殺人の追憶のレビュー・感想・評価
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告発系なのね。
見たいみたいと思いつつはや数年だった本作ですが、特集上映がかかったので観てきました。2021年の初映画館です。
ポンジュノ監督作で名作らしいとの事前情報しかなく見たので、若干面食らいました。
あの暴力的で偏見に満ちた捜査なによ、吐き気する…
女が完全に性的客体、吐き気する…
10000%ホモソーシャル社会、吐き気する…
と思って見ていました。
例の如く人の名前と顔が一致しないし(わたしの問題やけど)、カラーなのにくすんだ色彩が、老の眼が近づいている今年40さいにはなかなか目になじまずだったのですが。
捜査官、捜査環境への告発として機能していると思えた頃からはまりました。
そして、ちょいちょい入ってくる笑いも好きでした。
犯人が誰か映画内ではわからないまま終わる予感が漂った頃から(DNA不一致の発覚)描きたいものが見えてきた感があり、より興奮しました。
思い込みというか、見たいようにストーリーを勝手に作ってしまうのよね、のめり込めばのめり込むほど。客観的事実と主観的憶測を混ぜないことが、すごく難しいってこと、を描いてるのかなぁと解釈しました。
あと、2003年の子供のセリフね、普通の顔だったってやつ。
ゾッとしましたよ…真実味が感じられて。
さらに、わたくし、アメリカのドラマ・クリミナルマインドが大好きでね、BAUの人がやりそうな捜査を妄想しながら見ました。
うーん…
自分は結末が、つまりは犯人がしっかり分かって終わりたかった。普通の顔、つまりどこにでもいる人間が、あんな酷い殺人事件を起こしておきながら、生活しているってことを監督は言いたかったのか。それとも、伏線を回収できず、自分が気付けなかっただけなのか。ソン・ガンホら田舎の警察は尚更、ソウルから来た刑事も含めて操作方法が杜撰だし、容疑者と思わしき人達への取り調べは酷い。一番怪しんだ容疑者に対しても、ラジオにリクエストしていたというだけで怪しみ、自分の会話した女子が殺されたからと言って、更なる証拠無しに感情的に追い詰めるのが少し共感できなかった。ソン・ガンホは何を演じても上手い。他の方のレビューを参考にこの映画を解読したいと思う。
いいね
実際にあった事件をモデルにして作られた映画。当時の韓国警察に非難の声が当てられていて、よそから見ていてとても興味深かった。
歌、雨などのミスリード、占い師に頼るという暴挙、犯人を止められず(現実では模倣犯すら出たらしい)当時の捜査の混迷具合がよく伝わってきた。
当時韓国ではDNA鑑定できなかったというのも初めて知った。
真犯人を捕まえられず、しっぽを掴んだと思ったらどれもこれも違う。
都会から来たやり手の若手刑事と地元の壮年刑事のコンビを通して描かれるサスペンスでとても渋い。
救えなかった命を過度にドラマチックに描かず、淡々と場面を進めていく展開は少し単調だけど面白い。犯人を唯一はっきりと見た目撃者の死に方は、ええ…となったけど。
生き残った被害者、遭遇したかもしれないトイレの向こうの影を見た人物、どれも最後まで犯人の影は捉えられるものの逮捕には至らなかった。
最後の遺体の捨てられた溝を覗き込む、引退した主人公が犯人の顔を聞いたときの「どこにでもいる普通の顔」っていう答えが無情でいい。
今もどこかで連続殺人の犯人が生きているという痛烈なメッセージがとても印象的だった。
良いサスペンス映画だった。
超濃密な映画体験
【1980年代の韓国の片田舎で起きた連続殺人事件解決に取り組む”杜撰な”刑事達の捜査を描く苦いテイストの作品。】
ー1986年10月 韓国の片田舎、テリョン村で、連続女性殺人事件が起こる。被害者の女性”ヒョンスク”は田圃の脇の”側溝”で発見される・・。-
・地元警察の”パク刑事”(ソン・ガンホ)は恋人ソリュンからの情報で、知的障がい者の焼き肉屋の息子グァンホを犯人と決めつけ、手荒い取り調べをしていく。
・だが、ソウルから来た”ソ刑事”は、その方法に疑問を持ち、真犯人は別にいると考えて・・。
◆序盤は、コミカル要素も含ませながら、当時の韓国の田舎の粗い捜査方法を描く。
だが、雨の降る夜、新たな犠牲者が出てしまい・・。
雨の夜になると、”憂鬱な手紙”のリクエストがラジオ局に”テリョン村の寂しき男”から届く。そして、そのたびに起こる女性殺人事件。
韓国報道機関からは、杜撰で、拷問による”パク刑事”や、直ぐに被疑者に対して飛び蹴りをしてしまう”ヨング刑事”達への捜査方法への批判が高まる。
◆そんな中、”パク・ヒョングン”という村の中にある工場の事務員 ー穏やかな表情。柔らかい手を持つ ー への疑惑が急速に持ち上がり・・。”ソ刑事”は彼こそが、真犯人であると思い、追及していくが・・。
