「ビリーの想い、父親の眼差し」リトル・ダンサー こころさんの映画レビュー(感想・評価)
ビリーの想い、父親の眼差し
炭鉱の町ダーラムに住む少年ビリー(ジェイミー・ベル)と父(ゲイリー・ルイス)、バレエの先生(ジュリー・ウォルターズ)、祖母、友人と交わす会話が絶妙。
全てのキャストがいい。
バレエ学校のオーディションの様子(面接官の先生達の表情が見事)、父親との和解、旅立ちの日のバス停シーン…終盤で秀逸さが加速し、感動的なラストへ。
主人公ビリー役のジェイミー・ベルと、父親役のゲイリー・ルイスの見事な演技、躍動感溢れた楽曲に引き込まれた。
何度でも観たい秀作。
NHK-BSを録画にて鑑賞 (字幕版)
はい、アダム・クーパーを観ました。
その時は、そんな世界的なバレーダンサーと知らなくて・・・
ちょっぴり労働者的な印象・・・でしたよ。
コメントありがとうございます。
大好きな映画ですね。
バレエダンサーの鍛えられたカラダ、いいですよね〜。(やらしい)
イギリスの映画って、シニカルなところもありますが、笑いや優しさもあって、けっこう好きです。
フル・モンティだったかな、普通の男性がストリップをやる話も、笑えてあったかい気持ちになった記憶があります。
こころさんへ 長文失礼します
コメント有難うございます。イギリス映画はアメリカやフランスと比べて地味な作品が多く、また歴史に遺る映画もイタリアやドイツより少ないですね。ヒッチコックが1940年頃アメリカに渡ったように、同じ英語圏のハリウッド資本に引き抜かれてしまうケースが原因の一つにあると思います。それと元々黎明期は記録映画がイギリス映画の特徴でした。この伝統はBBCテレビのドキュメンタリーに今も残っています。(大英帝国の探検家の影響?)そして何よりシェークスピア演劇の本場ですから、ミュージカル含めた演劇が映画より盛んなのだと思います。古いものだと、「三十九夜」「バルカン超特急」「逢びき」「大いなる遺産」「赤い靴」「ハムレット」「落ちた偶像」「戦場にかける橋」「年上の女」「アラビアのロレンス」「ifもしも・・・・」「ライアンの娘」「ドレッサー」「ザ・デッド/ダブリン市民より」「ウェールズの山」「トレインスポッティング」「麦の穂をゆらす風」「つぐない」などイギリス映画らしい作品が記憶に残ります。中学時代はドラキュラ映画や「妖女ゴーゴン」などのホラー映画をテレビで楽しんでいました。
そんななかで、この「リトルダンサー」は、イギリス文化や生活の特徴である階級社会、ボクシング、ロイヤルバレエ、炭鉱、ストライキ、ゲイ、サッチャー首相などの背景と時代をドラマのストーリー展開に巧みに生かしていて、イギリスそのものと感じました。この脚本の構造を真面目に映像化して尚、イギリス的なドライなユーモアがあるのが、私の好みに嵌ります。それ故に、あの父と兄の葛藤シーンが生きています。計算された情感の流れが良く出来ているし、それを感じさせない自然な演出が素晴らしいですね。ひとつ一つ挙げたら書き切れないほど細部の拘りが見事だと思いました。例えばバレエを反対されて怒りのダンスをする坂道のシーンでは、画面奥に海が見えるアングルでそこにヨットが映っています。ビリーの心に同調したひとつの絵になっていますね。そこで蹲って立ち上がるとクリスマスイブの場面転換になり、雪景色が見えます。舞台演出をワンシーンで見せた映画ならではの表現ですね。そして合格を知らせる父が道を走るときの海には白い鳥が飛んでいく。あと母のお墓場面の、祖母とビリー、父とビリーの二つの場面もいい。ミュージカルの脚本と演出も素晴らしいですよ。