殺人の追憶のレビュー・感想・評価
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ポン・ジュノ/ソン・ガンホ
劇場公開時鑑賞。DVDで再鑑賞し傑作だと再認識しました。
初めて観た時は警察の捜査があまりに無茶苦茶でドン引きしましたが、今となっては韓国映画あるあるでした。
雨のシーンが多いこともあり、暗く陰鬱な画面はちょっと『セブン』を思わせたりします。
めちゃくちゃな捜査に埋もれていた手がかりが伏線になったり、ちょっと無理のあるところもありますが、最後「さあこれで解決だ!第三部完!」からのはずし方までいいように振り回されました。脳筋の暴力刑事とスカした頭脳派刑事というちょっとステロタイプだった二人が、終盤立ち位置が入れ替わる構成により、人物像にもグッと奥行きが出てくるのも見事です。
そしてエンディングのガンホの表情は、視線の泳ぎ方や瞬き一つまで素晴らしく、強い印象を残しました。
今日も誰かがヒッソリと
映画学校の教材に充当
80年代の韓国。よく知らないが、激動期であったと思う。不人情で、旧弊で、権柄づくで、澱んでいる。ペパーミントキャンディの空気感。陰気な時代の陰惨な事件。暗い。暗いけれど惹かれる。ぐいぐいからめ取られる。恐怖映画と言っていい。迫真だった。
ソは未開地にさした光明のような人物だが、構造として良心を牽引するのはパクだと思う。
──人はいいが単純。恫喝で物事を丸め込む。横着をルーティンとする韓国映画によくでてくる武闘派の私服である。そのキャラクターを呑むと、観る者はそこから動けない。だから、たいていの映画が動かない。ところが市警から派遣されたインテリ、ソの執念に感化され──おれたちはたしかに無為なことをしていた、と改心する。映画のキャラクターが動かないことを知っているとき、パクの改心はほとんどパラダイムシフトである。パクが素直になることで、映画に良心と理知がそなわる。──からだ。
今日多くの邦画にここを目指した痕跡を見つける。が、気配を模倣しただけでは殺人の追憶にはならない。
側溝を覗く。通りすがりの子供の述懐。そのときソンガンホの顔。時を経てよみがえった諸々。それらが怒濤のようにこっちへ飛んでくる。
ずっと韓国映画は鯨とりだけだった。比較する必要はないが、そもそも比較する対象がなかった。90年の終わり頃から数年でコンテンツを底上げした。いつのまにか邦画は後塵を拝した。比較は無用なのは知っているが、ぜんぜん負けたと思った映画だった。
ほぼ教科書だと思う。
タイトルなし(ネタバレ)
中盤までは
連続殺人を追いながらも滑稽なシーンが多く
それは容疑者に暴行を加えたりリンチともとれる扱いをしているシーンでさえもだ。
それがラジオにリクエスト葉書を送りつけている容疑者と対面してから一気に空気が変わる。
優しく品のある顔の容疑者は今まで追ってきた容疑者とは全く違う雰囲気で
人を見る目があると自負していた主人公が人間と言うものはもっと複雑で外見では何もわからないということに気付かされる。
ラスト、
数年後にまた容疑者の形跡が見られるが
その外見は、『普通の人』
画面を通してソガンホは容疑者の顔を見つめて、
普通の仮面の下にある本当の顔をみてやろうとする。
実際にあった事件で未解決であることと
滑稽な演出をしながらも妙にリアルな映像で
これまでのサスペンス映画とは違うおぞましさを感じた。
いろいろと深いなぁって感じた
・当時の時代背景がとのような感じなのか、非常に分かりやすく描かれていて、ストーリーに入り込みやすかった
・決して正義とは言えない主人公だが、次第に感情移入していくように愛着わいてくる
・やはり皆さん言うように、ラストシーンは非常にインパクトあり、メッセージ性を感じた
・被害者遺族を思うと、やるせない気持ちでいっぱいな気持ちになった
悲しみの中に降る雨
アカデミー賞受賞作品「パラサイト 半地下の家族」同様
、雨の情景の撮り方が巧いと感じた。
3人で追跡するシーンの音楽と映像の迫力が凄い。
降り続く雨の中で、刑事が流す涙が印象的だった。
歌詞の内容は分かりませんが、エンドロールで使われていた曲の歌声が、被害者の女性達の心の声に聴こえ
涙が溢れた。
ソン・ガンホさんの味のある演技が光っていた。
韓国映画独特の絶妙な笑いの要素有り。
ソン・ガンホ演じるパク刑事の恋人役の女優さんが
魅力的。
ポン・ジュノ監督の映画監督としての力量と、一貫した批判性を十分に理解することができる作品。
本作は1986年に韓国の農村地帯で発生した、実際の連続殺人事件を基にしています。事件の途中経過を切り出して物語化しているため、観客の視点は警察側にほぼ固定されています。そのため、ソン・ガンホ演じる刑事と同様、観客も犯人に翻弄される焦燥感を味わうことになります。この、どこに出口があるのか分からない緊張感を、トンネルの内部や夜道を映し出した映像が視覚的に強化しています。
