シャイニングのレビュー・感想・評価
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因果応報・六道輪廻
理知的なサスペンスと、精神の根源を逆撫でするような恐怖バランスが実に上手い。恐怖映画の、一つのお手本のような作品。
キューブリックの鬼才が遺憾なく発揮された本作。とにかく「こだわり」が映画以上に恐ろしい。
本作を観た事がない人でも、ジャック・ニコルソンの「例の圧巻の表情」が「シャイニングという映画だ」という事は知っている。
「地獄の」「ギネス級の」と形容されるテイク数。僅か2秒足らずのこのシーンは190回以上リテイクを重ね、壊された扉は60枚を超える。
映画史に残るワンシーンの誕生だ。
しかし地獄のリテイクはこれだけじゃない。
家族3人で廊下を歩くだけのシーン87回、
ハロランがキッチンを横切るだけ136回、
ハロランが雪上車から降りるだけ50回、
ハロランがシャイニングを説明148回、
ハロランが斧で惨殺される心身共にハードなシーン40回。
ハロラン役のクローザーズは69歳。
う〜む、老人虐待w
(監督。なんかハロランに遺恨あります?w)
ウェンディ役シェリーに対しても心労で髪が抜けるほどイジメ抜く。
あの迫真の恐怖表情は、ジャックにではなくキューブリック監督に向けられた演技抜きのショットでは?(苦笑)
徹底した無機質なシンメトリーに、双子が加わると怖い、怖いw
いわゆる不気味の谷みたいな効果が発生するのかなぁ?
英国王立大学の数学研究チームが「恐怖映画」の「恐怖度」に関与する要素を下記の項目に設定し、公式化した。
「緊張感を高める音楽 」「未知要素」「登場人物が追われるシーン 」「罠の予感 」「衝撃度」「現実味 」「虚構性」「主人公の孤独さ」「暗闇」「映像の雰囲気 」「登場人物数 」「血や内臓 」「ステレオタイプ度 」
その結果、最も恐怖を感じる映画が「シャイニング」だそうだ。
(幾度も観た作品だが、シアターでの鑑賞は今回が初めてだ。怖いよ!(笑))
キューブリック監督は、アートセンスのみでこのバランスを編み出したわけだ。
個人的に常々「数学と美術は非常に高い相関関係がある」と考えているが、本作もまた、それを証明する一つだろう。
ただ、これを実現する為のテイク数は「キューブリック監督は演技指導が出来ない」事の表れでもあると思う。チャップリン映画に登場する幼い子役達が皆、見事な演技をするのは何故か?それはチャップリン自身が「演じてみせている」からだ。子役達はその模倣をすれば良かった。
キューブリックにタメを張れる才能の名優ジャック・ニコルソンはともかく、他の出演者の皆さんは本当にお疲れ様というしかない。
まぁ、キューブリックは「自分の中に湧き上がる画を撮る為に凄まじい枚数を切るタイプの写真家」という事なのだな。写真ならばまぁ、そのスタイルはよくわかるんだけどね。
機材の素晴らしさも特筆すべきだろう。
まだ撮影したフィルムは現像しなければ確認出来なかった時代。
本作において初めて「撮影直後に見られる」「走っても手振れしない」ステディカムカメラの発明&開発が躍動感溢れる滑らかな移動撮影を実現させた。
撮影技術の転換点として大変意義深い。
ドローンなど無い中で上空からの撮影もスタッフには頭が下がる。
映像美といい、作品構成といい、これだけ素晴らしい本作なのだが、、、
私の中で引っかかるのは「原作者の意向無視の大幅改変」なのだなぁ。
原作者が納得済みならば、改変も構わないとは思うんだけどね。
とにかく
・ジャックの人物像が悪い意味で違い過ぎる。(原作は最後に命懸けで家族を守りきる)
・ウェンディの人物像が悪い意味で違い過ぎる。(原作は聡明で勇敢な女性)
・シャイニング能力設定の意味がない。
というかなり肝心な3点が極めつけに「良くない」と思うんだなぁ。
シャイニングに込められた「輪廻転生」については、キングが明言化していないのを、映像で抽象的にも具象的にも謎めかして散りばめてある点は非常に秀逸だと思うんだけど。こういう改変ならば歓迎なんだがなぁ。
非常に迷うが、原作好き、スティーブン・キング好きとして、星半分減らしたいと思う。
ホラーのレビューはサクッと短く。と思っていたがまだ書き足りないw
それだけ名作という事だろう。
(駄作なら書きたい事もない)
レビュータイトルの輪廻話、全然書けてないけど、長くなるからまぁいいや。
制作秘話で1番好きなネタは
・「こんなの簡単過ぎる」と立体迷路を軽んじていた監督自身が、迷路で迷った事
・監督のみならず、テイク中に撮影スタッフまで迷い、撮影が難航したこと。
きっと迷路が1番得意だったのは、ダニー君なんじゃないかなぁ?
