七人の侍のレビュー・感想・評価
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何度観ても感動する、素晴らしい名画!
日本が世界に誇る大傑作中の大傑作!!
207分の長尺が体感2時間程度のあっという間、70年前の作品とは思えない、見応え満点の“人間を描いた”スペクタクルアクション巨編!!
前半分は傭兵のリクルート、後半分は村を挙げての野武士との死闘、というグイグイ引き込まれる見事な脚本で3時間半まったく飽きさせないのが驚異的
野武士達も酷いけど、農民の方も生きるために残酷・残虐だったり、姑息だったり、貪欲だったり、するというシニカルなメッセージは納得がいくし現代にも通じる普遍的なテーマ
キャスティングも素晴らしい
島田勘兵衛を演じる志村喬さんがめちゃくちゃシブい、菊千代を演じる三船敏郎さんがめちゃくちゃエネルギッシュ、そのほか 千秋実さんや加東大介さん等々の最高のアンサンブルキャストが最高です
1ショット1ショットにこだわりを感じる、大巨匠 黒澤明監督の画力に圧倒されます
特に馬に乗って村を襲撃する野武士達や火を放たれた家屋の燃え盛る炎、そしてクライマックスの雨の中でのバトルシーンは大迫力、さすが世界の映画史に刻まれる大傑作の風格を備え、本作を観ること自体が素晴らしく意義のある体験でした
いまさら
破格な面白さ! これはリメイクしたくなる。部分的にも、全体通してでも。
でも、日本ではリメイクしないでね。これだけの役者を揃えられないから。
とにかく、侍が格好良くて、気持ちよい。
そこに惹かれる。
人格者の知将・勘兵衛。外から戻った勘兵衛に、七兵衛が当然の如く「すすぎを」と立ち上がるだけで、元は格のある家の出と知らせる。
とはいえ、人格者といえど、リーダーは時に敬われ持ち上げられるかと思えば、些細なことで恨まれ背かれる。そこを絶妙にフォローするもう一人の人格者の知将・五郎兵衛。この五郎兵衛が、勘兵衛の人柄に惹かれていて、出すぎないのが良い。
勘兵衛の古女房・七郎次。勘兵衛からこの戦いに誘われて、仔細も聞かずに応じる。「今度こそ死ぬかもしれぬ」にも、一瞬真顔の沈黙はあれど、笑ってほほ笑むだけ。格好いい!!! それだけでなく、自分が率いる農民チームを常に気遣い、元気づける。怖気ることは即、死だから。竹槍練習よりも、「走れなくなったら死だ」という心構えを教えるのが、歴戦の兵であり、農民を思うアドバイスで心に沁みる。
対して、青臭さの残る勝四郎。子犬のようだ。一番弟子を自認しているが、七郎次には後れを取ってしまう。弟子の役目を果たしきれない、豊かな郷士の末っ子という甘さ・自由さも残している。初めて、人が死ぬ時を見た時の反応、人を殺してしまった時の反応が初々しい。
求道者・久蔵。己の能力に求められる役目を黙々とこなす。勘兵衛が勝四郎に郷土に変えるように諭すシーンでの台詞を聞いている表情が何とも言えない。そして、勘兵衛に心酔していた勝四郎から絶賛された時の反応がかわいい。
ムードメーカー・平八。「子どもだって、大人扱いしてやれば、へたな大人以上に働く」と勝四郎の仲間入りを、「なんとかと鋏は使いよう」と菊千代の仲間入りを助ける。菊千代とは別の意味で頓智が効いている。菊千代が家系図を出したときに、勘兵衛の後ろで、指を折って、菊千代の年を確かめているところがかわいい。
トリックスター・菊千代。その破天荒なふるまいで、活路を開いたり、窮地に陥ったり、大切なメンバーを失ったり。勝四郎よりオミソ扱いされるが、侍仲間に入れただけで、嬉しいのか。彼なりに一生懸命ではある。感情表出も派手。他の侍たちが感情に封印して勝ち目を考えていることとのバランスが良い。勘兵衛に叱られてシュンとするところもかわいい。
そして、菊千代を除く侍の立ち振る舞いがこれまたキレッキレである。
全力疾走しているときも、陸上選手のように前かがみでなく、上半身はきちんと立て、目の前の状況を判断しながら、腰を落とし、腰のものがぶらつかないように支えながら走る。
