シャイニングのレビュー・感想・評価
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1級のエンターテインメント
「午前十時の映画祭」で鑑賞。
40年ぶりぐらいに観た。レンタル・ビデオでも1度観たようにも思うが、とにかく劇場ではそれぐらい久しぶりに観た。
はじめて観たのは、高校生の頃だった。
三宮の国際会館という、だだっ広い映画館で本作を鑑賞した僕は、少なからず恐怖を覚え、観終わったあと、何だかとても気が重くなったのを記憶している。
「恐怖」といっても、映画に描かれた亡霊などの心霊現象(あるいは幻覚のようなもの)はそれほど怖くはなかったように思う。それよりも主人公のジャックが徐々に狂っていく姿、人間という生き物の中にひそむ、そして何かの拍子に顔を出すかも知れぬ、その狂気が恐ろしかったのだ。いや、もっと正確にいえば、そんなことが起こりうる人間という存在そのものにウブな高校生の僕は恐怖したのかもしれない。原作者のスティーブン・キングは、「キューブリックは恐怖というものをわかっとらん」と本作を酷評していると昔どこかで読んだことがあるが、少なくとも高校生の僕にはじゅうぶんに怖かった。
そして、ちょうどそのころ我が家でこんな出来事があった。
あることで、とてもふてくされた態度をとった妹に父が激昂したのだ。父はふだんはいたって温厚で、我々子どもたちに手をあげたことなど1度もなかったのだが、このときはちがった。度を越した妹の態度にあまりにも腹が立ったのだろう、「貴様! いい加減にしろ!」と父は妹の首に手をかけ、締め上げた。このままでは妹が死んでしまう。僕は必死に父を制止した。
僕が知るかぎり父がそんな行動をとったのは、後にも先にもそのときだけだった。それはまるで父の中から別の人間があらわれたようだった。僕はとても怖かった。その豹変ぶりに心底恐怖した。今でもそのときのことはトラウマになっている。
それ以来、僕の中でこの出来事と映画『シャイニング』はオーバーラップしている。
僕はこの映画のことを思い出すと、我が家で起きたあの恐ろしい出来事を思い起こしてしまう。父が「ジャック」と重なり、「ジャック」が父と重なるのだ(いかん、我が家の秘密をこんなところで曝してしまった)。
そんな、僕にとって曰くつきのトラウマ映画を数十年ぶりに観たわけである。
が、今回はほとんど恐怖というものを感じなかった。
何故だろう? 昔はあれほど怖かったのに……。いろんな経験をして、スレてしまったのかもしれないなぁ。
今回はエンターテインメントとして、ただただ楽しんでしまった(あのドメスティックな出来事は横に置いといて)。
まず物語の序盤、我々鑑賞者は、ジャックの家族とともに、過去の惨劇の舞台であり、これから起こる忌まわしい出来事の舞台となるホテルの中をいろいろと案内される。恐怖のホテルツアーの始まりである。お膳立てはバッチリだ。
ひと気のない夜の学校や閉院した病院……そして休業中のホテル。人が多く集まるべき場所に誰もいないというのは本当に気味が悪いものだ。
そのがらんとした空間に、ジャックが壁に投げたボールの音が響く。息子のダニーの載るスケートボードの音が響く。カーペットの所とそうでない所の音の差が効いている。それらの響きは否応なしに不吉な予感を誘う。よしよし、いい感じだ。
そして、いよいよ前半部に用意された伏線の回収がスタートする。雪に閉じ込められたホテルを徐々に狂気が支配していく。キャー!!
