グッバイ、レーニン!のレビュー・感想・評価
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夫に追随して亡命しなかった母親が共産主義社会をリードする立場になった説明が…
体制が変わった中で、昏睡状態から目覚めた
人への取り繕い、という、
何か別の作品でも観たことのあるような話
なのだが思い出せないまま、
特異な設定に興味を引かれ鑑賞した。
特に、それが興味深いドイツ統一に向けての
東西ベルリンでの出来事でもあったので。
タイトルからすると、
何かコミカルな展開の作品なのかなと思い
観始めたが、至って奇をてらう事の無い作風
の映画だった。
しかし、上映開始早々に、
本来は順序立てて真実を母親に説明すべき
ところを
“何を面倒なことを”
との思いが私を支配してしまったため、
ひとつひとつの息子の手配に
いらつき感が生じてしまい、
なかなか作品の世界に
没入出来なくなってしまった。
母親は最後の最後には、息子の恋人から
真実を告げられていた訳だから、
息子の横顔をしみじみ見つめるシーンは
彼女の感謝の気持ちを表したものなのだろう
が、それはこの作品の主題としては
かなり大切な場面なのだろうから、
もう少し時間も割いて上手く演出・編集して
欲しかったと残念に思えた。
また、決定的に私が解らないのは、
母親は夫と共に亡命する気持ちがいくらかは
あって一度は同意したはずなのが、
それが自らの意思で
夫に追随することを止め、何故か
東ベルリンで共産主義社会をリードする立場
になった、とした前提だ。
一体何故なのか。
何故心変わりしたのか。
それは、息子達が取り繕いに奔走する
大前提で、
真実を知った母親が息子への感謝の念
息子の横顔を見つめるシーンにも関連する
重大な要素ではないだろうか。
そんな説明が無いことがこの作品への理解を
妨げてしまったようだ。
ベルリンの壁崩壊からドイツ統一という
重大な歴史ポイントを背景にした作品で
興味津々だったが、
残念ながらドイツ国民ではない私には
映画の中で示される東西ドイツ双方の
細部の相違点への無理解も含め、
前記の疑問点もあったことから
なかなか評価出来ない作品と
なってしまった。
どこまで嘘を貫き通せるか
病気で倒れた母を刺激しないように。
「ベルリンの壁が崩壊」なんかしていないって!。
そのアイディアの奇抜さと。
一生懸命に細工する息子の、母親思い。
壁崩壊後のドイツがどうだったかをも知れるのが、なおよろし。
家族愛というより体制風刺画?
タイトルの通り。
体制が崩壊すると旧体制での行為、評価は無意味になってしまう、という風刺的な内容かなあ?
見方によればイタリアの収容所で父親が子供に収容所である事を隠す映画(なんだっけ?)にも似てるし、どこかのアジア映画に通じる素朴さがあったり、不思議な映画。
消費するのは気持ちいい
東ドイツのつつましい暮らし。物がなくて、欲しい物も気長に順番を待ち、欲しくないものでも諦めて使う。監視や密告はあるかもしれないが、一般ピープルはそこそこ適応して生活している。しかし、一度「西」に出会ってしまったら、ドミノ倒しである。個人的には資本主義をいいとは思ってないが、消費者に寄せて作った物は、やはり使いやすいだろう。食品だって、売れるように味の改良もするし。自分の好みのものを、自分で選べる喜び。こりゃ気持ちいいー!
でも、社会主義を良しとし、清らかな生活に満足していたら、その社会の崩壊、人々の変貌ぶりは、かなりショックだろう。骨の髄まで社会主義に染まっている母が、そんな変化を見ないよう、息子は全力で偽装工作する。その奮闘は涙ぐましい。お母さん、あなたは孝行息子に恵まれましたね。加えて、息子に協力する友達や近所の人もあたたかい。
コメディタッチだが、ウィットが効いた良作。
BS松竹東急の放送を鑑賞。
クセになる音楽とテンポ良いストーリー展開が魅力
本来は切な過ぎる家族愛を、コメディータッチに明るく描いていているのが良い。
当時のドイツの背景を結構忘れてしまっていたので、笑いそびれたシーンもいくつかあったように思うが、主人公の悪戦苦闘に笑って泣けた。
【”母のためだけの東ドイツ”東西ドイツの統一が為されても、旧東ドイツの一部の人々が愛する母のために実行した”優しき嘘”を描いたヒューマンコメディ。あんな時代もあったなあ・・。】
ー 東西ドイツが統合された事は、前年に起きたベルリンの壁を叩き壊す人々の姿を捉えた映像と共に良く覚えている。
そして、東西ドイツ統合という名の下、実際には旧東ドイツに西側の民主主義文化が流入し、今作に描かれているように、一部の旧東ドイツの人々が財産、職を失った事も、後年学んだ。-