勘兵衛演じる志村氏も、動くとなると機敏で驚いた。剣や弓の扱いも堂に入ったものである。驚いたが、まだ未見だが『姿三四郎』を演じられていたなと思い出す。
七郎次をを演じる加東氏。まだ、『羅生門』『用心棒』『早春』『ここに泉あり』『浮雲』くらいしか拝見していないが、大変失礼ながら、こんなに格好いい加東氏は初めて。
対して、菊千代演じる三船氏。わざと大ぶりで泥臭い演技をする。『羅生門』の時にもライオンとかの動物を意識して演じられたと聞くが、この映画もその延長であろうか。尤もライオンと言うより、孫悟空であるが。佐々木小次郎かくやという長い刀を持ち歩くが、実際の戦闘には、落ち武者狩りや敵から奪った普通の刀を何本も用意して対戦。『羅生門』と違うのは、今回はコメディセンス全開。そして、ふんどし姿に甲冑をまとい、その足の長さ、お尻を始めとする肌に美しさ、体操選手?と言いたくなるような体の動きに目が奪われる。
こんな侍集団だが、こんな不利で益にもならぬ戦いに力を貸すだけあって、”侍”然としてふんぞり返っていないのがすごい。ちゃんと目の前の相手の意見をきく。辛酸舐めつくして生き抜いてきた心の広さなのだろうか。
利吉達に相談されて勝ち目がないと勘兵衛が断った時に、人足から、利吉達が用意した報酬の意味を聞き、その価値と村人の願いに、はっとして、考え直す。
せっかく来てやった村なのに、その村の歓待にむっとするところもかわいい。儀作が一生懸命言い訳するのも「これで、何をしろというのだ(守れない)」と突っぱねる。なれど、半鐘(板木)が鳴るや、侍達の機敏なこと。惚れてしまう。そして、菊千代と儀作のやりとりに笑い、村を守ることにする。
そして、村人の落ち武者狩りを知って…。久蔵の言葉も当然であろう。久蔵たちの同胞を殺して奪ったものなのだから。そして彼ら自身の忘れられぬ記憶。だが、この時も、菊千代の言葉に思い直す。
村人が約束した報酬でさえ、村の現状を見て、弱きものに分け与える。勝四郎の行いからの流れが良い。
”侍”はこうあるべきと言うのにも、とらわれない。トリックスターである菊千代の言動は、自分を大きく見せたいのか、とても大げさで騒がしい。そしてその大言壮語にも関わらず、できていないことも。できていないだけでなく、手抜きすることも。正直、近くに居たらはた迷惑でもある。だが、勘兵衛たちは命令違反やさぼりには叱咤するが、平八のリフレーミング的な意味づけの助けもあり、菊千代のことを許容してしまう。排除するのではなく、受け入れる。笑いに変える。懐の大きさよ。
侍達は、そんな場面が多い。状況だけを見れば、不安で先行き真っ暗なのに、常に笑いを忘れない。おおらかな勘兵衛・五郎兵衛・平八だけではない。生真面目そうな久蔵・七郎次も大口を開けて、村人と一緒に笑う。決戦前でカチコチになっている村人に対しては「(勝四郎も)夕べからもう大人だ」といじって、笑いを取って、わざと緊張を緩める。菊千代も、彼らにいじられても、すねることもあるが、許容している。不思議な輪ができている。
そんな侍と村人のアンサンブル。
一見、ドンパチのアクション/戦争映画に思える。
そういうふうに、楽しむのもありだ。
でも、侍の生き様を描くとともに、村を始めとする社会を描いた映画だと思う。
村人の談合から始まる。
爺様・儀作の提案で侍探しが始まる。
一番積極的なのは利吉。そのわけは、映画の中盤の明かされる。
侍頼みにしたいのに、父とはしては当然と言えば当然の不安から、村を侍拒否に陥れるのは万造。
その間を取り持つ茂助。村を守る作戦上、自分の家が犠牲になると知った時は反発するが、実際に野武士が襲来、家を焼かれた時には、村人に持ち場に戻るように叱咤する。個人的には次期村長に推したい。
与平はコメディリリーフ。がちがちの3人に対して、ドジをしたり、泣き言を言ったりして、なんだかんだ言って中を取り持っている。演じるのは左卜全氏。集団訓練時の、あの間の外し方が芸術的。侍への報酬を盗まれたりするが、村では唯一?馬を持っている。落ち武者狩りで手に入れた槍を持ってきて、落ち武者狩りをばらしてしまうという、物語が動くきっかけを作る。
