リンダ リンダ リンダのレビュー・感想・評価
全178件中、1~20件目を表示
爽やかさと瑞々しさ
山下篤弘監督作品おもしろすぎる
あらすじ
文化祭での演奏を控えた軽音楽部所属のガールズバンドが、ギターの骨折をきっかけにけんか、分裂。それでも文化祭に出ることを目指したガールズバンドのメンバー恵、響子、望がたまたまいた韓国からの留学生ソンをボーカルとして誘う。そしてTHE BLUE HEARTSのカバーを目指し、練習していくが…。
望が関わるシーンがおもしろい。
職員室で楽譜をコピーするシーン。深夜にも及ぶ練習のためみんなで買い出しに行くのだが、恵と響子がメンバーのことを想い買ったデザートを望が棚へ戻すよう言うシーン。耳かきをするシーンなど。これ映画にいるか?というシーンが結構長い尺でとられている。けれどそれが物語に含みを持たせているし、高校生時代の瑞々しい時間を表現している。とても好きだ。
ソンが練習のため一人カラオケするシーンも笑ってしまう。カラオケルームに入るためにはワンドリンク頼まないといけないのだが、そのシステムが韓国の留学生には分からない。店員さんの掛け合いがとにかく笑ってしまう。そして結局頼まなくても入れたことがわかりそこでも笑う。
またソンはバンドに入る前は小学生の女の子しか友達がいないようにみえ、文化祭では韓国語の読み方などを模造紙にかき発表するといった日韓交流を目的とした文化系出し物をする。しかしバンドをすることによって自然と恵らと仲良くなり、夜に学校へ忍び込んで練習するといった経験をする。バンド結成も日韓交流が目的ではないけど、自然と日韓交流が為される。こういったことは日常によくあることであり、このよくあることを映像として表現されていることに感動した。
恵が可愛い。
いつもは凛としている恵だが、スタジオを運営している?年上の元カレ、前園の前では乙女になる。嗚呼、可愛い。
物語冒頭にプールのシーンがあるのだが、全く卑猥ではない。カメラは遠く、恵は水の中に潜ったり、カメラに正面からは映らないようになっている。このカメラアングルさすがだなと思った。山下監督すごい。
文化祭の発表当日、前日の深夜にも及ぶ練習の疲れによって寝てしまい出番に遅れてしまう。響子の恋愛話も物語に登場するのだが、結局好きな気持ちは伝えられない。このようにバンド結成と発表を通して大々的な成功や登場人物たちが大きく成長することはない。しかし確かにリンダ・リンダは盛り上がったし、友情を紡げた。そして何より高校生時代を思い返してくすっと笑える経験が出来たことはかけがえのないことだろう。
鑑賞後、心が温かくなってみてよかったと思う。
緻密で大胆なフレーミングに惚れ惚れ
なんとなく観た気になっていたけれど通しては観ていなかった『リンダ リンダ リンダ』。たぶんYouTubeとかでバンドが演奏している場面を見てしまって、ほかの部分は脳内で捏造していたのかも知れない。音楽の絶妙さについては語るまでもないが、4Kリバイバルを気にちゃんと鑑賞してみて驚いたのは画角の素晴らしさ。フレーム内に別のフレームがあるような画面作りが、大きな世界の中に小さな世界がいくつも存在していることを伝えてくれているようで、目を奪われっぱなし。また、その瞬間に中心となりそうなキャラの表情をアップにしなかったり、完全に後ろ頭でしか見せない演出には相当な勇気と自信を感じる。撮影担当は池内義浩氏。撮影助手には後に奇跡的な映像をいくつもものにする近藤龍人がいるのもバトンが受け継がれていくドラマを勝手に想像して萌える。
青春の意味
ブルーハーツの「リンダリンダ」はよく聴いてました♪「ドブネズミ」がフックになっていて、「写真には写らない美しさ」とか、「愛の意味を知って下さい」とかがブスッと心に刺さります。甲本ヒロト自身が「リンダが誰か、僕にもわからない」と言ってるように、隙間だらけの歌詞から聴いた人が自由に想像を広げていけるのが魅力かなって思います。と書いていて、ふと思い出したのが、フジファブリックの「若者のすべて」。歌詞、演奏、唄、すべてが大好きな楽曲です(余談です…笑)。さて、今作は、学園祭で「リンダリンダ」を演奏するまでの数日間を淡々と記録しているような作品。敢えて当てはめるなら、「ドブネズミ」の部分が韓国留学生ソン(ペ・ドゥナ)の存在のようにも感じました。日本語もまだ勉強中、バンド経験もないソンがたまたま通りがかりに誘われるという意味のわからない設定によって、この作品がドラマとして動き出し、観ている人それぞれが自分の青春を重ねられるのでしょう。