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・今作は、東西ドイツの統合を背景とした、家族の愛の物語であると思う。
特に息子アレックス(ダニエル・ブリュール:若いなあ・・。)が、夫ローベルトの西ドイツ亡命により、東ドイツ愛国心を強めた母に対する想いである。
ー アレックスが反社会主義デモに参加し警官と衝突した光景を見て、心臓発作で倒れた母のために、彼が母の死まで懸命に行った事が、コミカル要素を絡めつつ上手く描かれている。-
・母は昏睡状態で八カ月を過ごすが奇跡的に目覚める。だが、その間に東西ドイツは統一されていた。
ー 母の病室から見えるコカ・コーラの大きな広告。ヘリで吊り下げられ運ばれる上半身だけのレーニン像。バーガーキングで働き始めた姉。(そして、西ドイツに亡命した父の姿を見る。)
当時のドイツの世の変化に対する人々の戸惑いを、具体的事象を画の中に取り込むことで実に上手く表現している。-
・東ドイツが健在であることを、母に示すため紛争するアレックスの姿がオカシクも切ない。
ー アレックスの友人で、映画監督を目指す若き男が、半ズボンで上着だけ背広の姿で東ドイツのニュースを作りTV放映するシーン・・。実に良い奴である。友人に加えたい・・。-
・母が二度目の心臓発作を起こした時に、アレックスが父に会いに行くシーン。
冒頭で東ドイツ時代ソユーズ31号でドイツ人として初めて宇宙に行った事でヒーローになった、ジークムント・イェーンが統一後タクシードライバーになっていて、彼を父の家に送っていったり・・。
そして、久しぶりに会った父と母は一時間以上も話し込む。
ー ジークムント・イェーン、宇宙飛行士よりも、タクシー運転手の時の方が格好良いし、良い事言ってます・・。ー
<今作では、母が子供たちに夫ローベルトが西側に亡命したという”嘘”を隠し通し、更に”東ドイツはもうない・・、”という事を薄々知りつつも、息子の”優しい嘘”を信じるフリをしている事がコミカル要素を塗しながら、描かれている。今作は、真の家族愛を描いた作品であると私は思う。>
この映画の18年後の今を誰が想像しただろうか
数年前、
東大に留学中のドイツ人青年に会った事があった。
記憶の中の彼は、この主役のダニエル君っぽい顔をしていて
帰り際に席を立った時に驚くほど背が普通(日本の平均男子くらい)で、自分で覚えたての日本語で「みかけだおし」と言って笑ったのだった。
彼の両親はまったくこの東西ドイツ時代の東側の人であり
彼自身がこの中の主役になってもいい、まさにその世代の人物だった。
彼の英語と私のかなりレベルの低い英語力とでは、東西ドイツの話など出来る訳もなく 甚だ残念だった。
ただ彼の両親が彼が日本の大学に行くとなった時に
本当に考えられない奇跡のようだと語ったという事はわかった。
収束はまだか。
もちろんウクライナの話。
ロシアのウクライナ侵攻という信じられないくらい20世紀的な出来事が進行中の今思えば
あの東西ドイツ対立の終息は奇跡だったとしか考えられない。
1989年11月
事実上の東西往来自由化と取れる発言をきっかけに国民によってベルリンの壁が崩壊。
1990年8月
東西ドイツ統一
同9月
東ドイツがワルシャワ機構脱退
そしてドイツとしてNATO残留が決定。
これらはソビエトがゴルバチョフの時代だったからかなえる事が出来たのだというのは、今のプーチン氏の所業見ても明らか。
その後ゴルバチョフ氏の引退とともにソビエト社会主義共和国連邦は終わりを告げ ロシアの時代へ。
冷戦は終結し、世界は平和へまた一歩近づいたとばかり思っていた呑気な20世紀末、、、と思ったのも束の間
2001年
21世紀に入って速攻で911テロ
アラブ諸国とユダヤ系アメリカの過酷な小競り合いが開始
ISILは事実上の壊滅状態にあるとは言えまだまだ油断ならない。
だが 今の日本にとって脅威は
ロシアと中国。
アメリカが まったく介入しない事が明白になりウクライナのゼレンスキー氏は孤軍奮闘。
経済制裁のみにとどまるしかない世界を横目に日々悲惨な映像がネットを賑わす中、日本は自国の防衛は自国でという意見が確実に増えているように思う。
せめて
せめてこのウクライナ侵攻よりは前に見たい映画だった。
ベルリンの壁と母への愛
ベルリンの壁崩壊(=共産主義から資本主義社会への移行)という歴史的イベントを、一つの家族の視点から、心温まるライトなエンタメに昇華した良作だと思った。
主人公の母親を思う気持ちが深い。母の体を案ずるあまり、現実を隠し続ける。その嘘が、母親の尽くした東ドイツへのノスタルジーをベースに理想化しているのが優しいな、と思った。母の告白に一言もなじらなかったのも。
誰にとっても、長年馴染んだやり方全く変えるのは、不安だし難しいことだもんな。当時のドイツもしばらく大混乱だったらしい。なんて、色々と考えたりもする映画だった。