その4人を中心に、その他大勢の、戦乱の世での生き様を描く。
生き方が違い、意見が分かれても、爺様を始めとする仲裁の力を借りて、その時なりの落としどころを見つけて共存。
婆様の言動。野武士との取引・犠牲。
村人の仲裁をしていた儀作とその息子夫婦の最期。譲れぬもの。
常に、したたかに、自分たちが生きていく方法を模索し実行する。決戦の前、「菊千代のいうとおりだな」と言うように。
物語の展開も秀逸。
前半はこんな無理な願いに応えてくれる人はいるのか、いても烏合の衆では戦えない。どんな人が集まってくるのか。どう集めるのか。どう見極めるのかに心躍らされる。また、村内部の分断と結束もどうなっていくのかにハラハラさせられる。
後半は、利吉の秘密、野武士の隠れ家襲来という派手なシーンはあれど、斥候、作戦遂行、ロマンスと地道な場面が続く。そしてためにためて、壮絶な決戦、エンディングと流れが良い。
ラスト。
村の様子と、侍の姿。
未来に続く慶びと、達成感はあるものの、失ったものも大きい。その時感じるのは虚無感か?
しのの決断。
有名なラストの言葉が心に沁みる。
でも、私は以下のようにも思うんだ。
★ ★ ★
≪以下、ちょっとネタバレに触れています≫
オープニングの、戦乱に巻き込まれ、窶れはてた村人の表情と、
ラストの、自信に満ち溢れ、喜びに満ちた村人の表情の違い。
単に、野武士がいなくなって、平和に農作ができる喜びだけではないと思うんだ。
侍達とのやり取りの中で、侍たちも農民に対する意識が変わったであろうが、
農民の方にも、侍にもいろいろな人がいると意識が変わったであろうが、
ただ、侍に守ってもらったのではなく、一緒に戦って野武士をやっつけたという自信も得たのではないか。
この村人の自信に満ちた表情は、侍と過ごした日々の賜物であると思うんだ。
自分たちには絶対にできないという思いにとらわれていた人々が、できたんだという自信を得た表情だと。そんな自信を村人に与えたのは侍達。
もし、侍たちが野武士を追い払う手助けをしなかったら、村人は怯えた表情で田植えをしていたはずだから。
だから、勝ったのは村人と侍達だと私は思う。
尤も、もう一つの考え方として、農民の雑草の如くの生命力を「勝ったのは農民」と言っているのかもしれない。
ついこの前まで、怯えていたのに、気持ちを切り替えて、村総出で田植えをしている。祝い唄を歌いながら。村人にも、犠牲者は出ているのに。その逞しさを言っているのだろうか。
何かを生み出すことのできる農民。生きるために、したたかな農民。
奪うことしかできない侍。
その生業のことを言っているのだろうか。
いろいろな複合的な意味に捉えられ、心地の良い迷宮をさまよってしまう。
それでも、明るい村人の顔や歌が一つの達成感と始まりを感じさせてくれ、
鑑賞後にすぐにリピートしたくなる。
(台詞は思い出し引用。日本語字幕なしとありとを見たけれど、大方の感想は変わらなかった)
農民を知るための映画でしょうか。
言わずと知れた名作だか、いかんせん邦画はセリフが聞き取りづらく、更に年代物はまったく何を言ってるか、であったが、字幕、という便利な機能を知り、3回目にしてようやく全編見れました。余談であるが、この機能なら羅城門も観る気になれる。
さて、肝心の内容は、、
ハリウッドリメイク含め、7人ものはある程度観ており好きな映画ではある。そして本家本元。
物語、それぞれの侍のキャラ、というより気になるのは農民のボンクラ、無知能さぶり。そこの描写にただならぬこだわりを感じる。
当時の農民の無教養と、愚かさ、恍惚さと、侍の対比を通じた時代描写が裏テーマなんだろうか。ラスト、一夜の契はなかったものとして、農民に戻る娘。うむ、士農工商の壁はれっきとして越えられず、何人失おうとも、また田んぼを陽気に耕す。
最後に何人か侍は死ぬが、そこの死は必要なかったのかなあ。
持ち上げすぎ
日本映画の最高峰!影響与えまくりの超名作!
