劇場公開日 2006年3月11日

「奴隷でいる幸せ」マンダレイ ミカさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0奴隷でいる幸せ

2017年1月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

知的

アメリカの正義や白人型民主主義への皮肉たっぷりな今作品。

でも、評論する側に回る私自身はいったいどうなんだろう。

まだ会社を辞める準備ができていない。人には役割があるから、私が敢えてやらなくても良い。最悪を逃れたいから、嫌でも会社にしがみつき社畜として生涯を終える。

つまり、この作品はアメリカだけに限った話ではなく、私自身の話とも取れます。

人が生きていくためには、自由は不自由でしかない。生きていくには、与えられた役割を演じ続けるしかない。最悪を逃れるのが、最善な方法である。

自分で決定し自分で責任を負いたがる人間は、極めて少数派。そして、人生はしんどい。決めるのはしんどい。だからこそ、神や権力者やリーダーを自ら渇望して、自らの失敗のしんどさを軽減させるのです。

戦後、アメリカによって民主主義を与えられた日本人、いや私が、作品に出てくる黒人奴隷と被って見えました。奴隷でいることの幸せとは?トリアーは、相変わらず辛辣です。

ミカ