何度見ても大好き
ウクライナ問題でドイツとロシアの関係がハイライトされる中、この映画に出てたロシアの女優さんが亡命したとニュースで見て、10年以上ぶりに再び見ました。
優しい嘘と美しい家族の話。大好きです。
着想は悪くないのだけれど…
ディテールがすごく気になる。こんな上手くいく訳ないじゃん…と。
そもそも8ヶ月意識のなかった人が退院して寝たきりなのにあの元気さは何?排泄は?清拭は?ヘルパーはいつ来るの?話通してあんの?介護舐めんなよ、って感じ。
そんなことを思わせてしまうくらい、描写が浅い。社会主義国でタンス預金?戸棚の裏に手紙?あまりにも辻褄合わせだらけで…
それを言っちゃあお終めぇよ、ファンタジーなんだろ、
はいはい…そうなんだろうけどねぇ…
タクシーの運転士の方が社会に役立つ。と僕は解釈しました。。
単なる寓話だけれど、味のあるコメディだと思った。
宇宙飛行士がもてはやされるのは、やっばり、全体主義になりつつあるのかもしれない。イデオロギーに関係なくね。そのへんが嫌味だね!それだけでもこの映画に共感出来る。
タクシーの運転士さんだって、立派な仕事ですから、ちょっと、俯瞰しているのかなぁ。少なくとも、僕は宇宙飛行士なんて、犬や猿の代わりだと思っている。
さて、最後が気になる話だなぁ。どんでん返しとかじゃなくて、最後まで、真剣に見るべき映画だと主張する。セリフを良く噛みしめると、ある事が確信へと変わると、僕は感じた。
資本主義と社会主義の相違点を知る切っ掛け
この作品が、資本主義と社会主義(共産寄り)の相違点を知る切っ掛けになると良いね。
東ドイツの社会主義に傾倒する母親が心臓発作で8ケ月もの間、昏睡状態となるも、目覚め時には壁が崩壊し、西ドイツの波が押し寄せていた。医師からショックを与えることを禁じられていた息子アレックスは、母のために、部屋の中、食料、窓からの風景、テレビ番組さえも独自で制作し、壁崩壊前の東ドイツの再現に走り回る。
ユーモアと風刺と愛情とたくさん詰まったすばらしい作品です。
宇宙から見たらちっぽけなのに
ダニエル・ブリュールは声がよくてナレーションもすごくいい。
2003年の映画だったのか。確かにヘドウィグも善き人のための…など東ドイツ関連の映画は2000年代以降にたくさん制作された。再統一して10年たって振り返り、早すぎたのでは?本当に良かったのか?と考える余裕と内省ができるようになったということなのだろうか。この映画を見る自分も世界も1989年は勿論、2003年と比べたって当然のごとく変化している。でも東西格差はある。いまだにある。壁の崩壊後に生まれた世代間にも差別感情がある。
子どもの為にママは一生懸命に国を愛することにした。そしてママの命の危機のために二人の子ども、取り分けアレックスが滑稽なほど真剣に「なくなった」国にかつてあったものを集めて「ママの世界」を作った。それは自分にとっての「過去」の世界の再構成でもあったんだろう。
アレックスが映画制作好きの職場同僚=友達(いい味出してる!キャスターも堂に入ってた!)と「ママの為に」作ってきたニュースの最後の原稿の言葉には胸を打たれた。「西ドイツからの難民をうちで受け入れて」というママの言葉も涙なしには聞くことができなかった。
子どもの頃宇宙に憧れていたアレックスが東独の英雄だった宇宙飛行士に「ニュース」に出演してもらったこと、ロケットを飛ばして花火と共にママを宇宙に送ったお別れ場面は良かったなあ。
あるインタビュー番組で大事な映画3本を尋ねられたダニエルは「イングロリアス・バスターズ」「ラッシュ」そして、いい映画だと言って「グッバイ・レーニン」を挙げていた。いい映画です、本当に。
母のためについた大掛かりな優しい嘘
アレックスがベルリンの壁崩壊を知らない母のためにつき続ける嘘、バレそうになってヒヤヒヤしたり、誤魔化したり…コントにありそうな展開だけど笑えると言うわけではなく、コメディとして観るのは違うなと思った。
嘘は母が倒れてしまった原因として責任感を感じての行動だし、母親思いの優しい子やなと思ったけど、周りの迷惑を顧みず嘘に巻き込んでるやんと思い、ちょっとイラッとした笑
ベルリンの壁が崩壊したことで、東ドイツの人皆んなが豊かな生活を得ることができたと観る前はなんとなく思っていた。
しかし、社会が変わることに適応することは困難(若い人は比較的大丈夫だけど特にお年寄り)だろうし、資本主義による自由競争についていけない人達も当然出てくる。良いことだけじゃないと認識することができた。
最後に、ララがめちゃくちゃ可愛かった笑。
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