ここからはストーリーのことはちょっと置いといて、前回観たときには怖くてそれどころではなかったことにいくつか気づいたので、それを書こうと思う。
物語のほとんどは、閉鎖空間、つまりホテルの内部で進行するわけだが、観ていると、水平と垂直の直線で画面の多くのシーンが構成されていることがわかる。
ホテルの柱、窓枠、天井や床など、それらの水平線と垂直線がひじょうに効果的に使われているのである(歪みのほとんど出ないレンズで撮影している)。
このように水平や垂直が多用された構図は安定感をもたらすが、同時にある種の緊張感をも表現するように思う。
それからシンメトリーを意識した構図が多い点も印象的だ。このシンメトリーという構図も、上に記した水平・垂直線と同じような効果がある。
これらの画面構成が本作に独特の雰囲気を与え、ストーリーの展開に少なからず作用しているのは疑いのないところだろう。
つまり、それらの画面構成が生みだす映像効果によって、ジャックとその家族の閉塞感や、追い詰められていく心理が、より強調され、より絶妙に表現されているのである(ステディカムの導入も功を奏している)。
また、上に述べた画面効果が、本作に幾何学的映像美をもたらしているとも感じた。
今回、再鑑賞して、この作品の美しさにも僕は感動した。
巨匠キューブリックにこんなことを言っては失礼だが、映像がとてもしっかりしている。「端整」という言葉を用いてもいいだろう。
その端整な映像でとらえた、カラフルでおしゃれなホテルの内装、それから年代を感じさせる調度品や登場人物たちのファッション、倉庫の食料品のパッケージなどなど、それらを観ているだけでもじゅうぶん面白かった。とくにボール・ルームの赤と白に色分けされたトイレはとても刺激的だった(ボール・ルームの舞踏会の幻想シーンも美しく、後の『アイズ ワイド シャット』を連想させて、これにもワクワクした)。
というわけで、本作を美術作品のように鑑賞してもかなり楽しめました。
あと、「この映画の主役はダニーだな」と思わせるような、当時6歳のダニー・ロイドの演技も素晴らしかった。と付け加えて、そろそろレビューを終わることにします。
このところとても忙しいし、前にも観た作品だし、どうしようかなと映画館に足を運ぶのをちょっとためらったけれど、鑑賞して本当によかったです。
日本初公開版より20分以上長いリマスター版だということだけれど、まったく長さを感じさせなかった。
キング氏の意見は意見として、僕は、何十年経っても色あせない1級のエンターテインメントだと思いましたね。
午前10時に見る映画じゃねぇ!
午前10時の映画祭で鑑賞。やっぱり面白いですね。それに今回上映されたものは北米公開版だったのでコンチネンタル版しか見た事のない私は新鮮な気持ちで鑑賞することができました。
ストーリーについては書きません。私がストーリーを理解できてないですし、頑張って書いてもとんちんかんなことしか書けなさそうですしね。
役者さんの演技は全員上手です。ジャック・ニコルソンは狂気に満ちていましたしダニー・ロイドも6歳という年齢でダニーとトニーの演じ分けができており怖がらせてもらいました。コンチネンタル版にはないのが残念ですがダニーがトニーに乗っ取られるところはトラウマ物です。
本当に素晴らしい映画です。昔の映画だからと手が伸びない方にも見ていただきたい傑作です。是非ご覧ください。
ちなみにあの有名なシーンの字幕は「お客様だよ!」でした。個人的には「オコンバンハ!」のほうが好き。
コロナ禍の今だから、改めて怖い!!
超有名な映画ですが、ホラー苦手の私にとっては
ずっとハードルが高かったのです!
それでもここまでネタバレしている映画なので
思い切って「午前十時の映画祭」にて鑑賞。
いや~~~怖いね~~(笑)
ビジュアルのジャック・ニコルソンは怖いですが
奥さん役のシェリー・デュバルの顔も怖い!
出てきた瞬間にすでに心を病んでそうな佇まい。
この映画のタイトル「シャイニング」の子供!
ダニー・ロイド君も怖い!目が行っちゃってる。
そもそも、あのホテルに来る以前から
お父さんには何か粗暴な素質があったように感じた。
だから彼は悪霊に魅入られたのかも~~
流石に数々の映画からオマージュされてる
エポックメーキングな映画でしたね。
特に、ジャック・ニコルソンと
幻影のバーテンダーとの会話シーン。
クリス・プラッド主演の「パッセンジャー」の
BARのシーンを思い出しました。
で、月に8回ほど映画館に通う中途半端な映画好きとしては
「午前十時の映画祭」を紹介する
事務局オフタイム【第268回】と言うyoutube番組では
結局一番怖いのは「人間」ってことが
言いたかったスタンリー・キューブリック。
まだ若かったスティーブン・キングには
それが気に喰わなかった!
