劇場公開日 2001年7月21日

けものがれ、俺らの猿と : 映画評論・批評

2001年7月16日更新

2001年7月21日よりシネクイントほかにてロードショー

ディストピアに明るい自己崩壊がやってくる

とめどなき蟲蟲蟲。堆積するゴミゴミゴミ。アホらしすぎる奇怪な建造物。呼吸停止を繰り返す老人の発作。永遠に続くバーベキュー饗宴、割り続けられる卵卵卵……。どうしようもなく馬鹿馬鹿しい頽廃にぐずぐずと溶解していく人間性。どこか70年代J・G・バラードのディストピアを思わせるエントロピー増大/パランス崩壊/自然発火寸前の超閉塞的世界を、ここまで徹底的に無意味かつパワフルに描きぬいた体力にまず感服するのが本作「けものがれ~」。世界観のみならず、主人公だっていかにも町田康(筆者の世代には「町田町蔵」のほうがいまだにしっくりくる)らしい、理性的狂気を貫く自覚的自堕落人間なのだが、これを永瀬正敏が実に活き活きと、いつになく楽しげに演じているのが痛快。永瀬のみならず、異色芸人・鳥肌実はじめ、意外にも映画的カンの良さを見せる降谷建志、それになんといっても“胡散臭い左翼映画人”を自虐的に演じる小松方正が素晴らしく、「明るい自己崩壊 (=心頭滅却の境地?)」ともいうべき、なしくずしのラストにカタルシスを生んでいる。……まぁ、これほどまでにあざとい異常さは、多分に飛び道具的・闇討ち的な面白さだけれどね。

(ミルクマン斉藤)

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