・DNA鑑定が自国内で出来ず、米国に依頼せざるを得ない状況や、”パク刑事”達の操作方法を批判していた”ソ刑事”も、”パク・ヒョングン”が真犯人に違いない・・、と”決めつけ”拳銃の銃口を付きつけ、そして発砲しながら、追い込んで行く姿・・。
◆時は流れ、2003年。
パクは刑事を辞め、サラリーマンとして生活をしている。ソリュンとの間に子供が二人いる、安定した生活をしている。
が、ある日、”あの”側溝”の脇を通りかかり、車を止め、中を覗き込む。そこに通りかかった女の子からの”この間も、男の人が同じ事をしていたよ・・”と言う言葉。
”どんな顔だった!”と聞くパクに対する答えは ”普通の顔をしていたよ・・”
- 絶句する、パクの表情・・。-
<多くの被害者のみならず、韓国の田舎の刑事達の人生を変えた、連続殺人事件の犯人は、杜撰な捜査の結果見つからず、
”20数年後も”普通”に韓国のどこかで暮らしている・・”
と言うラストが、この映画にモチーフになった事件の当時の捜査陣たち及び韓国社会への強烈な皮肉と批判を現した作品。
現代日本でも、過去の杜撰な捜査による犯人にさせられた人々が次々に無罪判決を勝ち取っている事実からも、決して隣国だけではない問題である、という認識を新たにした作品でもある。>
韓国映画の怖しさ
DVDで見た。
農村でおこる連続殺人、実際の事件を元にできたというストーリーだ。実際の事件は知らない。
でも、この映画でまず驚くのは韓国の警察のとんでもない捜査方法だ。昔の日本もあったのだろうな。とにかく強引に自白させる、そして証拠も捏造して手柄をたてて出世しようとするのだ。ひどいんだよねー(笑)
エリート刑事がやってきて段々に気持ちが通じ始める。
雨の日にある曲のリクエストがあると事件がおきる、
そのリクエストを出した人を見つけ出す。
目撃者を探りあてたのに電車に轢かれて死んでしまう、そうして操作は迷宮に入っていく。
その後、刑事を辞めて事業を始めた男が事件現場に久しぶりに訪れた。そこで衝撃のことを何気ない会話で知るのだ。犯人はまだこの村で生きてるんだ。ここで映画が終わる。あ、終わってしまうのかぁ。怖いなぁ、またおこるかもしれないんだね。
事件の残酷さと警察への憤り
今まで気になりながらも見逃して来た映画、やっと観れた😅実際の未解決事件で、残忍な手口に犯人への怒りは勿論、警察のずさんな捜査や容疑者に対する取り調べの酷さに驚き。フィクションとして大袈裟に表現したのかとも思ったが、、、。
観終わった後にこの事件のことを検索してみた。犯人は特定されていた。この連続殺人で10人を殺害した後結婚し、1994年に義理の妹に対する殺人で無期懲役で服役中との事。服役中に自白し、過去14人を殺している。検察関係者、警察官も9人が違法捜査で検察に引き渡された。映画の中で捜査のいい加減さや取り調べ中の強引さも事実に近いということか。酷い。死体発見現場でも野次馬から被害者を隠していないのも事実なんだろうか?だとしたら、被害者がとても気の毒だ。亡くなっているとはいえそんな扱い方は酷い。
映画のラスト、女の子の話を聞いた主人公がカメラ目線なのは、監督が犯人がこの映画を観ているとしたら、、、との意図があったらしいけど、公開された頃犯人は刑務所の中だった。
重い映画だけど、高評価なのは納得の良作❗️
ポン・ジュノとは知らずに、、、
韓国映画にハマる切っ掛けになった作品
じとっとした映像、追い詰められるもどかしさ
なぜだろう
実際の事件を元にしていると知ってびっくり。日本の警察映画なら殺人が起こったら、ロープ張って勝手に触らないように…ってする場面が多い中、始まりが溝を覗き込むところからでまさかそんなとこに死体があるなんて…しかも関係ない人が普通に歩いてるし走ってるし、そんなん現場保存とかいう以前の話だなと。
でっち上げの犯人が殴る蹴るされつつ、どうにもならず。怪しい奴も結局違って…。最後は驚愕ですね。
普通の顔って一番難しい。
この映画の功績は、映画史上最高のものであることを説明します
まず、事実に基づくのだけど、映画ではDNA鑑定してるけど、実際はこの段階でしてなくて、映画が科学的な手法を誘発してDNAによって犯人が見つかった。
それと、警察は拷問で何十人も殺して、えん罪で何十人も投獄して、犯人は野放しで殺し放題だが、この事件を含めて、韓国警察のやり方を劇的に変える風潮をもたらしたのがこの映画だということ。
よく、これだけの政府側の闇を事実を映画にして、監督は殺されなかったと、そう感じている欧米の映画人も多いと聞きます。
また、映画の手法として、二人の刑事を英雄風に仕立てることで、あるいは、ナイキの靴をナイスの靴で代用するようなお笑いを含めながら、本当の事実である拷問とか、無茶苦茶な捜査手法を、世界に知らしめることに成功したこと、普通に描くと公開できないからね。
