七人の侍のレビュー・感想・評価
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傑作
午前10時の映画祭で見た。
3回目ぐらいだったが、こんな最後だったっか?
三船敏郎演じる菊千代が生き残るストーリーの記憶だったんさ。
・とある貧しい村が対野武士に備え飯食わせるからの理由で七人の侍を雇う。
・生き残るのは3人
・三船敏郎は百姓の出で、百姓の自分を皮肉ったセリフが心に残った。
・
侍たちよ、永遠なれ
レーザーディスクで鑑賞。
黒澤明監督の代表作であり、日本が世界に誇る傑作映画のひとつであり、誰もが称える問答無用の時代劇大作である。あらゆる称賛の言葉を並べても足りないくらいのマスターピース、一言では表せないたくさんの魅力が詰まった映画だと思う。
3時間27分と云う長丁場があっと言う間に感じられる圧巻のストーリーテリング。マルチカメラ方式を邦画で初採用した映画史に残る雨中の戦闘。侍と百姓たちの織り成す濃密な人間ドラマ。⋯
どこを切り取っても「エンターテインメントの最高峰」となってしまうのがすごい。圧倒的なダイナミックさを誇り、映画文化の金字塔と言っても過言では無い。その面白さは永遠に不変であろう。
侍たちのキャラクターを紹介する冒頭から百姓たちを調練し準備をする中盤、そして野武士との激戦が繰り広げられる終盤へと、それぞれのパートが時間的に均等に描かれており、終盤に向けての盛り上がりは筆舌に尽くし難い高揚感がある。
鑑賞回数を経て、勘兵衛の「勝ったのはあの百姓たちだ。我々ではない」が沁みるようになった。卑屈で弱い存在に見えても、その実したたかに生きている百姓たちの姿には、ハンパない熱量で語り掛けて来るものがあるように感じたからだ。
特筆すべきは、「東京物語」や「ゴジラ」、そして本作と、世界中から名作・傑作と称される映画が同じ時期(1953年~1954年)に公開されていたことである。当時の日本の映画産業の勢いを感じると共に、名匠たちの果敢な映画表現への挑戦が最も花開いていた時期なのではないだろうか。まさにゴールデン・エイジだ。これらの作品が今尚日本のみならず、世界の映画監督たちに影響を与えているのは本当にすごい。世界中から愛される作品を持つ国に生まれたことを心の底から誇りに思う。
[余談]
初めて本作を観たのは近所の図書館にあったレーザーディスクでだった。当時大学受験を控えた夏休みで、近くの公立図書館のエアコンが効いた自習室で勉強していた私は、ちょっと疲れたので気分転換に何か映画でも観ようかなと思い、タイトルを知っていると云う理由だけで本作に手を出したのであったが、それはいい意味で大きな間違いだった。
面白過ぎたために、勉強そっちのけでイッキ観してしまったのだから。昼から観始めて気づけば夕方になってしまっていた。本作の魅力にどハマりし、DVDを購入して繰り返し観るようになった。
何度観ても飽きない。むしろどんどん魅力が増して面白くなって来る。それが名作の証しであるように思えた。それまでの私の映画鑑賞の傾向はと言えば、ゴジラ・シリーズをはじめとした特撮映画やハリウッドのアクション大作ばかり。
名画と呼ばれる作品は観たことは無かった。古臭いし、面白くないだろうと勝手に決めつけていたのだ。ところが本作を観たことで、今の映画に負けない迫力や魅力的な登場人物に魅了されて開眼。今まで避けていたことを深く後悔し、未見のものは新作と一緒であると云うことを痛感した。
それ以来、今尚語り継がれている名作を片っ端から鑑賞し、好きな映画のジャンルの幅が広がるきっかけとなった。東宝特撮映画でお馴染みの俳優が出演していることも、本作に親しみを覚えた理由のひとつかもしれないと思う。ちなみにゴジラ・ファンには黒澤映画を好きな人が多いらしい。
[追記(2018/07/14)]
「午前十時の映画祭9」にて4Kデジタルリマスター版を鑑賞した。初めてのスクリーン鑑賞、感無量だった。観客の年齢層高そうだなと思っていたが、私と同年代くらいの人もちらほらいたし、それより下の高校生もいたことに驚いた。幅広い年齢層に魅力が波及する。名作の証だなぁ⋯
驚いたのは映像も音声もすこぶる鮮明だったことである。DVDで観る際には字幕が欠かせなかったが、セリフがとても聞き取り易かった。是非ともUHDブルーレイで発売して欲しい。
スクリーンでしか体験出来ない迫力があり、ダイナミックな世界観に一層引き込まれた。何度も観ているのが、初めて真の「七人の侍」を観た心地がしている。やはり映画は映画館で観てこそのものであると、改めて教えられたような気がする。
