「ゆとり世代がテーマなのだ 21世紀の日本はこの子供達で構成され作られて行くのだ それが本作のテーマだ」リンダ リンダ リンダ あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
ゆとり世代がテーマなのだ 21世紀の日本はこの子供達で構成され作られて行くのだ それが本作のテーマだ
2005年公開
しかし冒頭でこの物語は2004年のことだと宣言している
ここに注意しなければ何も見えてこない
本作に登場する高校生達は17歳
つまり全員1987年生まれだ
そして彼女達が文化祭で演奏する、リンダリンダリンダは1987年のヒット曲なのだ
一体1987年にどんな意味があるのだろう?
本作の高校生達は全員ゆとり世代なのだ
1987年生まれから2004年生まれまでが、ゆとり教育で育った子供達なのだ
つまりゆとり世代の始まりと同時に生まれ、そしてその世代の終わりの年に高校最後の年を迎えた子供達なのだ
だが韓国からの留学生のソンはゆとり教育とは関係ない?
韓国の1987年とは何か?
軍人独裁政権から韓国が民主化した年なのだ
そこから1998年のアジア通貨危機、2002年のFIFA ワールドカップ日韓共催を経て日本には韓国からのニューカマーと呼ばれる韓国人達が多くやってきて現在に至っている
カラオケ店でのやりとりは、日本のルールに馴染もうとせずに韓国でのやり方を日本で押し通そうとする彼ら彼女達と日本人との軋轢をも描写している
ゆとり世代がテーマなのだ
21世紀の日本はこの子供達で構成され作られて行くのだ
それが本作のテーマだ
本作の高校生達は今32歳、晩婚化しているから結婚して子供が出来た頃だろう
あるいはマイルドヤンキーになって、20歳くらいでできちゃった婚しているかも知れない
あるいは結婚していないかも知れない
このゆとり世代が社会に出たときの衝撃は本作では語られない
それはテーマではない
彼女達はそれまでの世代の高校生とさして違わないように見える高校生達なのだ
それでも彼女達の空気感、立ち振る舞い、考え方、行動、人との距離感が、それまでの世代と何か違うことがじわじわと伝わってくるのだ
2004年頃にはバブル崩壊の影響から脱して好況の兆しも少しでてきた
しかし、2007年リーマンショックが襲来し、また大不況となってしまった
彼女達は好況の世の中を知らないのだ
物心ついたときにはバブル崩壊で、20歳の時にはリーマンショックだ
就職氷河期はゆとり世代にも訪れたのだ
その多くが今、非正規労働者だろう
そして今年はコロナショックを迎えた
失われた20年、もうすぐ30年だけを生きてきた世代なのだ
今までの世代とは考え方、生き方が違ってきて当たり前だ
昭和の時代とは全く環境が違うのだ
むしろコロナ後の世の中こそ、ゆとり世代的な考え方の社会が当然とされるのではないだろうか?
だから本作を観る意味や意義は、今こそあるのだ
2004年生まれをもって、ゆとり教育の世代は終わった
2004年に生まれた子供達は、来年17歳になる
本作の彼女達と同じ年になるのだ
彼女達は一体どんな世代なのだろう?
どんな文化祭をするのだろう?
コギャルは団塊ジュニア世代、就職氷河期世代
「僕らの七日間戦争」がその世代を描いている
彼女達はもう40代になっている
本作はその下のゆとり世代を取り上げている
ではそのさらに下の次の世代はどうか?
これから、本作のようにその世代の映画が撮られなければならないのだ
待ち遠しい
鑑賞したときにはゆとり世代なんてことは考えてもいませんでした。
やっぱり成人して社会に出た時から「ちょっと違うな」と感じること多々あり。
面白いものですね~