後年自分で取り直したけど、
これがつまんないと紹介していました。
私はホラーは苦手ですがミステリーは怖くない。
なぜなら人間が犯人なら動機が解る。
犯人が人間でない場合は恨まれる動機が解らない。
だから怖い。
まあ最近は人間が犯人でも
動機の解らない犯罪も多いですが~~
にしても、最後に疑問に思ったのですが
あの、気の毒な黒人のシェフ。
悪霊達にずっと以前から目を付けられていた様子なのに
あの日までよく無事だったわ!
悪霊たちは夜型ならぬ、冬型だったんですかね~~。
2021年コロナ禍で世界中で家庭内DVによる
被害が増えているそうな~
閉ざされた空間でやがて狂気に落ちる夫のセリフが
まんまDV夫のセリフで逆に恐ろしくなったわ。
2021年にまた劇場で上映されたことが
単なる偶然とは思えなくて、ちょっと背筋が
寒い~~~~~
感受性の凄さ
過去に自宅で鑑賞したことがありますが、ちょうど劇場で公開されていたので再鑑賞しました。原作は未読です。
ジャックの狂気は、自分を追い込む完璧主義な性格ゆえなのだと思います。そのジャックの狂気を感受性豊かなウェンディとダニーが感じとった。数々の幽霊や血も、彼らの幻覚とも思えなくもありません。あの場所が、感受性豊かな人の想像力を逞しくするのかもしれません。
現代の核家族にもDVや殺人は良くあるトラブルですよね。いやいや、八つ墓村みたいに昔から日本でも良くあることですが、何が一番怖いって隔離された空間にいる身内同士。人間が何よりも恐れるのはこういうシュチュエーションなんだろうな。
キューブリックもジャックと同様、超完璧主義者ですよね。作品を観ていると、ジャックがキューブリックに見えてきました。天才が持つ狂気を、キューブリックそしてジャック・ニコルソンから感じ取れるから、本作はずっと人を魅了してやまないのだと思います。
天才は理解を超えます。だから、映画は面白い。
午前十時の映画祭にて。 かなり昔に観ているが、細かいところなど全く...
キューちゃんの異形の心理ドラマ
ホラー映画の最高傑作
通常版はTVで観賞済ですが北米公開版の長尺は劇場初公開ということで楽しみにして鑑賞。お馴染みの血の洪水や迷路、斧で扉を壊すシーンから双子姉妹まで数えきれない名シーンの数々。幽霊から超能力まで多彩な演出で他のホラー映画とは一線を画す。
名優ジャック・ニコルソンの狂気に満ちた不気味な演技は強烈なインパクト。幽霊よりも人間の方が怖いというオチが笑える。何度でも観たくなる文句なしのホラー映画の最高傑作である。
(午前十時の映画祭にて鑑賞)
2021-101
合わなかった
午前十時の映画祭11で観賞。
冬の間は豪雪で閉鎖されるホテルの管理人の仕事を得た小説家志望のジャック・トランスは、妻のウェンディーと霊能力のある息子ダニーとともにホテルへやってきた。そのホテルでは、以前、精神に異常をきたした管理人が家族を惨殺するという事件が起きており、ジャックも次第におかしな行動をとるようになっていくという話。
北米公開版で144分の作品なので、119分版とは違うのかもしれないが、他に書くところが無いのでここにレビューします。
一言で言って、怖くなかった。ただ単に意味がわからなかっただけ。
ジャック・ニコルソンの狂気に満ちた怪演が見所だとは思うがそれ以上何も感じなかった。
個人的には合わない作品。
シャイニングは永遠に不滅です!