恐怖映画と対象的な微笑ましい逸話だと思う。
(あ!だから映画のジャックはあんな最期なのか?監督の経験から「これ、迷って死ぬぞ?みたいな?w)
恐怖映画のひとつの到達点といえるだろう
映画館で観たのは40年ぶりだろうか…
午前十時の映画祭11にて。
北米公開版だそうだ。
初観賞時は学生だった。
ダニー少年の三輪車の後をカメラがピッタリついて行く長回し移動撮影に、心臓が締めつけられるような恐怖を感じたのを覚えている。
今となってはそれほど強い刺激はないが、ステディカムで前から後ろから被写体を追い、そこに重ねる音楽で恐怖を煽る。
迷路のようなホテル内部で展開されるそれらの演出が、クライマックスでは本当の巨大迷路で集大成を見せる。
間違いなく恐怖映画の傑作だ。
ジャック・ニコルソンの鬼気迫る怪演が注目されるが、家族を演じた三人とも優れたパフォーマンスを見せている。
ダニー少年を演じたダニー・ロイドくんは、あの夫婦からこんな美形が産まれるかと思うほど整った顔立ちで、だからこそ時折見せる大きく目を見開いて硬直した表情が怖い。
ウェンディ役のシェリー・デュヴァルは、何もしなくても顔が不気味(失礼)。怯え泣き叫ぶ迫真の演技が素晴らしい。この直後に『ポパイ』でオリーブを演じていたが、まるで雰囲気が違っていた。
数々の受賞歴を誇る名優ニコルソンにとって、本作の演技はまったく賞レースに絡んでいないが、最もインパクトを残した代表作となった。自身が監督をした『ゴーイング・サウス』についてのインタビューで、「今撮影している映画こそ、完璧な作品だ」と語っている記事を当時雑誌で読んだ。それが『シャイニング』を指していたのだが、当の『ゴーイング…』は日本未公開という皮肉。
この映画、アバンタイトルから迫力の空撮が展開される。ドローンなどない時代の見事な撮影術。
キューブリックは移動撮影と空撮が大好きだが、本作はそれが最大限に効果を出している。
シャイニングと呼ばれる超能力が軽視されていて、原作者のスティーブン・キングが怒るほどの改変脚色がなされている。
が、数あるキング小説の映画化作品にあって、良い意味でも悪い意味でも原作を凌駕した唯一の映画だと思う。
(『キャリー('76)』『スタンド・バイ・ミー』『ショーシャンクの空に』は原作の再現術において優れた映画)
ホラー映画の金字塔ですね
午前10時の映画祭で鑑賞しました。
今回はリマスター版での上映でしたので、どれくらい映像が綺麗になっているのか気になっていましたが、上映が始まってすぐ、細部まで綺麗になっているのが確認出来ました。いやはや驚きです。
音響はやや大きく設定していたようで(これは上映した映画館の問題かな?)、霊達の小声みたいな音が不気味さを増していました。
さて本作品についてですが、今更何も言う事はありません。
ホラー映画の金字塔的な作品ですね。
私的には、脳にダメージを与える作品に分類しています。
人によっては、物語の説明が不足していると言われますが、逆に言えば、説明が無いため、不気味さが増していると思います。
しかし見直して感じたのですが、ジャック・ニコルソンより、奥様役のシェリー・デュバルの方が、めちゃ怖い演技していました。
恐怖に怯える顔の演技には脱帽です。
ホラー映画は苦手ですが、本作品は何度観てもOKですね。
演技力オンリー
吊橋効果のために映画デートで使うにはありかなというレベルでした。女の子をキャーキャーさせて、恋のドキドキと勘違いさせましょう(適当)。
良かった点は、演者陣の演技力。ジャックニコルソンの怪演、妻役の女優さんの幸薄そうな顔、天才すぎるくらい可愛い子役。どれも素晴らしかったです。
しかしストーリー展開は微妙。ただただ怖い映像が続くだけでした。もちろんこれがホラー映画なのだろうけど、何かいまひとつ(趣味に合わないのかも)。
また、たった数ヶ月山の奥にいて孤独になるだけで、あんなふうに気が狂うかね?ジョーカーのようなリアリティがあればいいが、この映画にはそれすらもありませんでした。
恐怖のパフェ
原作未読の映画素人のレビューです.でもこの映画はまさに,恐怖のパフェ,しかも千疋屋とかの高級なやつ.それほどに全体像と内部構造が完璧な作品です.