「侍タイムスリッパー」を見てから、無性に時代劇が観たくなった。
そこで、満を持しての名作の登場です!久し振りの鑑賞でしたが、ホンっと素晴らしい。何回見ても楽しめます。
モノクロ映像で、古臭さはどうしようもないものですが、この画面からあふれでる迫力?って言えばいいんでしょうか。とにかく大興奮です。
オープニングからの音楽も最高!思いっきり、昔懐かしいって感じの音ですが、これがまた良い。もちろん、場面の途中途中で差し込まれるサントラも絶妙のタイミングで名曲揃いでした。
志村さん、三船さんを筆頭とした、今は亡き役者さん達の熱演も素晴らしい。
セリフがイマイチ聞き取れないって部分もありますが、そんなの気にならないほど、作品の中にのめり込んだ感じです。
もちろん、途中休憩が入るほど、長尺な映画ではありますが、無駄な場面が無いってほどに魅入っちゃいました。
最初のメンバー集めから、百姓たちとの交流、そして、クライマックスの戦闘シーン。 まさに世界に誇る日本映画の名作!黒澤監督の名前を世界に知らしめる1本です。
【今さらネタバレってことも無いかもしれませんが】
とにかく、クライマックスの戦闘シーンは大迫力です。 ひとり、またひとりと野武士たちがやられていく様が凄い!逃げ惑う野武士を大勢の百姓たちが追い詰めて滅多刺しにする。
それに伴い、味方も次々と命を落としていく。
最終決戦の大雨の中の戦いは特に凄い!まさに歴史に残る名場面の数々。生と死の狭間をまざまざと見せ付けられる感じがする。 ホンッと素晴らしいの一言に尽きる一本でした。
1954年、自分が生まれるはるか前の年ですが、この年には「ゴジラ」も公開されています。後の映画界に大いに影響を与えた2本の邦画が生まれた年として記念すべき年じゃないだろうか。
黒澤明の最高傑作
監督脚本は"世界のクロサワ"黒澤明。
【ストーリー】
時は戦国末期。
戦乱につかれ、国内はことごとく荒れ果てていた。
あるうらぶれた寒村に、くり返し野伏たちの集団がおとずれ、狼藉をはたらいていた。
「このままでは村が滅ぶ。侍をやとって、用心棒として来てもらおう」
長老の儀作と若い利助は、町に出て侍をつのるがうまくいかない。
そんな折、盗賊が人質をとって家屋に立てこもる事件がおこる。
そこに居あわせた初老の侍が、髪を落とし、僧のふりをして盗賊を斬り伏せ、鮮やかに解決する。
男は島田官兵衛。
負け戦をいくつも重ねた、浪人であった。
官兵衛は仲間をあつめ、合計七人の腕におぼえある侍たちと、村を守る戦いにその身を投じる。
初めて見た感想は、
「長い」「侍じゃなくて農民の話じゃん」
でした。
5年ほど漬け物にしておいて再鑑賞したら、まったく逆の感想になってました。
そのあいだに『用心棒』『椿三十郎』『羅生門』『隠し砦の三悪人』『乱』『影武者』『生きる』『赤ひげ』『蜘蛛の巣城』なんかをつづけて見ていて、どれもすごくおもしろくて、これはふたたび見なおさねば! と鑑賞したわけですが。
いい。
まあこれがめっちゃいい。
侍たちの生きざまも、農民たちの苦しみも、それぞれ一方向にギュッと集合して流れてゆく重厚な群像劇で、そりゃジョージ・ルーカスや秋山瑞人が新作に取りかかる前に必ず一丁見なおすわと。
剣戟も野伏との戦いもタイミングがリアルで、この映画の影響で時代劇でリアル侍ムービーがたくさん作られたそうです。