3日間の青春、そして永遠のリンダリンダリンダ
純度の高い青春映画
公開当時の2005年は社会人になったばかりで、「青春映画はもういいかな」と思って観ていませんでしたが、今回4Kリバイバル上映をきっかけに劇場で鑑賞。
最高でした。
「今見て良かった」と心から思える作品。
MDや携帯電話、留年してる茶髪の先輩の赤いジャージ。
そのすべてがエモい。
登場人物がそれぞれのモラトリアムの中にいて、その閉じた時間の心地よさやもどかしさが懐かしく、観ている自分自身も「ずっとこの中に居たい」と思わせるような映画でした。
2000年代は『GO』『パッチギ!』など、在日コリアンをテーマにした作品が目立っていて、社会的な対立や生きづらさを描く傾向があったように思うが、その中で『リンダ リンダ リンダ』は、在日韓国人という要素をネガティブに描かず、それでもどこか少し独特な空気をまとっている。
対立したいわけでないが少し距離がある、そんな温度差がリアルで、当時の空気感を確かに感じました。
飛びます、飛びます
ポスターがまず素晴らしい。空と高校をバックに並ぶ4人の姿、当時のスチール写真が使われている。内側にギターの香椎由宇とベースの関根史織、向かって右にボーカルのペ・ドゥナ。この3人はVサインを出している。向かって左はスティックを両手で振り上げたドラムの前田亜季。4人の上に「LINDA LINDA LINDA 」のタイトルが黄色の英文字でのる。ザ・ブルーハーツの曲は「リンダリンダ」で、もともとタイトルにリンダが一つ多い。勢いづいて1回多く言っちゃった、というような元気の良さがタイトルにはあるのだけどそれを見事に反映したポスターであって、もちろん映画自体もまず勢いがある。
監督としては高校の文化祭というものをなるべく、リアルに再現したかったのだろう。最初と途中で出てくる実行委員会?のつくる文化祭紹介ビデオの下手くそな感じはそこを演出しているわけだ。でも2005年当時、香椎由宇こそまだ18歳だったが、前田亜季と関根史織は二十歳を超えており、ペ・ドゥナはすでに26歳だった。ちょっと職業人としての匂いがし始めている彼女たちは高校の文化祭という設定から少し浮いている感じはしないでもない。松山ケンイチが簡単にあしらわれるわけだ。でも、その点を超えて、4人はバンド練習を通して絆を強くする感じを演じるとともに、2曲だけとはいえ実演奏を仕上げてみせた。バンドもので一番大事なのはいかに「ぶっ飛ぶ」感じにいきつくかである。ここをみごとに達成している。(ベースの関根がそもそもプロであることが大きい。ベースまで素人だとあそこまで届かなかったかもしれない)
バンドはもちろん音楽をやった人間にとっては、この飛ぶ感覚は忘れられずいつまでも体で記憶されているものである。だからこの映画はいつの時代の誰にとっても懐かしく、温かい。
そういやあの頃はつねに眠かった
待望。 香椎由宇さんが美しい。
3日間を全力で
社会人になった今3日間を全力で過ごす事が無くなった気がする。
平日の5日の仕事をなんとなくこなし、土曜日曜は疲れてダラダラ過ごしてしまう。
たまにある3連休も1、2日目は出かけて遊び3日目は次の日の事を考え何もせず休む….
この映画は文化祭の一日の短いステージの為に3日間を全力で生きている。それになんの意味があるのか。
恵が言っていたが「意味なんてない」のである。
今は何をするのにも意味、損得を考えて行動してしまう。
文化祭の為に3日間全力で練習して、疲れ果てて本番に遅れてしまう。それでもステージに4人で立って演奏した意味は後からついてくるのだ。
はじめから意味ばかりを探していては動けなくなってしまう。衝動は大切。
自分が出来なかった青春を追体験させてくれる。
今青春真っ只中の高校生も、もう青春時代の感覚を忘れてしまった疲れた元高校生どちらにも観て欲しい作品!
眩しいな
懐かしさを感じる爽快な青春映画
2005年に製作された作品の4Kデジタルリマスター版。軽音楽部の女子高生が文化祭でバンド演奏をすることになった少女たちの奮闘を描いた物語。バンド仲間と深夜まで練習している姿はまさに青春で、当時の懐かしさを感じる爽快な青春映画です。ブルーハーツの曲も心に響きました。
2025-155
備品室
40年前に観たかった
観るものを勇気付ける映画!
