「「ホンモノ」を見た」七人の侍 ひぐまさんさんの映画レビュー(感想・評価)
「ホンモノ」を見た
ホンモノ。
それ以外の感想が浮かんでこない。CGもない1954年当時の映画製作に携わった先人たちに、後の名もない令和の映画ファンの一人として限りのない尊敬と感謝を贈る。正直に言うがこの作品は自宅で衛星放送か何かで見た経験はあるが、劇場で全編通しで見るのは人生初体験だった。午前十時の映画祭ありがとう。
4Kの最新技術で修復されたゆえ映像はクリアだった。が、音声(セリフ)がところどころ聞き取りづらく如何ともしがたい。ところがセリフが聞こえなくても役者陣の演技でもってスクリーンの状況がどう変化していくのか、どういう感情でいるのかがすべてわかる。これはすごいことだ。たとえば今日のH野圭吾の映画化作品のようにべらべらべらべらと喋る出演者のセリフですべて説明してくれる親切おせっかい極まりない作品とは対極を成す。「映画とはこういうものだ」という哲学を黒澤明をはじめ、現場のスタッフもまた共有している。最近の作品では「宝島」もそうだ。あれもうちなーぐちのセリフがわかりづらいがため低評価を被っている。もしも黒澤組が「宝島」を撮っていたら説明セリフなんか一言も使わずに撮りあげたに違いないのではないか?
そんなこともふと考えてしまった。感服。これが映画。これこそ映画。まさしく見事。
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