こだわりのあるアクションのために、殺陣師、いわゆる剣術の振付に、本物の古武道の達人を呼んでます。
香取神道流の杉村嘉男さん、その後黒澤作品はじめ数多くの映画やドラマの剣戟指導を担当されたとか。
国際古武道十段……かっけえ……。
初期の黒澤映画は架空の舞台がおおく、この七人の侍もその一つなんですが、それでも説得力と生々しい生命感をおぼえるのは、演技演出を徹底しておこなうから。
数多い登場人物の、いずれもおざなりには撮られておらず、中でも傑出してるのは黒澤作品ではおなじみの侍頭・志村喬さんと、菊千代役の三船敏郎。
お二人とも、演技もいいけど剣戟もいい。
仲間を集めるあたりなんか、肉体の操縦術や身体能力の高さがうかがえて、見返したらたまらんですな。
撮影時のおもしろエピソードとしては、村が襲われて村人の女性が背中を矢で打たれて倒れたシーンに黒澤監督、
「殺された者があんな声をあげるわけがない!」
と撮り直しを要求したら、やられ役の女優さんがもろ肌脱いで背中をむけて、
「刺さってるでしょうが! 血が出てるでしょうが!」
とケガした部分をズイズイ見せてきたという。
なんか、防護用の板を入れてたそうですけど、ちょっと貫通しちゃってたんですって。あぶないね。
あんまりの迫力に、黒澤監督めずらしく主張をひっこめて、そのシーンは無事そのまま使われることになったそうです。めでたいね。
世界中の映画ランキングに入りまくる、日本映画の稀代の傑作。
白黒と嫌わず音が悪いと避けず、今からでもぜひぜひ見てほしい大傑作ですよ。
劇場で初鑑賞
3時間をまったく退屈させないストーリーとキャラが魅力
白黒映画なんてつまらない、15年前まではそう思っていた。しかし、高校生のとき映画の授業で観てあまりにも面白くて衝撃を受けた。以来、定期的に鑑賞している。
3時間をまったく退屈させないストーリーとキャラが魅力。話は強力な仲間を集めて悪に立ち向かうという流れでシンプル。今の少年漫画やRPGゲームでもよくある構成で古臭さを感じずとっつきやすい。
当時の百姓の扱いの酷さも描かれ可哀想に思えてくる。野武士狩りをしてた闇の部分もあり、良い所だけでなく悪い一面を見せたことでより人間らしくリアルに感じた。
特に好きなキャラは久蔵と菊千代。
久蔵は無口でクール、やることは黙って済ませるのがかっこいい。特に種子島を1人でささっと取ってくるのはシビれる。勝四郎が惚れる気持ち分かるなぁ。
菊千代は動きが面白い。ぴょんぴょん跳ねたり、奇声を上げたり、人間というよりはまるで動物のようだ。
トリッキーなキャラかと思いきや、カンカン鳴らして百姓を集めたり機転を効かせて活躍する場面もありギャップが良い。
百姓の落武者狩りがバレた時、涙ながらに百姓の気持ちを代弁するシーンは何度見ても感動する。
たまに無償に観たくなるので、これからも何度も見返すことになるだろう。5点じゃ足りない、10点をあげたい傑作。
燦然と輝く時代劇アクションであり、冒険活劇の最高傑作。
7人の侍(浪人)が、野盗と化した野武士の襲撃に悩む農民に雇われ、集落を守るべく、野武士集団との戦いに挑む姿を描く。世界で最も有名な日本映画の1つ。