韓国の女優さんが出ていたことだけ聞いていた。
最初はゆるーい雰囲気、いくら高校の文化祭でも、これだけ下手なコピーバンドではと思った。急遽、ボーカルを任されたソンさんは日本語があやしく、ベース(望)は才能がある。ギター(恵)とドラムス(響子)は聴くに耐えず。演出もあるけど、本当に下手だったのではないか。ソンさんがカラオケで練習するところが出てきたが、撮影の間に猛練習して、実際に、とてつもなく上手くなったのではないかと思った。
もっと困るなと思ったのは、バンドをはじめた恵は、あることをきっかけに一緒に始めた凛子と喧嘩別れするが、勢力争いにしかみえず、リーダーとしては決断が遅く、しかも短慮で可愛いだけ(ゴメン)。これじゃあなと思っていたら、仲間に入れた韓国からの留学生ソンさんがすごい。身体の動きが速い。階段を上がる時も、脚が長いから2段飛ばしだけど、それ以上に動き出しがはやい。特に、同学年の槙原裕作くん(松山ケンイチ)が体育館の隣の備品室で恋心を韓国語で伝えてから、仲間の4人で歩く時も恵が先頭だったのがソンさんになっていた。
一番良かったところ、ソンさんが歌い出す時、静が動に変わる瞬間。「リンダ・リンダ」は心に響いた。ソンさんを演じたペ・ドゥナは、この映画に出たことで開眼したのでは。オリジナルを作ったザ・ブルーハーツに対する配慮があることがよかった。アントニン・レーモンドによって設計された高崎市の群馬音楽センターが出てきたのも。長い間、群馬交響楽団の本拠地だった。
おそらくこの映画は、脚本、監督だけでなく、製作者や撮影の期間中も成長した出演者など、皆の力で出来上がったのではないか。だから、観る者の心に響くのに違いない。
青春コールドスリープ
時代を感じるなつかしさ
出だしがいきなりホームビデオでとったような粗い映像で高校の放送部員による記録映像風で始まる。撮影は工業高校で撮られたようだがどこにでもあるような公立高校の雰囲気がとてもなつかしかった。最近では体育館にもエアコンが入ったり改修工事が入ったりとずいぶん小ぎれいになってしまい以前のようなおもむきのある体育館はどんどん少なくなっているのではないだろうか?
軽音楽部の部室の場面でもラジカセがパイオニアだったかソニーだったかの一時期とても流行った機種だったりでかくて最近では製造されていないだろうがいい音でなってた。そのラジカセでカセットテープを再生するのだがジッタリンジンの「プレゼント」を聞こうとしてリンダリンダが間違ってかかってしまうという話になっていた。いろんな局をいれているカセットテープならではの間違いなんだけれど今ではなつかしい。そういえばMDというメディアが流行った時期もあったがMDも無くなってしまいCDに取って代わられそのCDすらサブスクに取って代わられようとしている。
映画の中で勝手にプールに入っていたり、夜中の学校に忍び込んでバンド練習をしていたり、今の時代なら管理が進んでちょっとリアリティを欠く感じだが70年代に中高時代を過ごした自分にとってはあるあるとうなずける話になっている。
何気ないカットに映画でしか表現できない空気感が表現されていて文化祭練習ってけっこうダラダラするものでそのダラダラした時間も友だちとの貴重な時間だったりするのでこの感じあるよなと思った。
ボーカルとギターがいなくなったバンドなのだけどギターはキーボードをしていた子が猛練習でギターをすることになり、ボーカルをどうしようかという話でたまたま通りかかった韓国からの留学生にボーカルを頼むことになる展開がおもしろい。日本語の会話がおぼつかない留学生だからといって対象からはずすのでないところが高校生あるあるでいいな。
ボーカルである留学生は文化祭で日韓文化交流のための展示を先生といっしょにする準備をしていたのだがバンド活動が楽しくなり文化交流の展示物に体育館でバンドやるから見に来てと大書する場面など大人目線のあるべき文化交流より日本人生徒との普通の付き合いのほうが良いよねというメッセージにも思えてあえて批判するわけではないのだろうけどけっこうパンクな映画だとも感じた。
前に見た時はビデオを借りて見たとおもうが今回映画館で見られて良かったです。
一瞬の輝き
青春映画と聞くと、なんかキラキラしているようなイメージがあるけれど、大多数の人にとって、実際の青春時代はキラキラなんかしていない。たぶん。
若くてエネルギーがあるはずなのに、毎日メンドクセーと思いながら学校行って、部活やって、ダラダラ帰り道に寄り道したり、友達とくだらない話して家に帰って、疲れて寝る。朝起きるとダルい。そう、時間が過ぎるのが遅くて、だいたいダルかった記憶しかない。
この映画には、そういうダルさと絶妙なユルさが信じられないくらいナチュラルに描かれている。冒頭のビデオ撮影のイケてなさとか、本番直前で切羽詰まっているのに切迫感がイマイチ感じられない4人の姿とか。それでいて、練習はちゃんとやって、本番ではきっちり決めてくるところも。
ソン(ペ・ドゥナ)のキャラクターがいい。彼女がいなければ、ここまでの作品にはなっていなかったと思う。孤立していた留学生が、ひょんなことからボーカルをやることになり、その魅力が3日間で徐々に開花していく。
ステージは一発勝負。祭りは一晩で終わる。その一瞬の輝きが消えると、またダルい日常に戻る。でもその一瞬の輝きが、多分人生の宝物になる。
はて、自分にはそんな宝物のような一瞬の輝きがあっただろうか?
あったという人は幸せ。無くても大丈夫。この映画で疑似体験できる。
※リンダリンダをカラオケボックスで大勢で熱唱したことを思い出した!
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