[追記(2025/10/30)]
「午前十時の映画祭15」にて、新4Kリマスター版を鑑賞した。以前の4Kデジタルリマスター版とのはっきりした違いは分からなかったが、若干、左卜全演じる与平のセリフが聴き取り易くなっていた気がする(左卜全のセリフは役柄もあってゴニョゴニョと聴き取りにくい。それが聴き取り易くなっているかどうかが、レーザーディスク、DVD、旧4Kデジタルリマスター版と観て来て、リマスターの度合いを比べる際の個人的な指標になっている)。
[鑑賞記録]
2011/07/29:レーザーディスク
2012/??/??:DVD
2013/??/??:DVD
2018/07/14:TOHOシネマズ西宮OS(4K)
2019/07/22:DVD(ディスク1)
2019/07/23:DVD(ディスク2)
2020/02/08:TOHOシネマズなんば(4K)
2024/10/29:UHD Blu-ray
2025/10/30:TOHOシネマズ西宮OS(新4K)
*修正(2025/10/30)
抜け駆けの功名は、手柄にならん
映画「七人の侍」(黒澤明監督)から。
遠い昔(笑)鑑賞したが、なぜか急に観たくなったのは、
映画「二つ星の料理人」で、主人公がこんな台詞を言う。
「『七人の侍』を観た?、あれは俺の理想だ」。
映画好きであり、好奇心旺盛の私にとって、
どの部分が理想なのか、知りたくなったからである。(汗)
言い争いのシーンにも、うぐいすの鳴き声や琵琶の音が
BGMに使われていて、そのギャップが妙だったが、
作品を貫いているものは、チームワークの大切さ。
仲間集めから始まる、強いチームの作り方も参考になったし、
一人ひとりは個性的だが、自分の与えられた役割を意識し、
たった七人で、40人近い野伏せに立ち向かう設定も面白い。
「抜け駆けの功名は、手柄にならん。
いいか、よく聞け。戦は一人だけでするものではない」
志村喬さん演じる、浪人の野武士が言い放つ。
強い相手に立ち向かっていくとき、必ずと言っていいほど、
個人成績より、チームの勝利が優先される。
それは、戦国時代の戦だけでなく、現代の野球やサッカー、
チームスポーツには欠かせない考え方となっている。
それはまさしく、三つ星の称号を手にいれる料理の世界も同じ。
いい映画を作るのも、やはりお互いを信じあえる団結力。
そして、それをまとめあげる「リーダーの先見性」。
学ぶべきことは、いっぱいあったなぁ。
侍の生き様
志村喬率いる七人の侍のかっこよさたるや
カッコつけてない感じがまたかっこいい
名前は分からなかったけど寡黙な感じの人が好きだった
ずっとコメディチックで進んでたのにラストで負け戦だったとか言うところ、何故か感慨深かった
勝ったのは百姓、我々ではない
そして4人の墓が写される
侍というものがどういうものかを認識した瞬間だった
最高
2020/2/17 T・ジョイ新潟万代で3度目(スクリーンで2度目)
・前回見たのが2年半前だったようなので、所々丁度よく忘れてて、とても楽しめた。前回の印象として、セリフが聞き取れないのと志村喬が坊さんに扮するのと、侍のスカウトで入り口に棒を持たせるドッキリ試験、クライマックスの一騎ずつ袋叩き、三船敏郎めちゃ元気。だった。けど、今回も三船敏郎、めちゃ元気だなぁっていうのが上書きされた感覚だった。特に、宿で集まった時に三船敏郎をみんなでワイワイからかうとこと、百姓の村に着いて誰も歓迎しないので野武士が来たと思わせて全員を外に出させた後の百姓たちへを揶揄する姿が面白かった。あとは、薪割りの苦しい時には頼りになる男のような存在を前見たときにはあんまり印象に残ってなかったけど、今回観ててああいう人も必要だよね、と何となく自分と重なって見えた。
・前回、野武士のアジトが岩をくりぬいたようなトルコだったかにある世界遺産のようなものだと思い込んでたら普通に大掛かりな小屋で驚いた。
・志村喬みたいな人と出会いたいなぁと思った。あんな悪条件の仕事?でも、あんたの頼みならと初対面なのにやってやろうってなるような人ってすごいなぁと。まぁ現実にはいなそうだけど。
・役者全員の顔がとても良かった。
・前見たときはわからなかったフリとオチがテンポよく展開していて、だから感情がぐぐっと入るのかなと思った。妻を野武士にさらわれたリキチが娘を侍に抱かれた父親を一喝するシーンとかよく出来てるなぁと偉そうに感心した。
よかった
