キス・オブ・ザ・ドラゴン : 映画評論・批評
2001年8月15日更新
2001年8月25日より日比谷映画ほか全国東宝洋画系にてロードショー
ジェット・リー、起死回生の多国籍アクション!
ジェット・リーは、ようやく満足を得たに違いない。この映画からはそんな思いが強く伝わってくる。98年に現在の芸名に変えて臨んだハリウッド進出作「リーサル・ウェポン4」では、その不気味な殺し屋役が注目を集めたが、次の初主演作「ロミオ・マスト・ダイ」では青春映画のテイストとワイヤー・アクションやCGがかみ合わず惨敗、「ハリウッドのシステムに飲み込まれた」とファンを落胆させた。そんな彼に声をかけたのがリュック・ベッソン。彼はリーが暖めてきたストーリーを元にこの作品の製作を決定、資金を集め監督に新人のナオンを起用する一方、アクション監督にはリーと香港時代から縁の深いコーリー・ユエンを招き、香港スタイルの撮影によってたった3カ月で完成させた。
そうして出来上がった作品は、「レオン」を彷彿とさせるストイックなヒーローの物語に仕上がった。今回はワイヤーやCGを極力排し、リーの肉体による体術が全面に出たアクションが展開し、子持ちの娼婦というブリジット・フォンダの役柄設定も、リーの孤独に花を添えるものになった。フランス人がハリウッドのために撮った香港映画、といえるが、リーの魅力が最大限に生かされていることは間違いない。
(編集部)