恥ずかしながら怖くて敬遠していたのですが,レディプレイヤーワンをきっかけに意を決して視聴,なぜもっと早く見なかったのか!後悔しました.
本作品が飛び出してびっくり系のホラーと圧倒的に異なる点は,観衆に薄々なにが起こるかを予見させながらも,絶妙にずらした形でそれを提示することにあると思います.人間誰しも映画を見ながら,あー次はこうくるよね,とか思いながら見ると思うのですが,シャイニングは全然予想通りにこない!大体斜め上か斜め下なんです.これで観客は翻弄されるわけですよね.
だから高級なパフェみたいに,全体を見て「ふーんイチゴパフェね」,と食べ始めると,あれ,ぶどう!?あれ,チョコレート!?と最後まで驚かされながら圧倒されるんだと思います.犬人間とかほんと怖い.
ゆえに私は途中で耐えきれず中に何が入っているか調べてしまいましたけれども.Wikipediaがない時代に劇場で観られた方を尊敬してしまう,そんな作品です.
ジャックの顔だけがホラー度★★★
人生2回目のシャイニング、1回目は映し方の芸術性が印象に残ったが今回はおかしくなる前から異常な顔に見えるジャックニコルソンに芸術は負けた。ホラーな表情がギリギリまで行き過ぎて志村けんみたいに見えてキモくて笑える。特に最後凍ったジャックの表情と鐘の音は間違いなくお笑い、吹き出しました笑
顔芸
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山奥のホテルの管理人として作家のジャックが家族を連れてひと冬を越すはずが、なんだかいわく付きのホテルのようで、、という話。
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名作と言われるのにはそれなりの理由があるわけで、開始すぐに山道を走る車の映像と『レディープレイヤー1』でも流れてた有名な音楽が流れる。のどかな風景に音楽が合わさることでもう不吉、その時点でもうこの映画への信頼度は100%.
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おばけは出てくるけどそれ自体はそんなに怖くなくて、怖いのは前編を通して不吉なBGMが流れて何か嫌なことがありそうという不安感をバリバリ煽ってくること。
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特に、「角を曲がった先に何があるかわからない怖さ」っていう表現がめっちゃ上手いなと思った。前半、迷路で何度も角を曲がったり、ホテルの突き当たりを曲がっても何もいないという映像が繰り返し出てきた後についに何かに遭遇する、「何か」自体は怖くないしそこまで音で驚かされないけど結構びっくりするよね(笑).
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そして、本当に怖いのはやはり人間の怖さ。幽霊よりも、男性が無意識にでも心の奥底に持っている凶暴性・威圧感・支配欲がいちばん怖いよねって話かと。ホテルで過ごすうちに徐々にジャックの本能がじわじわと引き出されていくのが怖いし、顔芸最高だし、とりあえずジャック・ニコルソン最高。
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別に自分はDV受けたことがあるとかじゃないけど、昔っから父親とか男の先生に大声で怒られるとめっちゃ心臓バクバクするんだよね。男の人が本気を出したら絶対に叶わなくて、全面的にひれ伏すか、せいぜいかすり傷を負わせることしか出来ないという恐怖よねえ。
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この山奥のホテルで家族だけで引こもるという状況が、今のコロナの自粛生活にも被って、さらにコロナ禍でDV被害が増えてるという今の状況にバリバリ重なるので今見るべき映画かと。
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あとね、ホラーって恐怖におののく顔を強調するために顔立ちがはっきりしてる人を襲われる側にすると聞いたこことがあるけど、奥さんの女優さん目がくりっくりで怯えてる顔印象的だったよね!!