ちなみにワタクシ、広島在住の阪神ファンです。
1980年公開。大学生になった年でナンパな生活を送っていた、今思えば自分的には最悪の年。シャイニング流行ったよなぁ、色んな方面で。オカルトホラーの天井を破ったかと言うと、そうでも無く。間接的表現で演出する恐怖の底を抜いた訳でも無く。やっぱりキューブリックだから、ってのはあると思うんですよね、正直な話。
何にしても、この映画はニコルソンに尽きる訳で。ホラーとかスリラーとかのジャンルに捉われず、「狂気」の演技として、このニコルソンは超えられない、ってのを再認識。
吹雪の迷路の追いかけっこは何度見ても歴史的だし、骸骨の並ぶホテルロビーのシーンは、何度見ても蛇足感しかないw
オマージュ作品を数多く生み出した歴史的一作であることには間違いないんで、若いホラー好きの方には一度劇場で見ておいて欲しいです。
午前10時の映画祭で。
やっぱり、人、多かったわw
映画館で観たらより怖かった
好きな作品でDVDも持ってますが、映画館で上映されると知り、ビッグスクリーンで観たことがなかったので観に行きました。
やっぱり映画館はスゴイです。冒頭のシーンから大音量で流れる音楽が、より怖さを強調します。家のテレビだとここまでの効果は無いです。
(少なくともうちのテレビでは無理)
そのせいか、なんかうちで観るより怖かったです。ストーリー、転回、全部知ってるのにドキドキしちゃいました。
そしてやっぱりキューブリック作品は全てがアーティスティックで面白い。
チャンスがあれば、また映画館で観たいです。
あと、ダニーの着てる「APOLO」のセーター可愛くて好き。
※調べたらこのセーター、coachが商品化してるんですね。Nice!
因果応報・六道輪廻
理知的なサスペンスと、精神の根源を逆撫でするような恐怖バランスが実に上手い。恐怖映画の、一つのお手本のような作品。
キューブリックの鬼才が遺憾なく発揮された本作。とにかく「こだわり」が映画以上に恐ろしい。
本作を観た事がない人でも、ジャック・ニコルソンの「例の圧巻の表情」が「シャイニングという映画だ」という事は知っている。
「地獄の」「ギネス級の」と形容されるテイク数。僅か2秒足らずのこのシーンは190回以上リテイクを重ね、壊された扉は60枚を超える。
映画史に残るワンシーンの誕生だ。
しかし地獄のリテイクはこれだけじゃない。
家族3人で廊下を歩くだけのシーン87回、
ハロランがキッチンを横切るだけ136回、
ハロランが雪上車から降りるだけ50回、
ハロランがシャイニングを説明148回、
ハロランが斧で惨殺される心身共にハードなシーン40回。
ハロラン役のクローザーズは69歳。
う〜む、老人虐待w
(監督。なんかハロランに遺恨あります?w)
ウェンディ役シェリーに対しても心労で髪が抜けるほどイジメ抜く。
あの迫真の恐怖表情は、ジャックにではなくキューブリック監督に向けられた演技抜きのショットでは?(苦笑)
徹底した無機質なシンメトリーに、双子が加わると怖い、怖いw
いわゆる不気味の谷みたいな効果が発生するのかなぁ?