事件がどのような経過を辿ったのかは諸々の解説が示すとおりです。犯人の狡猾さが警察を翻弄したのは確かですが、本作では警察の捜査方法に大きな問題があったのではないか、という疑問を投げかけています。当時の韓国は軍事政権下としては比較的治安が良かったようですが、事件発生の三年前には大韓航空機撃墜事件が発生するなど、軍事的緊張が続いていました。そのため警察力を国防関係に転用するなどの人員不足が生じており、それが現場の捜査不徹底に繋がったようです。さらに軍事政権の影響からか、当時の警察は自白重視、拷問黙認の捜査手法がまかり通っており、むしろ事件の究明を遠ざける場合もあったようです。
こうした韓国の暗部を描き出す姿勢はもちろん『パラサイト』に至るまで一貫しており、ポン・ジュノ監督の作家としての揺るぎなさを思い知る一作でした。
文句なしに韓国映画史上のベストの一本だろう
『パラサイト 半地下の家族』でカンヌとアカデミー賞を制したポン・ジュノ。彼の2作目にして代表作とされる今作をようやく名古屋シネマテークの特集『鬼才ポン・ジュノの世界!』で観ることができた。
そしてこれは噂に違わぬ傑作だった。
1986年、ソウルにほど近い農村で発生した女性連続殺人事件。それを追う刑事たちの焦燥。真犯人にたどり着けぬまま犯行が繰り返される。ユーモラスでゆるい空気が緊張感を増し狂気へと変わっていく展開が秀逸。
2003年のラストシーンで知るタイトルの意味。美しい田園風景が情景となった。激しく感動した。刑事を演じたソン・ガンホとキム・サンギョンが文字通りの名演。
実話 華城連続殺人事件
何も考えずただただ期待を込めてスクリーンの前へ
最後のラストをどう捉えるか、また舞台となった当時の韓国の田舎の有り様を予備知識なく見るとどう思うかで評価が少し別れるかもしれない。ただ傑作である事に間違いなく最後のラストまでは間違いなく「パラサイト」を凌いだ出来。見る前には舞台となった年代をきっちり認識しておかないと、ラストの転調に付いて行けず戸惑う。どんなに抽象的に評してもラストが肝な処は変わらない。限りなく★5つだがラストの解釈に★0.5の含みをつけた。
うーん。。。
多分観る人からみたら最高の映画なのかな?
全体評価が高かったから期待して、お金を払ってまで借りてみたけど、途中寝ちゃったしw
個人的に見終わった後に考えさせられる映画はきっと自分の好きな映画じゃないんだと思う。
だから低評価。
冒頭から、ちゃんと未解決事件って言ってるから、きっと犯人は誰かわからず終わるのかなと
思ってたけど、見終わった後はあんまりスッキリしなかった。
ただ、人間の葛藤とか不安、苛立ちそうゆうネガティブな部分はよくちゃんと描写されてて
よかったと思う。
人って、環境であーも180度変わってしまうのかなって。
あーでもやっぱりあそこまで犯人の手とか暗闇での顔見せてたからやっぱり犯人はこいつだ!
で終わって欲しかったなー。
私も一応〝普通の顔〟だと、あの少女は言ってくれるかな?
軍事政権下、ということは歴史的な一般論からすると、まぁ、人権はお上次第。ということは地方の官憲の倫理観に清廉潔白を求めるのは、そもそもお門違いなんだろうな、という前提を飲み込みながら見てるうちに、この世界観にいつの間にか慣らされてくる。
アカデミー賞という結果を知っているので、後付けの理屈じゃないの?
と言われれば否定はしません。
世界に認められるモノには、村上春樹さんの小説と同じように、作品の中で感じるある種の共鳴する部分が(自分の母国とは歴史も文化も伝統も違うのに)何だか自分にも分かる、と思わされる要素があります。
この映画の世界に、もし自分がいたとしたら、誰の役割で、どのように振る舞っていただろう、そう思うことがそれほど不自然ではない、そんな不思議な引き込まれ方を経験できるということは、たぶん世界に通じる普遍性の現れなのだと思います。
〝普通の顔〟……この言葉にゾクッとした人はみんな虜になってしまいます。
パラサイトの監督だが、あんまりだった。
美女ばかりを狙い、連続狂気的殺人事件が起こり、捜査するもなかなか犯人の確証がないまま過ぎ去り、殺人が起こる雨の日にラジオにリクエストする男が怪しいものの、これまたDNAが一致せず未解決のまま。
【2019年になって服役中の男が犯人だと判明する】
典型的な刑事ものの韓国映画てかんじ。
深い感銘
日常に潜む「普通の人」
とても良い映画
舞台は、80年代軍政下の韓国。暴力刑事を嘲笑うかのように次々と殺人事件が起き、犯人は決して捕まらない…。
映像はどこか暗く、この映画に出てくる人物もみんな鬱屈とした表情をしているのは、当時の人たちの心理を表しているよう…。
この映画のメッセージは、ラストシーンの台詞にあるのだろう。曰く、犯人は特別な誰かではなく、そこら辺にいる「普通の人」であったと…。つまり、それはあなたかも知れないし、私だったのかも知れない…。
刑事たちは、犯行の動機や連続性に意味を持たせようとするが、結局それが無駄だったのは、こじつけや一見理路整然とした証拠も、結局は、彼らの都合で出来上がったものだったからだ。
あの時代、なにが起こったとしても、それは"特別"でも不思議でもなく、その見えざるものに対する不安や恐れこそが、皆が抱えていた心情であり、いつ誰がそれを爆発させてもおかしくはなかったのかも知れない…。
面白い!
凄い!
何回も、観てます❗
ポンジュノ祭
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