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これでもう1回『レディープレイヤー1』のシャイニングのシーン見直さな。
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音楽も相まって、最初の方からとにかくいつ来るかドキドキの連続で、怖...
音楽も相まって、最初の方からとにかくいつ来るかドキドキの連続で、怖さが半端無し。本当に上手い演出だと思う。救世主かと思った黒人コックもアッサリと殺されてしまう意外性。迷路の森の使い方は流石に上手くていたく感心。ただ息子の超能力、予知能力がお話に十分に生きてこないのは勿体なさを感じた。半獣女?や血垂らしてるおじさん等、最後の方のお化け屋敷的な造形は今ひとつ。最後の写真は、主人公の生まれ変わりというか輪廻を示している様だが、あまりスッキリとはしない。ただ、全体的にジャックニコルソンが表現する狂気と映画全体の怖さは出色で、凄みのあるホラー映画の傑作とは思った。
有名作だけど
シャイニング、サスペンスホラーで有名で気になっていたので観てみたがなんだかいまいち??
ストーリーが唐突すぎて。
237号室に入ってはいけない理由、ダニーの超能力とは?幻覚の人たちは?
などなど明かされてない部分が多くて謎が残る。
奥さん、早く殺してしまえと思ったりイライラ笑
なんじゃこりゃ!
ずっとあの有名なシャイニングってどんな映画なんだろう?って思い続けてとうとう見たけど、なんじゃこりゃ!?
とりあえず冬に豪雪で締め切られてしまうホテルの管理業務を請け負った一家が、冬の閉鎖的な空間で正気を失って(特に父親)、過去にあった悲惨な出来事をオマージュしていくっていう映画なんだけど結構あっさりした内容で驚いた。
内容よりも惹かれるのは演出。抽象的なドアの赤い洪水や、惨殺された双子の女の子の奇妙な雰囲気、過去のホテルの人物と邂逅して引きずられていく父親の演技と演出。息子の不思議な姿を見せない友達etc…という世界観を魅せてくれた映画だった。
父親凍死してホテルの昔の写真に映ってたみたいだけど、あれ狂気に取り込まれたってことかな?
納得できないっていうより、あれは何だったんだろう?っていう不思議な印象を持たせてくれた。
あとall work and no play makes Jack a dull boyの▽になってるとこ、しっかり遊んでて笑った。
ジャック・ニコルソンの顔だけでも繰り返し見たい。
味わい深い怖さをじっくり楽しめる映画。
怖いというよりも、関心してしまう不思議さがある。
スティーブン・キングは、スタンリー・キューブリックについて、
「ホラー映画が何か分かっていないのに原作を変えて映画化した」みたいな感じに
非難しているみたいだけれど、
たしかに登場人物の視点や心境とは関係ない、
イメージ映像みたいなのも差し込まれたり、
いわゆる今の自分が慣れ親しんだホラーとは少し違っているのは分かる。
映画が怖いんじゃなくて、
出てくる人物が怖い(もっといえば人物の顔が怖い)と言えば伝わるでしょうか?