英国王立大学の数学研究チームが「恐怖映画」の「恐怖度」に関与する要素を下記の項目に設定し、公式化した。
「緊張感を高める音楽 」「未知要素」「登場人物が追われるシーン 」「罠の予感 」「衝撃度」「現実味 」「虚構性」「主人公の孤独さ」「暗闇」「映像の雰囲気 」「登場人物数 」「血や内臓 」「ステレオタイプ度 」
その結果、最も恐怖を感じる映画が「シャイニング」だそうだ。
(幾度も観た作品だが、シアターでの鑑賞は今回が初めてだ。怖いよ!(笑))
キューブリック監督は、アートセンスのみでこのバランスを編み出したわけだ。
個人的に常々「数学と美術は非常に高い相関関係がある」と考えているが、本作もまた、それを証明する一つだろう。
ただ、これを実現する為のテイク数は「キューブリック監督は演技指導が出来ない」事の表れでもあると思う。チャップリン映画に登場する幼い子役達が皆、見事な演技をするのは何故か?それはチャップリン自身が「演じてみせている」からだ。子役達はその模倣をすれば良かった。
キューブリックにタメを張れる才能の名優ジャック・ニコルソンはともかく、他の出演者の皆さんは本当にお疲れ様というしかない。
まぁ、キューブリックは「自分の中に湧き上がる画を撮る為に凄まじい枚数を切るタイプの写真家」という事なのだな。写真ならばまぁ、そのスタイルはよくわかるんだけどね。
機材の素晴らしさも特筆すべきだろう。
まだ撮影したフィルムは現像しなければ確認出来なかった時代。
本作において初めて「撮影直後に見られる」「走っても手振れしない」ステディカムカメラの発明&開発が躍動感溢れる滑らかな移動撮影を実現させた。
撮影技術の転換点として大変意義深い。
ドローンなど無い中で上空からの撮影もスタッフには頭が下がる。
映像美といい、作品構成といい、これだけ素晴らしい本作なのだが、、、
私の中で引っかかるのは「原作者の意向無視の大幅改変」なのだなぁ。
原作者が納得済みならば、改変も構わないとは思うんだけどね。
とにかく
・ジャックの人物像が悪い意味で違い過ぎる。(原作は最後に命懸けで家族を守りきる)
・ウェンディの人物像が悪い意味で違い過ぎる。(原作は聡明で勇敢な女性)
・シャイニング能力設定の意味がない。
というかなり肝心な3点が極めつけに「良くない」と思うんだなぁ。
シャイニングに込められた「輪廻転生」については、キングが明言化していないのを、映像で抽象的にも具象的にも謎めかして散りばめてある点は非常に秀逸だと思うんだけど。こういう改変ならば歓迎なんだがなぁ。
非常に迷うが、原作好き、スティーブン・キング好きとして、星半分減らしたいと思う。
ホラーのレビューはサクッと短く。と思っていたがまだ書き足りないw
それだけ名作という事だろう。
(駄作なら書きたい事もない)
レビュータイトルの輪廻話、全然書けてないけど、長くなるからまぁいいや。
制作秘話で1番好きなネタは
・「こんなの簡単過ぎる」と立体迷路を軽んじていた監督自身が、迷路で迷った事
・監督のみならず、テイク中に撮影スタッフまで迷い、撮影が難航したこと。
きっと迷路が1番得意だったのは、ダニー君なんじゃないかなぁ?
恐怖映画と対象的な微笑ましい逸話だと思う。
(あ!だから映画のジャックはあんな最期なのか?監督の経験から「これ、迷って死ぬぞ?みたいな?w)
恐怖映画のひとつの到達点といえるだろう
映画館で観たのは40年ぶりだろうか…
午前十時の映画祭11にて。
北米公開版だそうだ。
初観賞時は学生だった。
ダニー少年の三輪車の後をカメラがピッタリついて行く長回し移動撮影に、心臓が締めつけられるような恐怖を感じたのを覚えている。
今となってはそれほど強い刺激はないが、ステディカムで前から後ろから被写体を追い、そこに重ねる音楽で恐怖を煽る。
迷路のようなホテル内部で展開されるそれらの演出が、クライマックスでは本当の巨大迷路で集大成を見せる。
間違いなく恐怖映画の傑作だ。
ジャック・ニコルソンの鬼気迫る怪演が注目されるが、家族を演じた三人とも優れたパフォーマンスを見せている。
ダニー少年を演じたダニー・ロイドくんは、あの夫婦からこんな美形が産まれるかと思うほど整った顔立ちで、だからこそ時折見せる大きく目を見開いて硬直した表情が怖い。
ウェンディ役のシェリー・デュヴァルは、何もしなくても顔が不気味(失礼)。怯え泣き叫ぶ迫真の演技が素晴らしい。この直後に『ポパイ』でオリーブを演じていたが、まるで雰囲気が違っていた。
数々の受賞歴を誇る名優ニコルソンにとって、本作の演技はまったく賞レースに絡んでいないが、最もインパクトを残した代表作となった。自身が監督をした『ゴーイング・サウス』についてのインタビューで、「今撮影している映画こそ、完璧な作品だ」と語っている記事を当時雑誌で読んだ。それが『シャイニング』を指していたのだが、当の『ゴーイング…』は日本未公開という皮肉。