顔について表現が多いけど、いかに主観的か、ということを言いたいわけ。
最後の、普通の顔、というのは、子供やたいていの人にとっては、顔は何らかの決定的な判断材料にならないという象徴的な示し方だよね、愕然とした。
印象に残ったのは、あの冷静な刑事が、DNAで無罪と分かってるのに殺そうとしたこと、韓国警察って、そうなんだよね、恐ろしいね。
警察頑張ったんだけど力不足でした
韓国史上最悪の連続殺人事件を描いたポンジュノ監督作品。
警察の強引な捜査が描かれてるが、当時は日本もこんな強烈な捜査をしてたのかも。
警察によるリンチまがいの暴力による自白の強要場面が凄い。
DNA鑑定も韓国では出来ないのでアメリカへサンプル送って鑑定してもらうような時代背景。
終始ハラハラドキドキでした。ポンジュノ凄い。
後からwikiで調べたら、この作品が公開になってから何年も経った後、DNA鑑定の精度が上がった為真犯人は判明したらしい。けど、時効だったそうです。
ポン・ジュノ/ソン・ガンホ
劇場公開時鑑賞。DVDで再鑑賞し傑作だと再認識しました。
初めて観た時は警察の捜査があまりに無茶苦茶でドン引きしましたが、今となっては韓国映画あるあるでした。
雨のシーンが多いこともあり、暗く陰鬱な画面はちょっと『セブン』を思わせたりします。
めちゃくちゃな捜査に埋もれていた手がかりが伏線になったり、ちょっと無理のあるところもありますが、最後「さあこれで解決だ!第三部完!」からのはずし方までいいように振り回されました。脳筋の暴力刑事とスカした頭脳派刑事というちょっとステロタイプだった二人が、終盤立ち位置が入れ替わる構成により、人物像にもグッと奥行きが出てくるのも見事です。
そしてエンディングのガンホの表情は、視線の泳ぎ方や瞬き一つまで素晴らしく、強い印象を残しました。
今日も誰かがヒッソリと
映画学校の教材に充当
80年代の韓国。よく知らないが、激動期であったと思う。不人情で、旧弊で、権柄づくで、澱んでいる。ペパーミントキャンディの空気感。陰気な時代の陰惨な事件。暗い。暗いけれど惹かれる。ぐいぐいからめ取られる。恐怖映画と言っていい。迫真だった。
ソは未開地にさした光明のような人物だが、構造として良心を牽引するのはパクだと思う。
──人はいいが単純。恫喝で物事を丸め込む。横着をルーティンとする韓国映画によくでてくる武闘派の私服である。そのキャラクターを呑むと、観る者はそこから動けない。だから、たいていの映画が動かない。ところが市警から派遣されたインテリ、ソの執念に感化され──おれたちはたしかに無為なことをしていた、と改心する。映画のキャラクターが動かないことを知っているとき、パクの改心はほとんどパラダイムシフトである。パクが素直になることで、映画に良心と理知がそなわる。──からだ。
今日多くの邦画にここを目指した痕跡を見つける。が、気配を模倣しただけでは殺人の追憶にはならない。
側溝を覗く。通りすがりの子供の述懐。そのときソンガンホの顔。時を経てよみがえった諸々。それらが怒濤のようにこっちへ飛んでくる。
ずっと韓国映画は鯨とりだけだった。比較する必要はないが、そもそも比較する対象がなかった。90年の終わり頃から数年でコンテンツを底上げした。いつのまにか邦画は後塵を拝した。比較は無用なのは知っているが、ぜんぜん負けたと思った映画だった。
ほぼ教科書だと思う。
タイトルなし(ネタバレ)
中盤までは
連続殺人を追いながらも滑稽なシーンが多く
それは容疑者に暴行を加えたりリンチともとれる扱いをしているシーンでさえもだ。
それがラジオにリクエスト葉書を送りつけている容疑者と対面してから一気に空気が変わる。
優しく品のある顔の容疑者は今まで追ってきた容疑者とは全く違う雰囲気で
人を見る目があると自負していた主人公が人間と言うものはもっと複雑で外見では何もわからないということに気付かされる。
ラスト、
数年後にまた容疑者の形跡が見られるが
その外見は、『普通の人』
画面を通してソガンホは容疑者の顔を見つめて、
普通の仮面の下にある本当の顔をみてやろうとする。
実際にあった事件で未解決であることと
滑稽な演出をしながらも妙にリアルな映像で
これまでのサスペンス映画とは違うおぞましさを感じた。
いろいろと深いなぁって感じた
・当時の時代背景がとのような感じなのか、非常に分かりやすく描かれていて、ストーリーに入り込みやすかった
・決して正義とは言えない主人公だが、次第に感情移入していくように愛着わいてくる
・やはり皆さん言うように、ラストシーンは非常にインパクトあり、メッセージ性を感じた
・被害者遺族を思うと、やるせない気持ちでいっぱいな気持ちになった
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