「懐かしのフロッピーディスク」交渉人 真下正義 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
懐かしのフロッピーディスク
これぞまさしくスピンオフ!真下正義は国内スピンオフ映画の代表選手になるかの勢いだが、かつての代表選手、『警部補・古畑任三郎』のスピンオフ『巡査・今泉慎太郎』が静かに自己主張していた。
劇場版の『踊る大捜査線』に比べると、かなり映画らしい作りになっていたように思う。通称「クモ」というフリーゲージトレインと蜘蛛の巣状に広がる地下鉄路線図の対比も面白いし、70年代の映画タイトルがどんどん出てきて映画ファンを魅了する小技も面白い。ミシェル・ルグランとフランシス・レイの名前を聞いたら、思いっきり推理してしまいました。そして、クライマックスにコンサートシーンを持ってきて、暗号、起爆装置、「クモ」などを見事に絡めて緊張感を与える手法。十分に楽しませていただきました。
脇役であるパソコン絡みの伏線も興味深い。まずは完全なセキュリティを誇る警視庁のサイトにハッキング。フロッピー、ZIP、そして懐かしの8インチ(5インチか?)フロッピーディスクまで登場する。そして、純ちゃんの息子が多用する「検索」が面白い。その他、線引き屋や脇線といった専門的な内容も楽しめた。かなり多くの伏線が隠されているような気もしましたけど、真下が買った指輪はダイヤモンドだとしたら、ダイヤグラムと引っ掛けてあるのかも・・・
ちょっとだけ疑問に思ったのは、「交渉ってこんなことか?」と感じてしまったこと。ユースケ・サンタマリアの交渉術が最も上手くいったのはアリtoキリギリスだったような・・・むしろプロファイリングの方が優れていましたよね。
果たして犯人は誰だったのか?プロファイルによって、孤独で自己顕示欲が強く、鉄道に詳しく、映画も詳しく、コンピュータにも滅法強い。誰なんだろう・・・アンソニー・ホプキンスじゃなさそうだし・・・