ミート・ザ・ペアレンツ : 映画評論・批評
2001年3月15日更新
2001年3月31日より日比谷映画ほか全国東宝洋画系にてロードショー
恋人の父親がデ・ニーロだったら…
これはロバート・デ・ニーロありきの映画だ。彼のパブリック・イメージ、つまり有無を言わせぬ迫力があり、キレると怖そう…そんなイメージがあるからこそ可能になったコメディなのだ。
デ・ニーロ・パパは猫を愛している。書斎には愛猫の写真、猫の置物を飾り、文字通り猫なで声で愛猫をかわいがる。また彼はマザコンでもある。亡きママの話になると目頭を熱くし声を詰らせたりする。だが、その一方では元CIAで、人間嘘発見器という異名をとった強面でもある。デ・ニーロ自身のキャラクター・イメージとの落差、そしてこのパパそのもののイメージの落差。その落差の数々がこの作品の笑いの根源になっているのだ。だからなのか、ちょっとデ・ニーロが表情を変えただけでクスクス笑いが起こってしまうほどだ。
が、その楽しさが後半、妙に真面目になってから消えてしまうのも事実。デ・ニーロのおかしさが薄れ、この手のジャンルによくある人情ドラマとして終わっているのだ。もう少し毒やハズしがあってもよかったとも思うのだが、それだと続編が作られるほどの大ヒットにはならないか。ジェイ・ローチという監督、その辺のツボは押さえているのかもしれない。
(渡辺麻紀)