回路のレビュー・感想・評価
全33件中、21~33件目を表示
【緩慢な日常を死が徐々に覆いつくす”回路”は開かれた。ジャパニーズホラーとは、一線を画する奇想天外な黒沢ホラー。】
ー黒沢清監督の、平凡な日常に徐々に亀裂が入り、不穏な雰囲気に変容していく独特の世界観が萌芽し、世界(特にフランス)で、その世界観が評価され始めた作品。-
・ミチ(麻生久美子)が勤める会社の同僚が、ある日突然縊死するするところから、この不穏な雰囲気が横溢する映画は始まる。
・”タスケテ・・”という声が響く中、同僚たち(順子、春江(小雪))等が徐々に平静を失い、姿を消し、黒い影もしくはシミとなって現れる・・。
・赤いテープで封印された”開かずの間”の謎と荒廃した工場の風景。人影のない街。
ーそして、ミチは”開かずの間”で”影”により大きなダメージを受けた亮介(加藤晴彦)とともに、死(黒い影)が迫りくる世界から船で脱出を図る・・-
<じわりじわりと、何気なく過ごす人々の日常に侵入してくる異物(幽霊)達・・。
黒沢清監督の独特の死生観が仄かに提示される作品。この後、黒沢監督はその名を更に世界に馳せていく。
近年の邦画監督で、世界で活躍する監督は数名いらっしゃるが、当時、私の中では”陽”の是枝監督、”陰”の黒沢監督だと思っていたイメージを作り上げた作品。
だが、近年「岸辺の旅」「散歩する侵略者」辺りから”陰”という括りでは語れなくなってきた幅広い作品群を制作されるようになってきたことは、万民が知る所である。>
後から考えれば当たり前のことであっても それを当然のことだ、やらなければならないことなのだとだと真っ先に気付き実行してみせる感性 それが革新性ということなのだろう
自分の思うホラージャンルのある領域を観てしまった。
ホラー映画、怪奇映画は、他のジャンルでも感じるのだけど、
子供の頃は怖がりだったので、恐る恐る母親の観ている横で怖がっていたのだけど、
ある時期から、観るのが辞められなくなるくらい、ホラージャンルへの楽しみ、怖がりだからこそ、楽しめる様になってしまった。
黒沢清監督は、ホラージャンル以外にも、多彩なジャンルを撮っているのだけど、いろんなジャンルの中にも必ず黒沢清監督作品でしか、出会えない驚く瞬間がある。
だから新作がいつも楽しみ。
「回路」はテーマ的に日本のホラーのある領域に行ってしまった作品だと思ってます。
オリジナルで、こんな作品を撮れる監督。
幽霊描写、観た後で知った話で、
技術スタッフが悩んでるうちに、
あの近づいてきて、コケる幽霊をさっと撮ってくる監督。
黒沢清監督の新作を観続けるのはやめたくない、やめられない、映画的な怖さ、楽しさ、驚きに溢れている。
ホラーはおまけ。
女優を綺麗に撮るのがすごく上手です
.
自宅で鑑賞。都合、三回以上観ている。早撮りの黒沢作品群の中では出色の出来。小中千昭による恐怖の方程式「小中理論」を踏襲した作りで、好きなシーンが複数ある。不要なサプライズを仕掛けたショッキングホラーでは無く、じっくり魅せるのが佳い。冥界が溢れ、現世にはみ出して来る幽霊が生者をアチラへ送ると云う設定は破綻気味。プロットやストーリーを追い掛けるのではなく、不気味で不安を煽る描写や世界観に身を委ねると愉しめる。ただ確かに後半の展開はやや足早で単調な上、捨て鉢的……それでも好きな一作。85/100点。
・赤いテープで囲まれた地下室内で、赤いワンピースの女が躓き乍ら迫って来るシーンは、鶴田法男監督のオリジナルビデオ『ほんとにあった怖い話~第二夜('91)』収録の「第四話 夏の体育館」に殆ど同じシーンがある。これは鶴田監督の諒承を得て、本作内に採り込んだと黒沢監督がインタビューで答えている。
・監督が「小中理論」の実践者として、鶴田法男や高橋洋に大きな影響を受け、一時期追い掛けていたのは明白だが、それ以上に鶴田監督の描く幽霊やその表現に憧憬を抱き、進んで消化・吸収しようとしていた時期に本作が作られている。
・鑑賞日:2011年5月5日(木・こどもの日)
黒沢作品が苦手になった一作
海外はゾンビ、日本は幽霊!
全33件中、21~33件目を表示