タイトルのクレジットのフォントの色がダサいのも好き。
良くも悪くもキューブリックらしい作品。
この作品を観てひとつ思ったことは、これと同じ作品を現在作っても、恐らく同じ評価は受けないと思う。ある意味評価されすぎだと感じた。冷静に観れば、そこまで面白い作品ではない。
しかし、この作品から現在の日本映画にない良いところも多々あると感じた。ワンカットで長く見せる撮り方は何でもかんでも詰め込みすぎの日本映画は学ぶべきだと思う。
そして、ジャックニコルソンの演技は鬼気迫るところがあり、日本人でこれ程の演技をできる人はいないと思った。
ある意味そこが日本映画の最大の弱点だと思う。
最後になんかブッ込んで来ましたね
有名な映画なので当然作品の存在も、ジャックニコルソンの象徴的な顔面ショットも知ってましたが、公開から40年にして初鑑賞。
有名だけど昔の映画って、現在進行形の年齢だったり時代背景で面白く無かったりするんだよなぁ、と正直舐めてました。
が、オープニングの重厚な音楽で一気に引き込まれ、
そこから終始音楽が、不快と言うか不気味な世界観を引っ張って行きます。
それに相まって、子役ダニーの三輪車を駆るシーンの印象的な床の柄とカメラワーク。
何も起きないのに、なんか怖い。
2人の女児はただシンメタリーなだけで怖い。
ルーム237に何かありそう、怖い。
奥様のクッキリ引っ込んだ大きな二重瞼と歯並びが、登場した瞬間から怖い。
そして勿論、ジャックニコルソンのフツーな訳が無い顔(既にジョーカーの要素入ってる)が怖い…
英語だから正解には判断出来ないけど、子役のダニーの演技の上手さも作品を引き締めます。
「冬季管理するホテルがインディアンの墓地の跡地だった」「過去に冬季の管理人が凄惨な事件を起こした」
そんな曰く付きのホテルの管理人に就任し、更に雪により孤立した閉鎖空間。精神が異常をきたすのも分かります。自分ならこの仕事無理だなぁ。
主人公ってそもそも物書きで生計立ててたの?
何処から何処までが妄想なの?
幽霊?
理解できない不気味さがジワります。
嗚呼それなのに、象徴的な顔面ショット以降は、ありがちな追いかけっこ…。
足跡を消すダニーの機転には拍手を送りたいですけど、前半のモヤモヤザワザワした間接的な恐怖感皆無…
そりゃダニー助かるでしょ〜。
自分的にインディアン墓地跡地の白人へ呪いでも、閉鎖的な空間で発狂した男の怨念でも理由付けはどうでもよく、「理解出来ない狂気空間があるんだよ」って解釈で、尻窄みだけど何となく有りだなって終わったんです。
そしたら、最後に1921年撮影の主人公に似た人物が映った写真をブッ込んで来た。
何なの?ホテル設立年でも無いし、
主人公に似た人物はホテルの前オーナー?
本人なの?
生まれ代わりがまた呪いのホテルに導かれたの?
そもそも少年ダニーの能力(それがシャイニング?)も中途半端だし、
なんかモヤモヤした余韻を残す終わり方、嫌いじゃないです。
このホラーは楽しい!
ホラー具合がちょうどよくて、しかも意外に面白可笑しかったりして、楽しい映画でした。
やはり双子の少女が登場する場面はイイ。
言ってみれば、ダイアン・アーバスのあの双子の写真と、不思議の国のアリス(異界のイメージ)のスタイリングがかけ合わさったかのような、じわじわと伝わる不気味さが、とても程よく感じます。
その程よい見た目と、もろもろのお膳立てのおかげで、双子が目に入ってから幽霊だと気づくまでに一瞬タイムラグが発生します。
双子の異常な雰囲気でゾッとし、幽霊だと気づくことでゾッとし、そして、そう気づくまでに掛かったわずかな時間=自分が隙をみせた時間の分を思い、もうさらにゾッとするのです。
丁寧に狙った絶妙な怖さが素敵です。
気づくまでのタイムラグによる効果は、“redram”の文字や、タイプライターの「仕事ばかりで遊ばない」のシーンでも言えるでしょう。実はさっきから既に異常だったという気付きがショッキングです。こういう点が、急な大きな音や、血とかグロさのインパクトで怖がらせるコンテンツとは、また違った良いところだと感じます。映画作品である以上、作品の発想やセンスに感動できるというのは嬉しいです。
可笑しいシーンは、やはり奥さんのビビリっぷりでしょう。おもわず「がん張れがん張れ」と応援したくなってきます。けど、なんだかんだで彼女、割と最強です。狂った夫から的確に逃げ、正確に反撃し、効率よく息子を守って、無傷のまま脱出に成功する実力者です。スポーツ観戦的な気分で観ると結構楽しめました。
ホラー映画は今までほぼ観てこなかったのですが、こういう怖さはすごく楽しめるので、他にも観てみたいと思いました。
【”オーヴァー・ルックホテルの惨劇再び。”ジャック・ニコルソン演じるジャックがホテルに棲む魑魅魍魎に取付かれ、狂気を帯びていく姿が怖くて、怖くて・・。音響、色調を含めて引き込まれる作品。傑作である。】
<Caution! 内容に思いっきり触れています。