劇場型の躍動感、気持ちが高ぶるストーリー、1人1人の侍たちの生き様と俳優陣の熱演、ダイナミックな戦闘シーンに満ちている。黒澤明監督ほど、画面を縦横無尽に使い尽くし、広大に見せる監督もそうはいないと感じた作品。
「チームを組んで目的を達する」というプロットが、西部劇だけでなく、世界中の映画に多大な影響を与えている。
武士と農民の葛藤、ユーモラスで人間味あふれたキャラクター、ロマンスも適切なタイミングで盛り込んでいる。機知に満ちた脚本に基づく、驚くべき冒険活劇であり、輝かしい時代劇アクションとして、最高傑作の1つだと思う。
【"勝ったのは、百姓たちだ・・。”今作は邦画が世界に大いなる影響を与えた名作である。だが、叱られることを重々承知の上で、以前から思っている事を、ドキドキしながら記す。怒っちゃ嫌よ。】
■作品内容については、これだけの名作であるので敢えて割愛する。
ご存じの通り今作は米国で2作がリメイク制作されている。
「荒野の七人」は配信で鑑賞し、その後アントン・フークア監督により制作された「マグニフィセント・セブン」は劇場で鑑賞した。
とても、面白かったモノである。
<感想というか、率直な意見。・・重ねて記すが、怒っちゃ嫌よ。>
・今作は、少し前に「午前十時の映画祭」映画祭で鑑賞した。とても面白かったのであるが、フラストレーションも感じたモノである。
フラストレーションの理由は、キッパリ書くが特に<休憩>の前の、名優揃いの役者陣の一部の台詞が聞き取りずらいのである。と言うか、何を言っているのか分からない部分も有った。
因みに、劇場で観た際には、私は40歳になったばかりで、且つ会社での健康診断での聴力検査は、全く問題なしで有った。
普段から、ブリティッシュ・ロックをハイハイボリュームで車内で聴いていたにも関わらず。
・志村喬さんが演じた勘兵衛の台詞は良く聞こえた。落ち着き払った言動や、野武士たちからの襲撃を恐れ、助けを求めて来つつ、一部の百姓が逃げようとした際の、毅然とした良く響く台詞は、沁みたモノである。
・だが、今作の主役の一人である菊千代を演じた世界の三船敏郎氏の台詞が、役柄もあるのかもしれないが、良く聴きとれないのである。
場合によっては仕草から、類推したモノである。
■勿論、最後半の激しい雨中での戦闘シーンは、白眉である。このシーンには台詞は要らない。斃れゆく剣の求道者、宮口精二演じる久蔵の姿。
七人の侍たちが、農民の為に命を懸けて戦う姿は名シーンである。
■で、久方ぶりに配信で鑑賞した。フルボリュームで。
だが、多くの台詞が聞き取れない。自然音と同時に録音していたのだろうか、聞き取れない。
そして、思ったのである。今作が、海外でも高い評価を得たのは、内容のハイレベルな事は当たり前としても、【字幕で】上映されたからではないだろうか、と言う事である。
<私が記載した事が的外れな事であれば大変申し訳ない限りである。だが、私はこの作品の内容を貶しているわけではない。逆にキチンとこの名作を細部まで理解し堪能したいのである。
出来得ればの話だが、この作品を最近多い日本語字幕付きで、何処かの配信会社で上映してはくれないだろうか。
私は、この名作をクリアーな音声で観たいのである。切なる願いである。>
難しいのかと思っていた
生まれる前の映画か・・・
面白いにつきる。
豪華俳優陣でさらに盛り上がる。
確かに長いが休憩もちゃんと入ってる!?
