劇場公開日 2003年6月14日

ホテル・ハイビスカス : 映画評論・批評

2003年6月16日更新

2003年6月14日よりシネマライズほかにてロードショー

ドラマ展開の狙いはわかる、が

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男勝りで、破天荒な小3の美恵子、黒人とのハーフの兄、白人とのハーフの姉、自由奔放で働き者の母親と見事に力の抜けきった父親。死んだネコの皮を剥いで食べるといわれている老婆やガジュマルの木に宿る精霊キジムナーを呼びだすことができる老人。

風変わりだが、愛すべき人物たちが次々に登場し、沖縄の風土とともに国境を越えたネットワークが浮かび上がり、自分の道を突き進む女を男が静かに見守り、受け入れていくところなどには、前作「ナビィの恋」に通じる魅力がある。しかし、前作のようにすんなりとその世界に入り込むことはできない。

映画の狙いはわかる。美恵子の目から見た世界は、4つのエピソードを通して変化していく。最初のふたつでは、キジムナーだと思ったものが訓練中の米兵だったり、大抽選会が母親の仕組んだトリックであるように、子供と大人の距離が描かれる。これに対して残りのふたつでは、本物のキジムナーや先祖の霊が現れることで、子供と大人の世界がひとつになる。その狙いは、後半では成功している。だが前半では、子供の目を意識するあまり、人物ばかりが大騒ぎを繰り広げるだけで、映画の空気が散漫になってしまっているのだ。

大場正明

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