仄暗い水の底からのレビュー・感想・評価
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リメイク作品のほうがわかりやすい
以前観たときにはそれほどのものを感じなかったが、リメイク版『ダーク・ウォーター』を観た後にまた観ると違った映画のようにも思える。
最初から主人公淑美の精神科に通っていた事実が明らかにされているので、「この女性は狂ってるんだ」などと先入観を植え付けられてしまう。逆に、郁子の一人遊びを中心として、不明な点、矛盾点がリメイク版では解決されているために、このオリジナルの穴ばかり気になってしまう。
そして、ラストの行動に出る黒木瞳の心理変化がさっぱりわからないのも欠点。これも『ダークウォーター』を観るとよくわかる。最初に観たときに全くわからなかったくらいだ。理解できないから、恐怖感も薄い。10年後の映像によって、物語全体を振りかえって理解できるだ。
10年後のシーンがやたらと長いし、初めてあったような母親を前にして、あんなにポンポンと台詞が飛び出す脚本も疑問だ。
日本映画はほぼ観ない
古い団地の恐さ+水の恐さ
古い団地は恐い。最近だとクロユリ団地とか。団地って建物の管理に金をかけない場合が多くて、古くなると外観も周り地面もどんどんボロボロになっていく。草木も荒れ放題でだんだん薄暗くなり、照明も壊れてもなかなか直さない。高齢者比率が高くなり人気も減る。
そんな団地の恐さに、水の恐さが加わる。人は水に本能的な恐さを感じるが、この監督はそれをうまく引き出している。こういう本能的な恐さを引き出すのはやはり日本の監督のほうがうまい。
黒木瞳が良い味を出している
決め付けは良くなかった。
シンプルに。
ホラーなんだけど、母子が離れ離れになり後に再開した時、寂しい別れ方なのかも知れないけど、郁子(菅野莉央)にしてみれば欠けていた記憶を補う事が出来、ある意味この結末だからこそ良かれ悪かれ次に進める事が出来るのではないか、と感じた。
なんとなく見たのでハッキリ覚えて無いシーンも多いが、恐怖感を感じるよりも心を揺さぶられる印象を受け、単純に怖いのを楽しむ為だけのホラー作品、とは言えないと思った。
以前高評価を受けたと聞いていたが、確かに作品自体からは好印象を受けた。
母子家庭の生き辛さ
離婚調停の親権争いのさなか、お財布に余裕がないためちょっと難ありの物件に引っ越す母娘。うすら暗い団地で人気がない。そのうち階上から水漏れが。ドアを開けると一面水びたし。少女が行方不明になり、父母も失踪した部屋だった…
淑美は過去に精神を患ったこともあり、仕事もない。親権争いには不利。必死で仕事を探すけれど、郁子は幼稚園のお迎えに間に合わずひとり門の外で取り残されている。次第に行方不明の少女が郁子に接触しだして…
「怖い」というより、「悲しい」作品でした。子供を育てながら働かなくてはならない現代女性の問題をが背景に盛り込まれています。自立したくても自立できない、仕事を探し出しても「子供」がいるためにおじゃんになってしまう。裕福な父親が実家に連れ帰り母親に面倒を見させるため、娘は取られてしまいそう…むしろ怪奇現象よりそちらのほうがはらはらと心配でした。
結局淑美は娘のために身を呈して少女の霊に連れ去られるのを承諾。郁子はふとしたことで昔の団地を現れ、母親の姿を見つける。「パパ再婚するから、ママと暮らしたい」とふりかえると空っぽの部屋。ひどく寂しい結末です。ハリウッドリメイクではこの寂寥感がまったくなかったです。心が痛くなりました。
ロケ地は京王線「つつじヶ丘」南口。神代団地がモデルかな?
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