未鑑賞の方は、本作鑑賞後に、私のレビューの瑕疵を御指摘いただければ、幸甚です。>
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ー 映画内容は、人口に膾炙しているとは思うが・・、簡単な粗筋。 -
■作家を志す、ジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)は妻ウェンディと、幼き1人息子ダニーと共に、コロラドホテル:オーヴァー・ルックホテル(展望ホテル)の冬季管理人(ホテルは雪のため、10月~5月まで閉鎖される・・)として採用され、3人で延々と山道を3時間半走るシーンから物語は始まる。
ダニーはイマジナリー・フレンドのトニーが脳内に居り、トニーとして喋る際には、人差し指を折りながら”奇妙な声”で喋る・・。
ウェンディは夫に対し、オドオドしながらも、忠実に従っている・・。
且つて、一度だけジャックは酔った勢いで自分の原稿を散らかしてしまったダニーの腕を”少し強く”引っ張り脱臼させてしまった苦い過去がある・・。
そして、物語は章立てで進む。
<1.インタビュー>
・ジャック・トランスがコロラドホテルの冬季管理人として採用されるかどうかの面接のシーン。ホテル支配人から告げられる事実。
【1970年の冬の悲劇 冬季管理人だったグレイディが孤独に耐え切れず、精神に異常を来し、妻と双子の幼き娘を斧で切り刻んだ・・】
<2.ホテル閉館の日>
・ホテルの料理長のディック・ハロランが初対面にも関わらず、ダニーを笑顔で”先生”と呼ぶシーン。ハロランが真面目な顔でダニーに”シャイニング”の持ち主であると伝え、決して【237号室】に近づいてはいけないと諭す。
”何かあると、【痕跡】が残る・・”
ー ハロランは、この時点で、トランス一家の今後に不安を感じていた事が巧みに表現されているシーンである・・。勿論、観客にも・・。心がざわつき出す・・。-
<3~7.>
・ホテルが閉館されてから、一カ月後。その後、火曜日、木曜日、土曜日、月曜日、水曜日とテロップが示され、観る側にはジャックが徐々に精神に異常を来していく過程が描かれる。
そして、ダニーはホテル内で、水色の服を着た双子の少女達から”ハロー、ダニー・・。遊びましょう・・”と告げられ、直後惨劇のシーンを見る・・。
ダニーは父に”ママとボクを苛めないで・・”と伝えるが・・。
ー 劇中に度々現れる双子の姉妹の姿と、溢れ出る血の波のシーン。
じわりじわりと観る側に恐怖が伝わってくる・・。怖いが鑑賞を止められない・・。ドンドン、キューブリックの仕掛けた罠に嵌って行く・・。-
・そして、ジャックは誰もいない筈のバーに足を運ぶと、無人だが煌々と灯りの灯るシャンデリア・・。
カウンタ―に座ると、慇懃な表情のバーテンのロイドがいつの間にか立っており、バーボンの氷割ロックを頼むジャック。3年前に、自分がダニーにしてしまった脱臼の件を語る。
ー 徐々に、ジャックが”コロラドホテル:オーヴァー・ルックホテル”の魑魅魍魎に触れていく・・ファーストシーン。
自宅でTVを見ていたディック・ハロランの驚きの表情の入れ方も絶妙である。
【237号室】に導かれたジャックが浴槽から出てきた全裸の女性を笑みを浮かべながら見つめ・・、抱擁。だが、その女性はいつの間にか腐乱した老婆になっている・・。ー
・ディック・ハロランはホテルに電話するが、繋がらない・・。
【RED”R”UM・・・】
・バーはいつの間にか、大勢の人々で賑わっている。何の疑問も持たず、カウンターに座り、バーテンのロイドに、バーボンの氷割ロックを頼むジャック・・。
席を立った際、ウエイターの老人とぶつかり、服が汚れ・・、二人は真っ赤な色調のトイレで会話を交わす。
ウェイターの老人”グレイディ”は、丁寧にジャックの服装の汚れを拭いながら
”息子さんは外部の者を連れ込もうとしている・・、黒人の料理人を・・。
【我儘ですな・・、母親が悪い・・。良く躾ける必要があります・・。少し厳しく・・。】”
ー 怖い、怖い、怖い、怖い・・。ー
<8.8am>
ー 劇中流れるガラスを引っ掻くような耳障りの音も、心臓の鼓動のような、ドックドックという低音の音が延々と響き、徐々に音量が上がる。見ている側の鼓動も上がる・・。-
・ディック・ハロランは深刻な表情で、雪上車でホテルに向かう。
・ウェンディは夫がタイプライターで打った、大量の原稿を目にする・・。そこに延々と記されていた言葉。
”All work and no play makes Jack a dull boy " ”All work and no play mekes Jack a dullboy" ”All work and no play mekes Jack a dullboy" ・・・
ウェンディの驚愕の表情と背後から突然、声を掛けるジャックの言葉
”傑作だろ?”