荒野の7人を観たとき、ユル・ブリンナーがこの映画のストーリーを気に入りアメリカ版の西部劇に仕立て上げたと聞いた。
自分は先に荒野の7人を見ていたので大まかなストーリーはわかっていたがそれでも見応え十分で面白かった。
特に志村喬の演技が光っていた。
ラストシーンは荒野の7人とは違っていて菊千代は村に残る物と思っていたら最後は描かれてなかった。
ユル・ブリンナーは書き足したんやなあ。
そういう意味で言うと見終わった後の幸せ感は荒野の7人の方があったかも。
志村喬が三船敏郎に「おまえは残れ」と言ったと想像しておこう。
いや、そのシーンを見落としていたかもしれん。
自分史上最高の日本映画
・3時間半にもかかわらす無駄なシーンが一切無い。
・戦シーン序盤で七人のうちの1人が死んでしまう。これにより残りの侍が死にはしないかとハラハラしながら観ることになる。
・自分は侍を集めるシーンが特に好きだ。1人1人集まる度にワクワクする。
・お荷物的な存在だった菊千代は侍と百姓が団結するうえで重要な存在となっていく。
・七人の侍の中で1番好きなのは片山五郎兵衛。
黒澤時代劇の傑作
感想
神も仏もない、戦乱が続く世界。秩序は乱れ、その日を生きることさえ、かなわない世の中。
野伏の襲撃が横行し、苦渋し、疲弊しきった農民が野伏退治を託す侍を傭おうと町に出てくる。生きる事も死ぬ事も紙一重の世界で、農民達は島田勘兵衛という義と理を兼ね備える侍に巡り会う事になる。
勘兵衛は農民の苦渋の想いを人の理として受け止め、農民の意に賛同する侍を集めようとする。勘兵衛が剣の腕が立ち心根の良さを認める者。勘兵衛を慕う若き侍との出会い。戦場の古女房と呼ぶ古参の武士との再会。さらに十戦無敗の強者武士、喧嘩巧者で荒くれ者の自称侍を名乗る男など、勘兵衛とその選ばれし者が、様々な人間的な魅力に溢れる人々を集める事になる。
さらに里山での野伏軍団とのダイナミックかつ痛快、壮絶な戦いが描かれていく。その激動の状況下に生きる武士と農民、それぞれの立場の人間としての生き様を生々しく克明に描き出す事により、人とは、生きるとは、どういうことかを観るものに考えさせ強烈な印象を残す。
とにかくよく考えられた完成された脚本。細かい人物描写の上の大胆な物語の展開。世界的にも評価の高い黒澤明監督の傑作のひとつである。
映画冒頭部分、街角を横切る侍に若き日の無名時代の仲代達矢氏が観れる。それだけでも興奮する。
志村、三船、稲葉、加藤大、宮口、千秋、木村、各氏の名演は知っての通り。農民達の想いを代弁する人足役の多々良純氏の熱演が印象的で感動する大好きな場面の一つである。
視覚効果的にも数多くの仕掛けを創造した黒澤作品だが、その中でも人が斬られた時の高速度撮影は、画期的な描写であったとあらためて感じる。
劇画とはまさに是なり。息が止まる感覚に緊張感は増すばかりである。
死の描写に殺しの美学があると言わしめた、鬼才サム・ペキンパーはこの描写に感銘し、黒澤を師と仰ぎ、自身の作品に絶対的オマージュとして、映像スタイルを確立し、その後の映像クリエイター達に大きな影響を与えたのは有名な話だ。
⭐️5
さすがの脚本。ハリウッドが真似をしたのはわかる
集落を守るために侍を七人集めて、数に勝る野武士を知力でやっつける、という全体の構成が素晴らしい。侍の中心になる勘兵衛(志村喬)、狂言回しであり道化役でもある菊千代(三船)、優れた剣技の久蔵ら、魅力的なキャラクター設定もよく練られている。話の展開がハリウッドにリメイク版を作らせるほどなわけで「さすが」と思った。
農民をただおろおろするだけの弱い存在ではなく、したたかさを描いているところが作品の深みを感じさせる。人の価値は強さだけで測るものではないし、ずる賢くても命をつないでいくことなど、人間はいろいろな側面があるということだろうか。
ラストシーンで晴れやかに田植えをしている姿は、壮絶な戦いで勝利したことを「過去のこと」と振り返らず、今の目の前の仕事に集中するしたたかさを示しているのだろう。窮地を救ってくれた侍を「ただの強いやつ」と忘れてしまっているかのよう。
また、この集落の人々が過去に落ち武者狩りも行っていたことがわかり、それを菊千代が大演説をして「ただの弱いやつらではない」と説明するシーンも印象的。
1点減点は、上映時間が長いこと。特に勝四郎と志乃のラブシーンはなくても良いと思った。
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