ロスト・イン・トランスレーションのレビュー・感想・評価
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オリエンタリズムな眼差しに晒されたトーキョー
ソフィア・コッポラ監督作品で、第76回アカデミー賞脚本賞受賞作品。
今観ると、ひと昔前のトーキョーをオリエンタリズムな表象で描いた作品だなと。
ビル・マーレイ演じるボブ・ハリスやスカーレット・ヨハンソン演じるシャーロットがトーキョーに馴染めない様は人間関係の分かり合えなさを表現しているんだなと、観終わったあとに思った。確かに言語や文化の違いでより象徴的に表せる。
ボブとスカーレットは結局、恋愛関係になってしまうんかいと思ってしまった。
あとエンドロールで「風をあつめて」が流れてなんかいいなと思った。
カラオケでSex Pistolsの「God Save The Queen」歌うのもよかった。
共感できず終い
価値ある作品
2004年の作品
ガラケー時代の「認識」を普遍的視点から描き出している。
タイトルを直訳すると「翻訳の中で失われた」ということになるだろうか。
それはそのまま直球として物語に登場する。
1970代に人気の絶頂を迎えた俳優ボブ
日本でCMの撮影をするためにしばらく滞在
カメラマンがボブに要求したことを、翻訳家は体裁上やわらかい言葉で翻訳するが、ダイレクトなニュアンスがズレることで、ボブにはカメラマンが求めていることがわからない。
言葉の壁
これは多くの英語圏の人々が感じることで、その不自由さに我慢できない人は未だに少なからずいる。
そしてこの作品は、この「言葉の壁」をタイトルとしてダイレクトに表現しておきながら、登場人物たちの「心の壁」を描き出している。
心とか感情というものは非常に生々しい部分があって、それをある言葉に訳した際には、そのダイレクトに感じた生々さが消え、その言葉の持つ直接的な意味に変換されてしまう。
そうなってしまうと、言葉そのものの意味が感情を伝えてしまい、その感情はすでに感じたそれとは置き換えられてしまっていることになる。
人々は英語であれ日本語であれ、日々親しい人々に対しても同じような接し方をしながら、いつしか「本心」が違ったものに置き換えられてしまい、何かが違うとモヤモヤするのだろう。
ボブは、まず言葉の壁があり、指示された意味がよくわからないこと、文化の違いなどに辟易している。
マネージャーに早く帰りたいと伝えても、200万ドルももらっているんだから我慢しろと言われ、追加の仕事まで入れられる。
ボブが変わったのは、同じホテルに滞在していたシャーロットと出会えたからだろう。
シャーロットは夫の仕事に同伴して東京にやってきたが、日中は一人行動になり、やはり言葉の壁、文化の違いに疲れてしまう。
そして旅行者にありがちな、ホテルとごく近場の観光を行ったり来たりする。
大学を卒業してまだ日の浅いシャーロットにとって、見知らぬ場所での一人歩きは孤独を感じるのだろう。
どこに出掛けても面白いものは無く、一人でホテルの部屋で過ごす時間の方が長くなる。
物語はこの二人の出会い
ボブは過去の成功と妻への愛情が最長地点として過ぎ、子供が生まれれば妻は子供の方に常に気を取られ、次第に一人の時間が長くなってしまったボブにとって、知らない場所、言葉の壁などが苦痛になっていた。
しかし自分のチームもなるので仕事を放り出すことはできない。
ボブは次第に理想から離れてしまった現在の生活スタイルに苦痛を感じていた。
ボブとシャーロットの言葉にできない孤独感は、お互いの中に似たようなものがあるのを感じたのだろう。
言葉にできない感情 そしてその共有と共感がこの作品のテーマだろうか?