昔リバイバル上映で見て以来で、その時はどこか別の世界に連れて行かれるようなくらい鷲掴みにされて大興奮した記憶があるのだが、不思議なくらいあまり感動しなかった。ストーリーを知っていたのと眠かったせいかもしれない。そんな感じが寂しかった。
その分冷静に見れたようにも思う。戦況や戦略をとても丁寧に描いているところがいい。菊千代がすごく魅力的に人間臭くてエネルギッシュで元気が出る。
7人のうち3人がぽっちゃりおじさんでキャラが被っており、見分けがつかない。
若侍の彼女はみんなが見ている中、大声で泣きわめいて、アピール臭さを感じる。父子家庭だから愛着障害があるのかもしれない。菊千代も戦乱孤児だったようで、感情の起伏が激しいのは愛着障害があるのかなと思った。
農民が一筋縄ではいかないしたたか者であるというのもすごくいい。生き残った侍たちによくして上げて欲しい。それにしても農民に竹やりでリンチみたいに刺殺されるのはすごく嫌だ。野武士に同情してしまうほど嫌だ。
野武士が最後の一人になるまで闘い続けたのがすごい。戦力が三分の一、もしくは砦を襲撃された時点で戦意を失っていてもおかしくないのではと思った。それしか生きる術がなかったのかもしれない。だとしたら気の毒だ。
デジタルリマスターでセリフが聞き取りやすくなったとのことだったがさっぱり聞き取れなかった。BSの字幕放送で見返したい。
やっと見た
ずっと敬遠してきた。
凄い映画だと、海外の作品にも影響を与えた黒澤作品の金字塔だと。
数々の伝説と噂が先行して、僕の耳に届いてた。
だから、見るのを躊躇ってた。
当時と今とでは色々違う。
出来る事も出来ない事も。
昔は不可能に限りなく近かったものでも出来てしまう。
昔は革新的だって手法も今では、使い古された手法になってる事だってある。
「なんだ…こんなものか」と思いたくなかったから、ずっと見るのを躊躇ってた。
この作品には原点があった。
技術とか体制とか、予算とかカメラの台数とか、CGとか革新的な機材とか…そういうものじゃない。
いや…そういうものを開発し、またはそういう事に奔走する。
その価値というか報酬というか…情熱が昇華した結果ともいうのであろうか…。
古くさい言い方かもしれないが、映画人の魂を、ずっと4時間見てきたように思う。
広範囲に吹き荒ぶ、雨と風
作り込まれた美術
途切れない役者の心情
三船さんの足裏の皮には神経が通ってないのかと思う。
自然児と断定するのは容易いが、小石や硬い草を踏みしめただけでも痛さはあるのだ。
全くないかのように見える。
山道を川の中を、獣のように疾走する。
あの映画に映り込む何一つを見ても、まがい物はなかった。
映画を創るとは、かくあるべき
そんな圧倒的な狂気にも似た情熱を感じた作品だった。
やっと観た「日本映画の最高傑作」・・・
いつか観なきゃ観なきゃと思っていた半世紀以上前の「日本映画の最高傑作」。確かに古典的な娯楽映画として普通に楽しめましたが、やっぱり古いですね。娯楽映画であり時代をこえて残っている作品なので面白くない事はないのですが、観たらワクワクするというより有名だから一応押さえておくポジション的な映画であって、人に薦めたりするもんではないかなっと思いました。ストーリーは王道中の王道で妙なひっかけや残酷描写はないのである意味安心して観れます。
同じ日本人のハズなのに人が何喋ってるかわからないのにビックリしました。そして作られた時代が時代だけに人が切られても血が出ないので殺られたのかどうか分かりにくく、なんだかリアリティーに欠けます。当時は出血NGだったんですかね?農村の作り込みには力入ってました。戦国時代は実際にあんな感じだったんだろうなと思える描写です。上映時間が長く途中に休憩が入るのは何だか微笑ましかったです。
きっと公開当時はスゴかったんだろうなーと思いつつ観てました。しかし、半世紀以上の前の作品が、観ると確実に古くささを感じる映画が未だに「日本映画の最高傑作」と言われ続けている日本映画はどうなんでしょうね?どんだけ衰退しとんねんっと思ってしまいます。
敵は内にあり、ということなんでしょうか
言うまでもなく名作でキャラクターも抜群に立っているし、
それを纏めるところも最高にうまい。
しかも単なるアクションではなく骨太な社会派で、
士農工商制度や貧困が説得的に描かれている。
ただ、仲間の足を引っ張ってやきもきさせる構成は趣味ではない。
つまらないエゴを押し通したがゆえの悲劇、が多すぎる。
マッチポンプな印象があって、個人的には観ていて気分が晴れない。
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