクエストしたの男
の再犯との匂わしでは無く、
多分に犯罪恐怖は
日常的に潜んでいると解釈をした方が
この作品の深みが増すのだが、
解説通りだとしたら
この作品の普遍性も消えて
残念な製作意図だ。
だから、映画で描かれた猟奇殺人の犯人は
このリクエスト男としか思えない描き方だ。
多分にたまたま別の精液が付着していた等の
結果、正しいDNA鑑定結果が出されなかった
だけとしか想像出来ない。
ラストシーンを
日常的な犯罪恐怖性への警鐘
と解釈したかったが、残念ながら
やはりそう思えない展開に違和感を感じた
のは当然だったかも知れない。
ある意味、実際の事件に引き摺られ過ぎ、
映画としての普遍的価値を失ってしまった
作品と言えないだろうか。
更に、最後のトンネル内を手錠をしたまま
立ち去るリクエスト男の扱い、
また、主役でも良いようなソウルから来た
応援刑事や
片足切断となった同僚の
作品内での終わらせ方も
いかにも尻切れトンボのようにも感じる。
ポン・ジュノ監督は、「パラサイト…」でも
同じ印象を持ったが、
前半は良く練られた作風だが、
後半になると作品の切れ味が低下してくる
イメージが私には常にある。
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