- 劇中の”恐怖”の白眉のシーンの一つである。夫の狂気に気付く妻。
”あちら側:”ホテルに棲む魑魅魍魎の世界”に行ってしまった夫・・。-
・階段を上り逃げるウェンディを追うジャック。ウェンディは必死にバットで夫を殴りつけ昏倒した夫を食品倉庫に閉じこめ、雪上車で逃げようとするが、バッテリーが壊されていた・・。
<9.4pm>
・閉じこめられたジャックを扉の外からグレイディが、挑発するシーン。
そして、扉の鍵が”カチャン”と開けられる音・・。
・ハロランが漸くホテルに到着するが・・。
ー ここのシーンの、初見時の絶望感は今でも覚えている。
ハロランがウェンディとダニーを”シャイニング”の力で助けると思って、一縷の望みを託していただけに・・ー
・眠っている母の枕もとで、RED”R”UM・・と繰り返すトニー:ダニーは恐怖の余り出て来ない・・。そして、扉に書かれた文字。
【”かの有名な”ジャックが斧で、扉をたたき割り、その隙間から狂気の笑顔を浮かべた髭面を覗かせるシーン・・。】
”ウェンディ・・。ただいま・・。”
逃げる二人。
びっこを引きながら、追いかけるジャック。
その光景を見て、血まみれのグレイディが笑いながら口にする言葉・・
【”盛会じゃね・・”】
ー もう、もう、もう、怖すぎます・・。-
ダニーが雪中の迷路の中、必死に逃げるシーン。斧を持って追うジャック・・。
<ラスト、ホテルに飾られた、1921年7月4日の舞踏会の写真の中で、笑みを浮かべながら映っているジャック。
そして、彼も又、”コロラドホテル:オーヴァー・ルックホテル”の魑魅魍魎の一員になった・・。>
■蛇足
1.初鑑賞は、学生時代の級友の部屋である。
彼は映画館の息子であり、頻繁に映画館の無料券を振舞ってくれた、私が映画好きになったきっかけを与えてくれた貴重な友人である。
その彼が、夜中に一人で今作を鑑賞していたが、余りの怖さに鑑賞を中断し、翌日私たち数名が呼び出され、”皆で一緒に”鑑賞した。が、それでも、充分に怖かった・・。
2.今作から39年後に、大人になったダニーが自らの過去に決着をつける映画が公開されるとは、思いもしなかったなあ・・。
<2024年4月5日 一部改訂。今作品は私にとってホラー映画の金字塔であり、哀しき家族の物語である。亡きスタンリー・キューブリック監督作品の中でも、印象的過ぎる作品でもある。>
じわじわ怖い
ホラーは苦手なのですが、
キューブリック作品に引き込まれ。
うわっ!っていうびっくりの怖さと言うより
なんだか異様すぎて終始じわじわと怖い。
音、構図、キャラなど…
いろいろ理解できないシーンが多かったです。
意味がわかると怖い話的な感じ…
一度しか見てないのに
こんなに記憶に残る作品も珍しいなあと思いました。
万人におすすめはしないけど、
個人的には見てよかったとは思います。
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