この映画、アバンタイトルから迫力の空撮が展開される。ドローンなどない時代の見事な撮影術。
キューブリックは移動撮影と空撮が大好きだが、本作はそれが最大限に効果を出している。
シャイニングと呼ばれる超能力が軽視されていて、原作者のスティーブン・キングが怒るほどの改変脚色がなされている。
が、数あるキング小説の映画化作品にあって、良い意味でも悪い意味でも原作を凌駕した唯一の映画だと思う。
(『キャリー('76)』『スタンド・バイ・ミー』『ショーシャンクの空に』は原作の再現術において優れた映画)
ホラー映画の金字塔ですね
午前10時の映画祭で鑑賞しました。
今回はリマスター版での上映でしたので、どれくらい映像が綺麗になっているのか気になっていましたが、上映が始まってすぐ、細部まで綺麗になっているのが確認出来ました。いやはや驚きです。
音響はやや大きく設定していたようで(これは上映した映画館の問題かな?)、霊達の小声みたいな音が不気味さを増していました。
さて本作品についてですが、今更何も言う事はありません。
ホラー映画の金字塔的な作品ですね。
私的には、脳にダメージを与える作品に分類しています。
人によっては、物語の説明が不足していると言われますが、逆に言えば、説明が無いため、不気味さが増していると思います。
しかし見直して感じたのですが、ジャック・ニコルソンより、奥様役のシェリー・デュバルの方が、めちゃ怖い演技していました。
恐怖に怯える顔の演技には脱帽です。
ホラー映画は苦手ですが、本作品は何度観てもOKですね。
演技力オンリー
ジャックの顔だけがホラー度★★★
顔芸
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山奥のホテルの管理人として作家のジャックが家族を連れてひと冬を越すはずが、なんだかいわく付きのホテルのようで、、という話。
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名作と言われるのにはそれなりの理由があるわけで、開始すぐに山道を走る車の映像と『レディープレイヤー1』でも流れてた有名な音楽が流れる。のどかな風景に音楽が合わさることでもう不吉、その時点でもうこの映画への信頼度は100%.
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おばけは出てくるけどそれ自体はそんなに怖くなくて、怖いのは前編を通して不吉なBGMが流れて何か嫌なことがありそうという不安感をバリバリ煽ってくること。
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特に、「角を曲がった先に何があるかわからない怖さ」っていう表現がめっちゃ上手いなと思った。前半、迷路で何度も角を曲がったり、ホテルの突き当たりを曲がっても何もいないという映像が繰り返し出てきた後についに何かに遭遇する、「何か」自体は怖くないしそこまで音で驚かされないけど結構びっくりするよね(笑).
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そして、本当に怖いのはやはり人間の怖さ。幽霊よりも、男性が無意識にでも心の奥底に持っている凶暴性・威圧感・支配欲がいちばん怖いよねって話かと。ホテルで過ごすうちに徐々にジャックの本能がじわじわと引き出されていくのが怖いし、顔芸最高だし、とりあえずジャック・ニコルソン最高。
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別に自分はDV受けたことがあるとかじゃないけど、昔っから父親とか男の先生に大声で怒られるとめっちゃ心臓バクバクするんだよね。男の人が本気を出したら絶対に叶わなくて、全面的にひれ伏すか、せいぜいかすり傷を負わせることしか出来ないという恐怖よねえ。
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この山奥のホテルで家族だけで引こもるという状況が、今のコロナの自粛生活にも被って、さらにコロナ禍でDV被害が増えてるという今の状況にバリバリ重なるので今見るべき映画かと。
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あとね、ホラーって恐怖におののく顔を強調するために顔立ちがはっきりしてる人を襲われる側にすると聞いたこことがあるけど、奥さんの女優さん目がくりっくりで怯えてる顔印象的だったよね!!
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これでもう1回『レディープレイヤー1』のシャイニングのシーン見直さな。
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