心を通わせるためには言葉は必要だが、そもそも置き換えられた言葉には表面上の意味しかないが、話し方や表現方法によってその心は伝わるのだろう。
まったく楽しめなかった日本
ボブはシャーロットに誘われたことで、日本の若者と交流した。
パーティと喧嘩 カラオケなどを通して、初めて日本でプライベートを楽しむことができた。
鬱陶しく思っていた妻からの電話だったが、自分からかけることもした。
シャーロットも外出を楽しむことができ、わざわざ京都まで足を運んでみた。
そして、
自分自身の気持ちに変化が現れた時、興味のなかった日本文化に興味を覚えた。
最後に二人で出かけたしゃぶしゃぶ店
言葉の壁 注文方法 そして食べ方に至るまで「最低のランチだった」と言った。
おそらくこれは裏返しで、言葉がわからない世界の中にいながらも、お互いの心に触れあうことができたこと そのこと自体を体験できたことで、お互い表面上面倒くさいと思っていた「言葉の壁」について「最低のランチだった」と表現したのだろうと思った。
もう心は通じ合っていることを確認したのだろう。
欧米人の一般的な感覚
まずこれが先にある。
そして変化とは、自分自身の認識の変化だろうか?
似た者同士 他人には言えないことも、これだけ離れた他人には言える。
アノニマスグループのようだ。
シャーロットの夫ジョン カメラマン
彼は一定してシャーロットを愛しているし、そこに彼女も不満はない。
しかし、
ポツンと一人置き去りにされた時、いったい自分自身何をしていいの変わらなくなってしまった。
書くことを仕事にしたいと、おそらくジョンにも話していないことを口に出してみた。
「才能がない」
「それでも書き続けろ」
この他愛もなく、発展もない会話。
自分の中の恐れ 不安
異国に降り立ち感じるそれらのことを初めて口に出してみた時、それを受け止めてくれる人がいて、何らかの言葉を投げかけてくれる。
それだけでシャーロットは救われたのかもしれない。
そして、普段感じないようにしていたそれらネガティブな感情を共有してくれる誰かがいてくれるだけで、今まで見えていたものに変化があった。
シャーロットの東京の旅
思わぬ自分の心に気づき、怯え、孤独を抱えてしまったが、有名俳優もまた似たような心の怯えがあったことを話し合っただけでもやが晴れるようになった。
シャーロットがしゃぶしゃぶ店で言ったあの「歌手」との一夜。
「話し相手が欲しかった」
あまりにも年齢の離れた二人だし、お互い結婚しているのにもかかわらずチクっとしたくなったのっは、本心を確認したかったからだろう。
確かに恋人同士だったら、あのランチは最低だったに違いない。
しかし、二人の関係上それはない。
ただ、やはりロマンスはあったし、それは恋ではなく愛情があることを二人は認識していた。
嫉妬 怒り 無関係 男女 他人
でも、お互いの心の奥底に触れた感覚と、その痛みを共有した感覚があった。
「最低のランチ」という言い方に様々な感情が込められている。
そして別れの後、ハイヤーで空港に向かう途中、ボブはシャーロットを見かけ追いかけた。
あのハグこそ愛情であり、心を共有した証であり、ほんの少し求めていたロマンスでもあった。
2002年 当時この作品を見たことを思い出した。
当時はまだ日本という国がよく知られていなかったのだろう。
だから視点はボブであり、シャーロットだ。
当時は、まったくこの作品を評価できなかった。
「ライジングサン」のように、日本バッシング映画だと思った。
そしてこのタイミングでこの映画を再評価できた。
相当奥深い作品だった。
ココロの自由、東京漂流記
20年ぶりに見たら、なんと洗練された作品であったか。
人物の仕草や表情に、粋なセンスを感じる。
あのコメディスターのビルマーレイが、めちゃくちゃダンディであり、
ときおり、ランニングマシンでジタバタするあたりはやっぱり笑ってしまう。
ジャームッシュやウェスアンダーソンが重用しだした契機になった作品だろうか。
この作品が、なんとも、心地よいのは、ひとりぼっち時間の静寂と、他者といる喧騒をきちんと描き分けされているあたりだ。
人物が、何を見て、何を感じているか、ていねいに、デリケートにスケッチしている。
寄り添うように、景色や音楽が、音響が存在して。
もう!ちゃんと見事に、こちらは同調してしまい、
ラストには、ああ、明日からまたいつもの暮らしに戻るのだ、と感無量になるのでありました。
脚本すごい、侘び寂び俳句の域だよなあ。無駄なし!
