マルチュク青春通り : 映画評論・批評
2005年7月12日更新
2005年7月16日よりテアトルタイムズスクエアほかにてロードショー
これが今の韓流のパワーですわ
ポスタービジュアルが想像させる内容と違う展開を、肩透かしと思うか、意外性と受けとめるか。反骨精神が滲む眼差しのクォン・サンウとおさげ髪の美少女の2ショットが、彼らの恋を軸にした熱血青春ストーリーを期待させる本作も、そのへんで評価が別れそう。
なにしろ、クォン・サンウ演じるヒョンスは、ブルース・リーに憧れながらも、テコンドーの腕前を隠して揉め事を避けているヘタレ君。おまけに舞台が男子高だけに、エロ本だのケンカだの、リアルでムサい野郎ネタが満載。クォン・サンウの凛々しくも爽やかな高校生ぶりをアテにしている女子が、全編の9割がた困った顔をしているヒョンスに一瞬失望してしまうはず。
でも、男前君でもなかなか自分に自信が持てないのが、青春というもの。ここ一番の押しが足りないヒョンスは、誰の胸にも、青春のもどかしさと初恋のせつなさを蘇らせる。演出のテンポがちとゆるいのももどかしいけれど、そのぶん余韻も増すわけで。なにより、ヘタレを演じても、クォン・サンウ。ヘタレ君が大事な人を守るためには立ち上がる姿に、女心はときめくわけで。15分も立てば、ヘタレ顔も愛しくさせる。これが、今の韓流のパワーですわ。
(杉谷伸子)