「マリリンモンローの意外性のある可愛さと知性が垣間見え、それを引き出したハワード・ホークスの職人芸に感嘆」紳士は金髪がお好き Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
マリリンモンローの意外性のある可愛さと知性が垣間見え、それを引き出したハワード・ホークスの職人芸に感嘆
ハワード・ホークス 監督による1953年製作(91分)のアメリカ映画。原題:Gentleman Prefer Blondes、配給:東京テアトル、日本初公開:1953年8月19日。
アニタ・ルースによる1925年出版の同名小説を原作とした1949年初演の同名ブロードウェイ・ミュージカル(英語版)を映画化した作品だとか。
お金持ちの息子が大好きでダイヤモンドに目がないショー・ガール役のマリリン・モンロー(26〜27歳)が歌って踊っての大活躍。「ナイアガラ」でモンロー・ウォークを見た時は、性的なアピールが露骨過ぎて驚きと共に引いてしまったが、この映画の彼女は可愛さと賢さを併せ持つ役柄で、大きな好感を覚えた。少し低音の歌声も、とても魅力的に感じた。
性格も男性の好みも大きく違うが親友同士という設定のモンローとジェーン・ラッセルとの強固な関係性も、爽やかでとても良かった。実際に、撮影中とても仲良しの関係性だったらしいが、それが映像にも滲み出ている気がした。そして最後、2人ともお好みの相手との結婚をゲットという終わり方も定型的だが、女性2人が中心の映画として爽やかさを感じた。
マドンナもオマージュを捧げているが、モンローによって歌われる「Diamonds Are a Girl's Best Friend」の歌詞(女の魅力は年と共に色褪せるが、ダイヤモンドの価値は下がらないなど)が、何とも皮肉が効いていて秀逸。それを派手な演出で歌い上げ、楽しいミュージカル仕様に仕立てていることにハリウッドの伝統とホークス監督のただならぬ力量を感じた。この監督の映画をあらためて多く見たいと思った。
監督ハワード・ホークス、製作ソル・C・シーゲル、原作ジョゼフ・フィルズ、 アニタ・ルース、脚本チャールズ・レデラー、撮影ハリー・J・ワイルド、美術ジョセフ・C・ライト、 ライル・ウィーラー、作詞レオ・ロビン、作曲ジュール・スタイン、音楽ライオネル・ニューマン、 ジュール・スタイン。
出演 ジェーン・ラッセルドロシー、マリリン・モンローローレライ、チャールズ・コバーンビークマン、エリオット・リード、トミー・ヌーナン、ジョージ・ウィンスロウ、マルセル・ダリオ、ジョージ・チャキリス。