マシューTVが懐かしい
迷子の男女のオシャレ映画。でも抽象的すぎない
外国人から見た日本について、字幕化するとこういう表記になるんだな〜と勉強になった。
オシャレ映画は雰囲気だけの難解モノが多いけど、この作品は何を伝えたいのかきちんと伝わってきた。どこか満たされない思いを抱えた男女が英語の通じない異国で出会い、心の隙間を埋め合っていくうちに、見失っていた自分を取り戻していく…。
洋画でよく出てくる謎日本ではなく、ありのままの日本が描かれているところも良かった。確かに客観的に見たら日本のここって変だよな〜と気付かされた。(性接待やら、自分の名前を叫んでいるだけの選挙活動やら…。)
エンドクレジットではっぴぃえんどの「風をあつめて」が流れていたし、この監督、言葉が通じなくてもセンスの良いものちゃんとセレクトしてくるな〜!エグゼクティブ・プロデューサーには親父さんの名前が。父親譲りの才の持ち主だわ。
藤井隆のマシューの扱いは少し雑だったけど…!あの人もっと面白い人なんだってば〜!!
20年前に観てなくてよかったのかもね
映画「ロスト・イン・トランスレーション」長い間、もう観てたと思ってた😚
Amazonプライムからレコメンドされて鑑賞
ソフィア・コッポラ監督が2004年アカデミー脚本賞貰った、ビル・マーレイとスカーレット・ヨハンセンが主演した東京を舞台にした大人のラブストーリー🗼
20年前に観ていたら、若過ぎてなんだか分からないだけでなく、映し出される日本の光景や場面に気を取られ過ぎて、この作品の深みや味わいには到底気づくことはなかったろうな
「己の正体と欲望がわかって来ると 大抵のことは平気になる」
佳い台詞だなぁ
ロストイントランスレーションとは通訳でこぼれ落ちてしまうニュアンスのこと
言語のことだけでなく人間関係にも当て嵌まる
今夜はとても沁みてくるよ♪
ふぁいふぁいふぁ〜い(=^x^=)
ソフィア・コッポラ監督の日本
藤井ちゃん(藤井隆さん)が出るんだな〜くらいの前情報で観ました。
舞台は新宿のパークハイアットホテルと、TOKYO!
パークハイアットは一度だけ泊まったことのあるので、わぁーーとなりました。
ホテルの景色と、ビル・マーレイ演ずる中年俳優と、旦那の仕事で日本に連れてこられた若妻。
ホテルの窓辺からの新宿の街並。
大御所コッポラ監督のお嬢さま、ソフィア・コッポラ監督。
彼女の日本での実体験がかなり使われているそうで、すごく日本の表現がリアルでした!
カラオケ、京都、渋谷…
オシャレなシーンがたくさん。
見覚えのある街並みが出てくるのも
テンション上がります。
Bunkamuraで見てよかったです。
あとで解説を見たら、渋谷のスクランブル交差点や、撮影許可の降りない東海道新幹線なんかもゲリラ撮影したとか!
あ、マシューだぁ!
大好きでした、マシュー南!
20年前なのかぁ…遠い目
エンディングの「風をあつめて」といい、
今の気分にとても合ってました。
観に来てよかった。
散策や旅行好きは楽しめると思う
ソフィア・コッポラ監督作を初めて観た
ソフィアの見た東京、日本の優しい姿がある。
皮肉とユーモアとあたたかさと。
Bunkamuraで鑑賞。
ワンショット目のスカヨハのお尻のシーンからぐっと惹かれる。
日本の(定型化された)おもてなしがとても、皮肉めいて描かれており、とてもとても面白い。
対比して描かれる、ボブとシャーロットのアメリカンジョークがなんともオシャレでこちらも面白い。
スターであるボブに対して、妻のようにぞんざいにでもなく、日本人のように丁重にでもなく、尊敬をもってフランクに接してくれる、シャーロットとその仲間に心が打ち解けていく。
日本という異質であり、(外国人からしたら)不思議な世界の中でそれにきづいていく。
京都のショットはひたすらオシャレだし、病院でのおばちゃんとのやりとりもサイコーだ。
最後はしっかりあたたかくしめる。
二十年前に、思いを馳せながら、素敵な作品を観ることができた。
18才
ソフィア・コッポラ監督の代表作と聞いていたし、色んな雑誌の映画特集でも取り上げられていることが多い本作。
ビル・マーレイの作品を観ている人からしたら、本作での細かい演技に、吹いて笑ってしまうと思う。
スルメのような噛めば噛むほど感じ。
スカーレット・ヨハンソンの落ち着いた演技も良い。
あと、めちゃくちゃ可愛い。
彼女の一番ベストの時じゃないかな、ローマンホリデイにおけるオードリー・ヘップバーンのような。
役の設定上はイェール大学を卒業して間もないとなっているが、後からチェックしてみたらこの時の実年齢18才ということを知り、びっくり!
またカラオケのシーンが印象的だが、スカーレット・ヨハンソンが歌うBrass in Pocket, ビル・マーレイが歌うエルビス・コステロやロキシーミュージックなんかの選曲のセンスも、さすが。
2人の感情の交わり具合を機微に描いたココのカラオケシーンは、作品の最大の見どころだと思う。
スクランブル交差点、新宿の靖国通りのネオン看板、新宿西口の雑踏など、見覚えのあるシーンがたくさん出てきて、観ていてうれしくなってしまう。
エッチなシーンも出てきそうな雰囲気だが、全く出てこないのも潔い。
パークハイアット、サントリー響とコマーシャルもしっかり入れ込んでいるのは、プロデューサーの手腕ですかね。
今じゃ欧米人にとっては日本の代名詞となってるし。
映画館で大きなスクリーンと良い音響の会場で観れて良かった。
女性ウケが良いとは思うが、男の自分からしても幸せな気分になる。
20240103 ル・シネマ渋谷宮下
東京ストーリー
今の観光客が求めている「東京」の原点なのかな。ウイスキーも高くなったしね。
避けようのない孤独と少しの安らぎがよく描かれている。2人の心が少しずつ通い合っていく過程も丁寧。
エドワードヤンの台北ストーリーみたいね。東京のホテルが出てくるのはヤンヤン夏の思い出か。
東京の夜遊び。HIROMIXや藤原ヒロシなんかもいて、私には近くて遠い世界だったなあ。
やる気なくてもCMで200万ドルももらえたらうらやまし。東京の西洋コンプレックスを批評的に捉えていたと思うし、私たちにとっての東京の発見にもなったんじゃないかな。
パークハイアットはもうちょっと設備が古くなってきたけどなかなか良いホテルにみえる。新宿という地も、ちょっと孤立した立地も映画に合っている。ホテルはだいぶ得したんじゃないかな。
スカーレットヨハンソンは声がいいんだね。
これ、日本語わからないでみたらもっと面白いんだろうなあ。
何時間でも観続けられる稀有な映画
ドキュメンタリーのよう!"東京"の中で過ごすアメリカ人
東京、新宿、渋谷、こんな感じなんや
そう言われてみれば
映画館を出てからの渋谷パルコの周辺の
景色は、そのままでした
で、そんな東京で退屈に、ストレス満載で
時間を過ごす2人
家庭、仕事、恋人、家族、ホテル、バー
もう、いたるところが、ストレスばかり
これが、日常ということなんだね!
では、ストレスレスは?
の答えは、映画では答えてくれませんでした
ソフィア・コッポラ監督の視点が
素敵でした
あ、そうそう
CM撮影シーンに、眞木準さん(コピーライター)が、ぽろっと出てましたね(笑)
「ハッピーエンド」がかかるとは!
👍
誰のアイデアでしょうか?
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